マンションポエム2019「東京23区編」、「千葉・埼玉・神奈川編」、「関西編(大阪市・京都市・神戸市)」に続き、「地方編(札幌市・仙台市・名古屋市・広島市・福岡市)」をまとめてみた。
調査対象はSUUMO新築マンション275件
調査対象としたのはSUUMOに掲載されている、札幌市・仙台市・名古屋市・広島市・福岡市の新築マンション314件(19年2月11日現在)のうち、マンションポエムの元になりそうなキャッチコピーが掲載されている275件(88%)とした。
各市の内訳は次のとおりである。
※( )内は、マンションポエムの元になりそうなキャッチコピーがない物件や、既に完売済みで物件情報そのものが掲載されていない物件数を含む件数。
- 札幌市:43件(49件)
- 仙台市:23件(33件)
- 名古屋市:80件(98件)
- 広島市:48件(49件)
- 福岡市:81件(85件)
なお、物件によっては、トップページの画面が自動的に切り替わり、キャッチコピーが複数表示されるケースがあることから、原則、インパクトのあるキャッチコピーを対象とした。
以下の分析には、これまでと同様、テキストマイニングができるフリーソフト「KH Coder」を利用した。
「特徴語上位10語」比較
「KH Coder」を使って、地域ごとに抽出した特徴的な言葉のうち上位10語を次表に示す。地域ごとに特徴語が異なることが確認できる(次表)。
- 札幌市の1位は「札幌」。とにかく「札幌」に建つマンションであることが売り。
- 仙台市の1位はブッチギリで「杜」。「仙台」は5位。杜の都が売り。
- 名古屋市の1位は大差で「都心」。都心とは、「大都会の中心部。特に、東京都の中心部」(デジタル大辞泉より)。
「都心」という言葉は名古屋人の心に響くのか……。
- 広島市の1位は「暮らし」。2位は僅差で「都心」
- 福岡市の上位は僅差で「天神」「博多」「都市」が並ぶ。
それぞれの都市ならではのマンションポエム
5つの都市のマンションポエム275件をつぶさに読んでみて、秀作はそれほど多くないという印象を持ったのは、23区編(328件)や千葉・埼玉・神奈川編(292件)、関西編(144件)と、これまでにゲップが出るほど読んできたので、目が肥えてきたせいなのか……。
それぞれの都市ならではのマンションポエムを紹介しよう。
- 【札幌市】(クリーンリバーフィネス静修学園前)
森を抱き、都心を望む。そして安らぎにつつまれる。札幌”潤都心”。 - 【仙台市】(ライオンズ定禅寺グランフォート)
杜と都の貴席。 - 【名古屋市】(クリオ名古屋城西)
城下の由緒を、継ぐ。 - 【広島市】(シティハウス平和公園リバーサイドレジデンス)
平和公園を前に安らぎ、水辺の緑景に心解き放つ。 - 【福岡市】(ブラントン大濠公園)
暮らしに寄り添うように、大濠公園があるという幸せ。
「中央/地方」×「利便志向/自然志向」
対応分析(コレスポンデンス分析)の結果を次図に示す。
特徴のある言葉(特徴語)の上位60語を可視化することで、マンションポエムの地域的な特徴の理解が進むことが期待できる。
対応分析結果の解釈の仕方は色々ある。横軸・縦軸の意味をどのように解釈するかが分析者の腕の見せ所だ。
筆者は次のように、横軸は「利便志向/自然志向」、縦軸は「中央/地方」を示していると解釈した。その理由は次の通りだ。
- 図の左側に「満たす」「利便」「快適」、右側に「丘」「空」「緑」「空」といった言葉が分布していることから、横軸は「利便志向/自然志向」を示していると解釈した。
- 縦軸は何を意味しているのか、特徴語だけではなかなか説明しにくかったので、結果としての都市の分布から解釈した。すなわち、図の上部に首都東京のある23区とかつての都があった京都が位置している一方で、図中央に首都3県、図左下にその他都市が固まっていることから、縦軸を「中央/地方」とした。