都心のマンションは新築も中古も高騰し、もはや庶民には手が出ない水準になっている。ところが、外国人、特に中国人が投資対象として都心のマンションを買いあさっているというメディア情報を時折見かける。
外国人が日本のマンションを購入する理由として掲げられているのは、(1)地政学リスクが低く、投資先として安全であること、(2)子供の留学や、将来移住するため、(3)円安の影響により安く購入できる、など。
外国人にとって、円安の影響がマンションの購入価格にどの程度影響しているのか、調べてみた。
ドル建て価格:22年以降下落
東京23区内における中古マンションの平均成約価格を対象に、過去23年間の円建てとドル建ての価格の違いを可視化してみた(次図)。
円建ての成約価格は、アベノミクス以降上昇し続けている。
一方、ドル建ての成約価格は、15年から21年にかけて上昇するが、円安が進行し始めた22年以降下落している。
【メモ】データの出所
- 中古マンションの成約価格
東日本不動産流通機構:レインズデータライブラリー>年報マーケットウォッチ>表1-③中古マンションの基本指標[都区部]- 為替
IMFデータ(←開くのに時間がかかります):米ドルに対する日本円、人民元に対する日本円
人民元建て価格:20年以降頭打ち
次に、東京23区内における中古マンションの平均成約価格を対象に、過去23年間の円建てと人民元建ての価格の違いを可視化してみた(次図)。
円建ての成約価格は、アベノミクス以降上昇し続けている(既述)。
一方、人民元建ての成約価格は、15年から20年にかけて上昇するが、円安が進行し20年以降頭打ちになっている。
【メモ】データの出所
- 中古マンションの成約価格
同上- 為替
IMFデータ:米ドルに対する日本円、米ドルに対する人民元から、人民元に対する日本円を算出した((円/ドル)÷(人民元/ドル))。
【参考】円の対ドル・対人民元為替レートの推移
IMFデータ(←開くのに時間がかかります)を元に、円の対ドル・対人民元為替レートの推移を可視化した(次図)。
アベノミクスによって株価は上昇したが、円安も進行した。
※対人民元レートは、対ドルレートから算出した。
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