第213回国会(24年1月26日~6月23日)の衆議院の質問主意書を眺めていて、横田空域に関する【再】質問主意書があることに気が付いた。
谷田川元 衆議院議員(立憲)が4月1日に提出した【再】質問主意書に対する政府答弁書が公開されたのでひも解いてみた。
※読みやすいように、一問一答形式に再構成した。
谷田川元 衆議院議員(立憲)
谷田川元 衆議院議員
(3期、立憲民主党、元丸紅社員、早稲田政経卒、61歳)
令和6年3月8日に提出した「横田空域の全面返還に関する質問主意書」では、1都9県(東京都、埼玉県、群馬県、栃木県、福島県、新潟県、長野県、山梨県、静岡県、神奈川県)にまたがる広大な空域にもかかわらず、米軍に航空管制を委ねており、主権国家として異常な状態にあることを危惧して質問を行った。
それに対して、令和6年3月19日に受領した同質問主意書に対する答弁書(内閣衆質213第57号)では、政府の全面返還に対する方針について、「その考えに何ら変わりはありません。」との答弁であった。
ついては、先の答弁書を踏まえ、改めて、確認のために次の質問について答えられたい。
問1:「全面返還に向けて関係省庁と協力しながら努力する。」が、現在の政府の方針?
「全面返還に向けて関係省庁と協力しながら努力する。」というのが、現在の政府の方針であるということでよろしいか。
答1:先の答弁書でお答えしたとおり
お尋ねについては、先の答弁書(令和6年3月19日内閣衆質213第57号。以下「前回答弁書」という。)1についてでお答えしたとおりである
問2:関係省庁とは?
関係省庁とは何省であるか、担当部署も含めて明らかにされたい。また、米軍側の担当部署についても可能な限り明らかにされたい。
答2:主に外務省北米局及び防衛省防衛政策局。当該調整を行う相手は在日米軍司令部
平成20年6月10日の参議院国土交通委員会における鈴木国土交通省航空局長(当時)による答弁中の「関係省庁と協力しながら」のお尋ねの「関係省庁」とは、主に外務省及び防衛省であり、これらの省庁における担当部署は、主に外務省北米局及び防衛省防衛政策局である。なお、国土交通省における担当部署は、主に航空局である。
また、お尋ねの「米軍側の担当部署」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、前回答弁書1についてで述べた斉藤国土交通大臣の答弁において「関係省庁と協力して米軍と調整するなど、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております」と述べているところ、当該調整を行う相手は、在日米軍司令部である。
雑感(谷田川議員からの再々質問が待たれる)
戦後78年も経つのにいまだに首都圏の一部空域を米軍に管理されている日本。羽田新ルートの運用開始に当たっても、新ルートの一部が米軍管制下の空域を横切るだけでスッタモンダした。
横田空域の全面返還は、日本が米国から主権を取り戻す一環として避けては通れない重い課題。そんななか、谷田川衆議院議員(立憲)の前回の質問は「全面返還に向けて関係省庁と協力しながら努力する」というのが政府の方針だということを改めて確認したことになる。「横田空域の全面返還に関する質問主意書」という目を引く件名にしては、中身が薄いというのが、筆者の印象だ。
そして、今回の再質問。全面返還に努力している関係当局の部署と米軍側の担当部署を質問して、政府から具体的な部署名を引き出すことができた。
具体的な部署名を知って、どうするのか? ひょっとして、これまでの質問・再質問は、再々質問のための準備質問だったのか? ホントに知りたいことは、再々質問で明らかになるのか? 谷田川議員からの再々質問が待たれる。
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