品川区議会の「25年第3回定例会」本会議一般質問(9月18日)で、羽田新ルートに関して石田ちひろ議員(共産)の質疑応答があった。
会議録を元に整理(約2千文字)しておいた。
※敬称略
※以下長文。時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。
※答弁は全て都市環境部長。
石田ちひろ議員(共産)

石田ちひろ議員(共産党、区議4期、元歯科衛生士、都立南高校卒、50歳)
【石田】区長が(国に)求めた海上ルートの実現に資する方策とは具体的に何か?
次に、「羽田新ルート固定化回避検討会は破綻した、区長は従来の海上ルートに戻すよう国に求めよ」です。
品川区では、連日80デシベルを超える騒音と超低空飛行による恐怖により平穏な生活が送れない日々が5年半になります。一刻も早く海上ルートに戻すことが求められています。羽田議連の求めに応じて、7月31日、国交省が品川区議会に対して羽田新経路に関する説明会を行いました。そこで明らかになったことは、改めて現在のAC滑走路の使い方を前提にした固定化回避検討会では、品川の低空飛行はなくならず、固定化回避検討会そのものが完全に破綻しているということでした。
その理由は、国交省が第6回検討会の報告で述べているように、
- 1、新たに提案された曲線経路RNP-AR方式は未対応の機材が数多くあり、導入までには二、三十年かかるということ、つまり、少なくとも二、三十年間は固定化されるということです。
- 2、安全性の問題です。経路逸脱など衝突の危険性について、管制官の24時間常時監視が必要であり、国交省自ら、昨年1月に発生した羽田事故を踏まえ、ヒューマンエラーのリスクとなり得る運用の大きな変更やさらなる複雑化は慎重に行うべきと述べています。
- 3、RNP-AR方式は市街地上空を通過することになると述べており、品川低空飛行は避けられないと国交省が認めているのです。
だからこそ、区長は、12月の申入れで区民負担軽減につながる具体的な方策が示されなかった、看過できないと述べたのではないでしょうか。
RNP-AR方式は導入までに二、三十年もかかる。導入したとしても品川区にとってはむしろ危険性が高まる。挙げ句の果てに、品川の低空飛行は避けられない。この結論は、固定化回避検討が完全に破綻したものと考えますが、区の認識を伺います。
森澤区長は、議会に対する国交省説明会と同日、国交大臣に対して、第7回固定化回避検討会を早期に開催し、海上ルートの実現に資する方策など、区民負担軽減につながる具体的な方策の提示とその実施を早期に行うよう求めると申入れを行い、海上ルートに初めて言及しました。区長が求めた海上ルートの実現に資する方策とは具体的に何か、伺います。
AC滑走路の使用を前提とした固定化回避検討会で、RNP-AR方式をどれだけ検討しても品川の抵抗飛行は避けられないと国交省自ら認めています。破綻した固定化回避検討会ではなく、従来の海上ルートに戻すよう求めてください。いかがでしょうか。
【部長】海から離着陸するルートを含め、区民負担軽減の取組について、今後も機会を捉え国へ要望してまいります

鈴木和彦 都市環境部長(元 都市環境部都市計画課長)
私からは、羽田新飛行ルートについてお答えいたします。
初めに、固定化回避検討会についてですが、昨年12月24日に行われた第6回検討会では、前回開催から2年以上の検討期間があったにもかかわらず、昨年末の検討会では具体的な方策が示されませんでした。
もとより区は、具体的な取組内容の提示と早期の実施について強く要望してきたところであり、今回の結果は看過できないとして、検討会翌日の12月25日に区長名により国土交通大臣へ宛て申入書を提出したところです。
国は固定化回避に向けた努力を継続するとしており、本年中開催とされている第7回検討会に向けて検討が進められているものと認識しております。
次に、海上ルートについてです。本年7月31日、区長が国土交通大臣を直接訪問し、第7回固定化回避検討会を早期に開催するとともに、区民負担軽減につながる具体的な方策の提示とその実施が早期に行われるよう求めました。
大臣からは、「要望を受け止めて、地域の皆様の負担軽減に取り組んでいく」との回答を得たところです。大臣との面会では、区長より、海上ルートの実現に資する方策を求めましたが、区としましては、必ずしも国が示すルートに限定されず、海から離着陸するルートを含め、区民負担軽減の取組について、今後も機会を捉え国へ要望してまいります。
【石田】こういう答弁は初めてだと思うんですが
羽田です。区長が求めた海上ルートについて、海から離着陸するルートを含めと答弁されたと思うんです。こういう答弁は初めてだと思うんですが、どういうことなのか改めてお聞かせください。
【部長:具体的な取組の提示と実施が行われるよう今後も機会を捉え国に対し要望してまいります
羽田新飛行ルートに関する再質問についてお答えいたします。
大臣との面会において区長が求めました海上ルートの実現に資する方策につきましては、必ずしも国が示すルートに限定されず、海から離着陸するルートを含めた区民負担軽減に向けた取組についてであり、区としましては、その具体的な取組の提示と実施が行われるよう今後も機会を捉え国に対し要望してまいります。
【石田】従来の海上ルートに戻すことも含むということでしょうか?
羽田新ルートですけれども、そうすると、海から離着陸するルートというのは、私たちがこれまで求めてきた従来の海上ルートに戻すことも含むということでしょうか。ということになると、すごい一歩になるなと思うんですけれども、改めて伺います。
【部長】具体的な取組の提示と実施が行われるよう、今後も機会を捉え国に対し求めてまいります
羽田新飛行ルートに関する再々質問にお答えいたします。
区長が大臣との面会において海上ルートの実現に資する方策を求めた件についてでございます。先ほどもご答弁申し上げましたが、必ずしも国が示すルートに限定されず、海から離着陸するルートを含めた区民負担軽減に向けた取組についてであります。
区としましては、その具体的な取組の提示と実施が行われるよう、今後も機会を捉え国に対し求めてまいります。
雑感──「初めての答弁」は前進か、それとも玉虫色の拡張か
石田議員が思わず「こういう答弁は初めてだ」と驚いたのも無理はない。これまで「区民負担軽減につながる具体的な方策の提示とその実施が早期に行われるよう、引き続き国に対し強く求めてまいります」と繰り返すだけだった区が、ついに定例会の場で「海上ルート」という言葉を口にしたからである。
たしかに森澤区長は7月31日、中野洋昌国土交通大臣を電撃訪問し、海上ルートの実現nに資する方策などを要望している。
だが冷静に答弁を読み返せば、拍子抜けする。部長は「必ずしも国が示すルートに限定されず」「海から離着陸するルートを含め」と言葉を散らかし、最後は「今後も機会を捉え要望してまいります」で締める。結局、何をどうするのかは一切示さない。これは前に進んだのではなく、玉虫色の答弁のバリエーションが増えただけである。
そもそも「海上ルートの実現に資する方策」とは何なのか。従来ルートに戻すことなのか、それとも別の抜け道を探しているのか。区長が大臣に何を求め、国がどう応じるのか、その肝心な部分は不明のままである。石田議員が二度三度と確認しても、部長は「要望してまいります」と壊れたテープレコーダーのように繰り返すばかり。
「初めての答弁」に聞こえても、実際には責任を曖昧にするための新しい言い回しにすぎないのではないか。区民が求めているのは「要望の言葉」ではなく「実際の行動」である。
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過去の定例会の質疑応答詳細については、以下参照。