事業所の跡地に建つ、中規模マンションの広告。
物件概要
【予告広告】東京駅直通12分(快速利用)、駅徒歩14分。総戸数96戸、9階建。販売戸数/未定、2LDK(55.02m2)~4LDK(85.69m2)。販売価格/未定。平成32年1月上旬竣工(本チラシ掲載日の1年8カ月後)。
「みどり」は借景
新聞半紙大のチラシのオモテ面に「リゾートのような休息の日常を」演出するCG。バルコニーのシースルーフェンスに寄り掛かり、鬱蒼としたみどりを眺めている女性と、リクライニングで寛ぐ白人男性。
チラシ裏面にも、「心を癒す、水と緑に包まれた日常」をアピールする写真が掲載されている。
よほど緑の多いマンションかと思いきや、そうではない。「東京都マンション環境性能表示」のラベルを見ると、「みどり」は一つ星でしかない(次図)。
「みどり」は二つ星が世間相場(「設備の省エネ性」「建物の断熱性」は三つ星が当たり前!「東京都マンション環境性能表示」の相場感)。このマンションは一つ星でしかないのに、なぜ、広告では鬱蒼とした緑が掲載されているのか?
答えは、借景。マンション敷地の西側、南北方向に走る親水公園の借景なのだ。親水公園が借景できるのであれば、敷地内に緑が多くなくてもそれはそれでよし。植栽に係る維持管理費が安く済む。
そのぶん、「建物の断熱性」と「設備の省エネ性」を3つ星まで高めているのは、むしろ好感が持てる。
全戸ハンモック対応マンション!
チラシ裏面を眺めていて、もうひとつ気になったのは「全戸ハンモック対応マンション」を謳うイメージCG。
ハンモックで心地よさそうに眠る若い女性の写真だ。
- 使用・設置に関しては条件があります。詳しくは係員にお尋ねください。
- 掲載のハンモックイメージCGは設計図書を基に描き起こした完成予想CG(B1タイプ)と人物・ハンモックを合成したもので、実際とは多少異なる場合がございます。ハンモックは販売価格に含まれます。
販売価格に含まれている「全戸ハンモック対応」って、どこに設置されるのか?
CGからは、バルコニーに設置されているように見える。だとすれば、ハンモック対応にかかる費用は、専用フックの取り付け費用とハンモック本体の製品代くらいだから大したことはない。アマゾンで調べると、ハンモック本体はピンキリだが、数千円で買える。
1万円程度で喧伝できる「全戸ハンモック対応」に販促効果はあるのか? ハンモックに惹かれて、マンションを契約するような人はどのくらいいるのか?
ハンモックをバルコニーで吊り放しにしておくと、埃で黒ずんでくるから、室内に取り込む必要があるだろう。ハンモックは収納スペースの肥やしにならないか……。
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(本日、マンション広告1枚)