なぜ、13の区議会の定例会の代表質問や一般質問で、羽田新ルート問題が取り上げられていない区議会があるのか。現状を考察してみた。
代表・一般質問で羽田新ルートが取り上げられない理由
羽田新ルートは13の区を通過する(次図)。
「羽田新ルート問題(総まとめ)」より
なぜ、13の区議会の定例会の代表質問や一般質問で、羽田新ルート問題が取り上げられていない区議会があるのか。羽田新ルートを推進している自公ならともかく、反対を掲げている共産党や市民会派であっても、区議会によっては必ずしも取り上げられていない。
そんなことを考えながら、19年第1回定例会以降の本会議代表・一般質問で羽田新ルートを取り上げた人数の内訳を先日ブログにまとめた(次表)。
「羽田新ルート|20年第3回定例会(都・区議会まとめ) 」より
この記事を読まれた区議さんや羽田新ルートの反対活動をされている区民の方から、次のようなコメントを頂戴した。
(社民党の区議)
委員会の中で、質問したり意見していると、そこで一旦担当者から答弁を頂くので、同じことをまた一般質問でまた繰り返すことになります。
私のような小さな会派は質問時間も限られておりますので、どうしても質問内容にも制約が出てしまい、それまで取り上げていないことを質問して、答弁をとなります
(共産党の区議)
私が決算特別委員会で、総括質疑ではありませんが、環境保全課の款で質疑しました。
(羽田新ルートの反対活動をされている区民)
本会議でこの問題に対する質問がなかった区議会の中に〇〇区議会が含まれていますが、実際は毎回毎回陳情が出され、それについての質疑が行われ、今回も共産党と〇〇から討論が出ていました。
また、以前にこんなリツーイトを頂戴したこともある。
(市民会派の区議)
数ある課題のなかで、一般質問で何を取り上げるか、いつも悩みます。
「一般質問で取り上げないから羽田問題を軽視している」かのような発信はいかがなものかと思います。
以上のコメントから、代表質問や一般質問で羽田新ルート問題が取り上げられない主な理由は次の2点に集約できるのではないか。
- 代表・一般質問には時間的制約があること
- 委員会や陳情事案などの段階で議論していること
多くの区民は、区議会の流れを理解していない!?
そもそも多くの区民は、区議会の流れを正確に理解していないのではないか。
定例会が年4回開催(2月・6月・9月・11月)されていることや、本会議開催初日または2日目から代表・一般質問が行われること。
また、一部の区議で構成される各委員会の場で詳細な質疑が行われることや、区議会議員が全員集まって話し合う本会議で決まったことが区の最終的な決定であることなど(次図)。
代表・一般質問以外の舞台での議論は存在していないも同じ
区議会でどのような議論が行われているのか、区民が認識できるのはせいぜい「区議会だより」であり(次図)、その区議会だよりに掲載されるのは、代表・一般質問のサマリーである場合が多いのではないか。
多くの区民は、定例会の本会議での討論の内容を知ることはなく、また各委員会での質疑応答についても、同様なのではないか。
そもそも、ネット中継さえ、ほどんと視聴されていないというのが現実である(次図)。
羽田新ルート問題をワッチし続けている筆者は、少数会派の議員らが限られた持ち時間の中で一般質問の割り振りをしなければならないという厳しい状況下にあることは十分に理解できる。
でも、多くの区民はそんな議員の台所事情は知らないので、結果的に羽田新ルート問題が忘れ去られていくということになる。
多くの区民は区議会の細かいルールなど知らないし、また、関心も低い(次図)。
代表・一般質問で羽田新ルートを項目建てしないと、いくら議員が本会議の討論や委員会といった「代表・一般質問以外の舞台」で熱心に議論していても、残念ながら、多くの区民にはそのような議論は存在していないと同じなのではないのか、というのが筆者の認識である。
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