第216回国会(24年11月28日~12月24日)の参議院の質問主意書を眺めていて、米軍機などによる学校騒音に関する質問主意書があることに気が付いた。
山本太郎 参議院議員(れいわ新選組)が12月17日に提出した質問主意書に対する政府答弁書が公開されたのでひも解いてみた。
読みやすいように、一問一答形式に再構成。
※時間のない方は、「質疑応答のポイント」と文末の「雑感」をお読みいただければと。
山本太郎 参議院議員(れいわ新選組)
山本太郎 参議院議員(2期、れいわ新選組、元俳優・タレント、箕面自由学園高校中退、50歳)
令和6年4月9日の参議院環境委員会において、私は、米軍機などの飛行によって、学校・幼稚園等において学校環境衛生基準が定めるレベルを上回る騒音被害が生じていることについて指摘し、文部科学省に対して「子どもたちの命、健康が懸かっているということ。なので、是非文科省としても調査をやっていただきたい。」と求め、文部科学副大臣から「しっかりと検討させていただきます。」との答弁を得た。
阿部俊子 文部科学大臣(自民、7期、イリノイ大学シカゴ校大学院、65歳)
その後、前記4月9日の質疑を受けて文部科学省から参議院環境委員会に対して、「騒音による児童生徒への影響に関するアンケート実施について」(令和6年5月30日付)と題した資料が提出されている。
同資料には、「令和6年4月9日(火)参議院・環境委員会におけるやりとりを踏まえ、学校環境衛生基準で望ましいとされている騒音レベルを上回ることが想定される地域において、教育委員会を通じてアンケート調査を実施し、対象地域の騒音レベルの実態を把握する。」と記載されている。
令和6年11月13日に参議院議員山本太郎事務所から文部科学省に対して、本アンケート調査の回答結果と公表時期について問い合わせたところ、令和6年11月15日に同省から以下の回答を得た。
「環境委員会において指摘のあった在日米軍飛行場施設(普天間・嘉手納)がある自治体が所管する公立小・中・高等学校、特別支援学校を対象とし、5月29日に調査を依頼し、現在、回答結果を整理しているところであり、整理でき次第、お伝えしたいと考えております。」
この回答を踏まえて、以下質問する。
問1:(米軍機騒音の調査結果)公表までにあとどのくらい?
本アンケート調査の回答結果の速やかな公表を求めるが、公表までにあとどのくらいの時間を要するのか、明確なスケジュールを示されたい。
問2:どのような形で公表するのか?
本アンケート調査の回答結果は、山本太郎事務所に「お伝え」するだけでなく、広く公表すべきと考えるが、どのような形で公表するのか示されたい。
答1&2:1月中旬までに取りまとめ、国会議員等の求めに応じて提供
御指摘の「公表」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、文部科学省としては、「本アンケート調査の回答結果」については、令和7年1月中旬までに取りまとめを行い、国会議員等の求めに応じて提供する予定である。
問3:なぜ回答結果の取りまとめ完了までに5ケ月以上も?
令和6年5月29日に調査を依頼し、11月15日時点で回答結果を整理中との回答であったが、なぜ回答結果の取りまとめ完了までに5ケ月以上も時間を要しているのか、その理由を説明されたい。
答3:精査をするなどしていたことから、取りまとめに時間を要して
御指摘の「調査」については、文部科学省が、沖縄県教育委員会に対して、嘉手納飛行場及び普天間飛行場が所在する市町内の公立の小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校を対象としたアンケートの実施等を依頼し、同教育委員会から回答の提出を受けた後、その精査をするなどしていたことから、取りまとめに時間を要しているところである。
問4:先行して本アンケート調査の設問項目の詳細及び依頼対象校のリストを示されたい
本アンケート調査の回答結果の公表までに更に時間を要する場合、先行して本アンケート調査の設問項目の詳細及び依頼対象校のリストを示されたい。
右質問する。
答4:令和7年1月中旬までに取りまとめを行い、国会議員等の求めに応じて提供する予定
御指摘の「公表までに更に時間を要する場合」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、1及び2についてでお答えしたとおり、「本アンケート調査の回答結果」については、令和7年1月中旬までに取りまとめを行い、国会議員等の求めに応じて提供する予定である。
雑感(中身のない質疑応答文書…)
参議院の質問主意書を眺めていて、「米軍機」「学校騒音」というキーワードが目に留まったので、米軍ヘリによる首都異常飛行問題のことかと思い、同主意書の公開を待ちわびていたら、そうではなかった。沖縄米軍基地周辺の航空機騒音問題のことだった。
山本太郎 議員が24年4月9日の環境委員会で「是非文科省としても(米軍機などによる学校騒音のアンケート)調査をやっていただきたい」と発言。同発言を受けて、阿部俊子 文科副大臣は「「しっかりと検討させていただきます」と応じたのだが、同調査結果がいつまでたっても提示されなかったため、山本太郎 議員が質問主意書を投じたのである。
「令和7年1月中旬までに取りまとめ」というのが政府答弁。取りまとめ期限が論点。中身の薄い質疑応答文書だ、と私は思う。
とはいえ、山本太郎 議員が今国会で提出した質問主意書は4件(ランキング5位。次図)。他の議員よりは仕事をしている……。
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