不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、マンション選びのためのお役立ち情報を提供しています

住宅着工統計(25年12月)|東京都の微減が映し出す供給の「壁」

国土交通省が1月30日に公表した「住宅着工統計(令和7年12月分)」。

数字の羅列では見えてこない市場の実態を、6つのグラフで可視化していく。


もくじ

25年12月の住宅着工動向について、公式発表には次のように記されている。

新設住宅着工戸数:62,118戸
(前年同月比1.3%減、2か月連続の減少)

  • 分譲住宅:18,522戸
    (前年同月比1.9%増、先月の減少から再びの増加)
    • マンション:7,735戸
      (2.5%増、先月の減少から再びの増加)

総数で見れば「2か月連続の減少」だが、分譲マンションに限れば「再びの増加」に転じている。この乖離が何を意味するのか、詳細なデータから深掘りしてみよう。

【全国】前年同月比2.5%増、底打ちも回復力は鈍い

まずは全国の分譲マンションの動きだ。12月の着工戸数は、前年同月比で2.5%の増加となった。

前月の減少からプラス圏に浮上したものの、長期的な視点で見れば、決して勢いがあるとは言えない。次図を確認すると、2020年以前のボリュームゾーンには遠く及ばず、低水準での一進一退が続いている。回復の足取りは依然として重い。

分譲マンション着工戸数 前年同月比の増減推移(全国)

【首都圏】前年同月比1.7%増、長期減少トレンドの中での足踏み

三大都市圏別の推移を可視化したのが次図だ。首都圏(赤色)は長期的には右肩下がりのトレンド(黒破線)に沿って推移しており、供給の「絞り込み」が定常化している様子が読み取れる。

分譲マンション着工戸数の推移 (三大都市圏別)

月ごとの乱高下を排し、首都圏の前年同月比に絞って可視化したのが以下のグラフだ。

結果は、前年同月比1.7%増。わずかなプラスではあるが、市場が活気を取り戻したと判断するには時期尚早だろう。

分譲マンション着工戸数 前年同月比の増減推移(首都圏)

【東京都】前年同月比4.8%減、最大市場の供給停滞が鮮明に

さらに解像度を上げ、1都3県の推移を見てみよう(次図)。今月は自治体によって明暗が分かれた。

前年同月に極端な落ち込みを見せていた神奈川県は、651戸から1,348戸へと反発。一方で、最大市場である東京都は、前年同月の1,997戸から1,901戸へと微減した。千葉県や埼玉県も低水準で推移しており、供給の蛇口が依然として固く締められている状況に変わりはない。

分譲マンション着工戸数の推移(1都3県)

東京都の前年同月比に絞ったグラフが次図だ。都内の着工戸数は前年同月比4.8%減。全国や首都圏がプラス圏にあるなか、東京の落ち込みが全体の重石となっている構図が鮮明だ。

分譲マンション着工戸数 前年同月比の増減推移(東京都)

過去20年以上の「12月の実績」だけを抽出したのが以下のグラフである。

今月の東京都の実績は1,901戸。青い◯印の推移を見れば、2010年代半ばまで3,000戸前後で推移していたボリュームが、近年は2,000戸前後を天井とするステージへ一段切り下がったことが見て取れる。

分譲マンション着工戸数の推移(東京都)

供給構造の変化が示唆する、都心居住のハードル

建築コストの高騰や用地取得の難化により、デベロッパーの供給スタンスは「高単価でも消化が見込めるプロジェクト」へシフトしている。

東京都の月間着工数1,901戸という数字は、かつての大量供給期とは異なる市場フェーズに入ったことを示している。供給の限定化が続く限り、価格の下落圧力は働きにくく、都心マンションは実需層にとって一層手の届きにくい、資産性の高い商品へと純化していく可能性が高い。

あわせて読みたい

2025年6月1日、このブログ開設から21周年を迎えました (^_^)/
Copyright(C)マンション・チラシの定点観測. All rights reserved.