2025年第3回定例会(9月)の本会議において、羽田新ルート問題はどれほど議論されたのか。
これまで本ブログで紹介してきた都議会および各区議会の質疑応答をもとに、今回はその全体像を整理した。
対象としたのは、羽田新ルートが上空を通過する13区の区議会と東京都議会である。
羽田新ルートの質疑があった3区議会
※以下、敬称略
港区議会(自民1、立憲1)
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鈴木(自民):羽田新飛行経路の問題をどのようにすることが、選挙で約束した事実を果たすことにつながるとお考えでしょうか
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区長:固定化回避の早期実現を国に強く求めてまいります
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阿部(立憲):新飛行経路の固定化を回避、区長のお考え?
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区長:固定化回避の早期実現を国に強く求めてまいります
⇒詳しくは、港区議会で自民・立憲が追及も…清家区長は再び“定型文”答弁
品川区議会(共産1)
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石田(共産):区長が(国に)求めた海上ルートの実現に資する方策とは具体的に何か?
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部長:海から離着陸するルートを含め、区民負担軽減の取組について、今後も機会を捉え国へ要望してまいります
⇒詳しくは、品川区がついに「海上ルート」に言及!? しかし中身は玉虫色答弁のまま
渋谷区議会(シブヤ笑顔1)
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伊藤(シブヤ笑顔):長谷部区長がリーダーシップをとって国に3区での申し出を
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区長:3区で申し入れを行う考えはありません
⇒詳しくは、渋谷区議(シブヤ笑顔)が「絶対反対」!区長与党から飛び出した羽田新ルートへの異議
13区中10区は“無言” 都議会も黙した羽田新ルート問題
羽田新ルートが頭上を通過しているにもかかわらず、2025年第3回定例会の本会議(代表質問・一般質問)で一度も言及されなかった議場がある。都議会、そして新宿、江東、目黒、大田、中野、豊島、北、板橋、練馬、江戸川の10区議会である。
住民の不安が積み重なっているなかで、議会がこの問題を取り上げないという事実は重い。議会は単に行政の報告を受ける場ではなく、住民の声を可視化し、政策課題として浮かび上がらせる役割を担っているからである。
「委員会で議論している」という説明は十分ではない。多くの委員会は中継もなく、議事録が公開されるまでの時間差もある。本会議での発言は公開性が高く、区民にとって最もアクセスしやすい情報発信の場である。そこで触れられないことは、区民からすれば「議論が存在しなかった」のと同じに映る。
- ※詳しくは「羽田新ルート|一般質問以外の舞台での議論は存在していないも同じ」を参照。
都議会と10区議会が沈黙を続ければ、羽田新ルート問題は「一部の議会だけが扱う特殊なテーマ」として扱われかねない。その偏りこそが、議論の全体像を歪めているのである。
羽田新ルートを取り上げた議員数の推移(2019年~)
羽田新ルートが通過する13区について、2019年第1回定例会以降の本会議(代表・一般質問)において、羽田新ルート問題を取り上げた議員数を集計した。以下の表がその内訳である。
際立って多いのが港区、渋谷区、品川区の3議会である。これらの議会では、繰り返し新ルートに言及し、議論の場を確保してきた。
一方、都議会は異様なまでの“無関心”ぶりを貫いている。議席の多数を占める都民ファーストの会が沈黙し、小池都知事の方針に異を唱える声がほとんど聞こえてこない。これでは、羽田新ルート下に暮らす都民の代表とは言い難い。
議会が行政の追認機関に堕していないか──。数字は、その現実を静かに語っている。

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