渋谷区議会の「25年第3回定例会」本会議(9月19日)で、羽田新ルートが取り上げられた。質疑に立ったのは「シブヤ笑顔」の伊藤毅志議員。長谷部区長に対し「3区長で国に申し入れを」と迫り、区長の慎重答弁と真っ向からぶつかる展開となった。
議会中継(録画)をもとに、全文テキスト化(約2千文字)しておいた。
※時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。
伊藤毅志 議員(シブヤ笑顔)

伊藤毅志 議員(シブヤ笑顔、区議9期、元文部大臣 小杉隆秘書、早大社会科学部卒、64歳)
伊藤:長谷部区長がリーダーシップをとって国に3区での申し出を
4点目は羽田新飛行ルートへの取り組みについてです。
渋谷区議会は、国から渋谷区上空2ルート同時に低空飛行し羽田空港へ向かう計画が発表されて以来、一貫して新ルートの見直しを求めてきました。
平成30年から令和4年にかけ意見書を4件、要望書を1件、国に提出。特に令和3年、羽田新飛行ルートの早急な運用停止を求めた「羽田新ルートの運用停止を国に求める意見書」並びに、渋谷区本町のテニスコートに旅客機から氷塊が落下した事態を受けて提出された「羽田空港新飛行ルート運用に対する地域住民の不安を解消する策を講じることを求める意見書」は、全会一致で議決されたことは特筆すべき点です。
私自身もいまだに、毎日渋谷区上空を飛び続ける旅客機になれることはありませんし、絶対反対の立場です。
さて本年4月31日、森澤恭子品川区長が国土交通大臣に対し、品川区上空を超低空で飛ぶ新飛行ルートの固定化を回避し海上ルートに変更するよう求めたと報道がありました。これは2023年に続き2度目の要請行動です。
本年7月、私は渋谷駅周辺のまちづくり協議会が行ったドイツ・オランダ視察団の一員としてベルリンを視察しました。そこでは2020年に廃港になったベルリン・テーゲル空港跡地のスマートシティ構想を学びましたが、担当者に「なぜこの空港を廃港したのか」という問いに「新たな空港ができたことが理由だが、この空港の近くに住宅地域が点在し、危険を回避することも大きな理由」と答えられていたのが印象的でした。
今の時代に新たに都心の住宅密集地上空を低空で旅客機を飛ばし続けることなどナンセンスです。
羽田新飛行ルートでは渋谷区上空から徐々に高度を落としつつ、港区・品川区上空を通過して羽田空港へ向かっていきます。品川区長1人に新ルート見直しを求めさせるのではなく、3本の矢の故事にならって、区民に危険が及ぶ羽田新飛行ルートの運用停止または固定化回避に向けた海上ルートへの変更検討促進などを、品川区長・港区長・渋谷区長3区長が協力して行うべきと考えます。
森澤品川区長、清家港区長は長谷部区長の後輩区長にあたります。ぜひ長谷部区長がリーダーシップをとって国に3区での申し出を行っていただきたいと思いますが、お考えを伺います。
区長:3区で申し入れを行う考えはありません

長谷部健 渋谷区長(無所属、3期、元渋谷区議会議員3期、専修大学商卒、53歳)
次に羽田新飛行ルートについてのお尋ねです。
羽田新飛行ルートについては、国にはこれまでも区民の負担軽減につながる取り組みや、区民に十分な説明と情報提供をするよう求めていますが、第6回固定化回避検討会においては、今後の取り組みとしてさらなる騒音負担軽減や海上ルート実現に資する方策について、国際動向等を踏まえた調査・研究の実施を行うことが示されましたので、今後の検討結果を踏まえて判断していくとの姿勢には変わりはなく、3区で申し入れを行う考えはありません。
伊藤:「状況を見て検討します」とかぐらいは言ってもらわないと
それとも意見だけにしようと思ったんですが時間もあるので、次の羽田新飛行ルートのほうは再質問します。
私は3本の矢の故事に倣って「3区長でやってください」という話をしました。特に品川区は本当に近いところを通っていて音もすごいし迫力もすごいし、これかわいそうだなというふうに思うことも本当にあります。
そういうなかで渋谷区・港区は上空で六本木在日米軍基地の離着陸をする米軍のヘリコプターとの交錯があるわけですよ、飛行機との。それを考えると本年1月、ワシントンDC近くで起きたアメリカン航空と米軍ヘリとの衝突事故でポトマック川に落っこったあの大惨事をどうしても彷彿させちゃうんです。
なので本当に大きな事故がここの上空で起こって急にバタバタっていうんじゃなくて、事前にやっぱり区民の安全・安心を担保するためにぜひ羽田新飛行ルート、この超低空を住宅地を飛び続けることなんかがいいと思えないんで、これに関しては「3区長で合同して申し入れる考えはありません」というふうにおっしゃいましたけど、このところはせめて「状況を見て検討します」とかぐらいは言ってもらわないと引っ込みがつかないもんですから、再質問とさせていただきます。
区長:そこはぜひご理解いただければ
伊藤議員の再質問にお答えします。まず羽田の飛行ルートについてですけども、「3区長で」という話ですが、現在固定化を回避すべき方策についての検討というものをなされるという報告を受けています。
ですので「現時点で(3区長で)一緒になってやる必要はない」というふうに先ほどお答えしました。ですのでそこで汲み取っていただければいいんじゃないかなと思います。
申し訳ないけど、「引き下がれない」というためにここでそういった答弁を区長という立場ではすることが簡単ではないので、そこはぜひご理解いただければと思います。
伊藤:やっぱり納得いかないものは納得いきません
区長とは長年の関係もあって、今の私があるんだろうと思うんですけど、やっぱり納得いかないものは納得いきません。
本当に大きな事故が起きた後に「あの時はごめんなさい」って済む話ではないんで、本当に区民の安全・安心を思ってくれるんだったら積極的に羽田の新飛行ルートのことにも関わっていただきたい。
1つの方策として「3区長で」というふうに言いましたけど、ぜひよろしくお願いしたいと思います。引き続きよろしくお願いします。
雑感:渋谷区議(シブヤ笑顔)が「絶対反対」
「シブヤ笑顔」は区長与党の第二会派であり、これまで羽田新ルート問題を定例会本会議の代表・一般質問で取り上げたことはなかった。容認姿勢の長谷部区長に逆らってまで争点化する会派ではない――その予想を裏切り、伊藤議員が「絶対反対」と言い切ったことは意外である。
質疑のやり取りでは、伊藤議員が「区長とは長年の関係もあって、今の私があるんだろうと思うんですけど」と区長に揺さぶりをかけたが、長谷部区長は「そこはぜひご理解いただければと思います」とかわした。
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