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マンション防災の「トイレ問題」を数学で攻略する

あなたのマンションは「汚物」でパンクしないか。

在宅避難を選んだ時、あなたの家に出現する「汚物の山」のサイズを計算してみた。


もくじ

恐怖ではなく「計算」で立ち向かう

「震災後、トイレが使えなくなる」 このフレーズを聞くと、誰もが絶望的なカオスを想像する。

溢れかえる汚物、耐え難い悪臭、崩壊する生活。 だが、ちょっと待ってほしい。その「恐怖」の実体は、一体どれくらいのサイズなのか。

得体の知れないリスクは怖い。だが、数値化されたリスクは管理できる。 今回は、被災後のトイレ問題を「感情」ではなく「数学」で因数分解してみよう。

結論から言えば、この問題は、標準的なマンションであれば十分に攻略可能である

敵の数(絶対量)を知る

まず、敵の戦力を確定させる。 4人家族が1週間の在宅避難をする場合、排泄回数は何回か。医学的に一般的とされる標準値をもとに計算する。

答えは232回である(次図)。

内訳は、大人は1日7回(排尿6回・排便1回)、子どもは1日9.5回(排尿8回・排便1.5回)。これが7日間積み重なると、家族全体で排尿196回、排便36回。

この「232回」という数字だけ見ると、確かに圧倒される。「簡易トイレを1箱(10回分)」買った程度の備えでは、半日も持たないことが明白だ。

図:4人家族が1週間の在宅避難をする場合、 トイレは何回必要なのか

敵のサイズ(占有面積)を測る

次に、この232回分を物理的な「体積」に変換する。 ここが攻略のポイントだ。

凝固剤で固め、空気を抜いて縛った汚物袋。これを45リットルのゴミ袋(実効容量30リットル)にまとめると、およそ7袋から8袋になる。

では、この「特大ゴミ袋8つ」は、あなたの部屋をパンクさせる量だろうか?

否、である。

袋1つを直径50cm程度の塊と仮定し、8袋を平積みにしてみる。 必要な床面積は、約1.5㎡から2.0㎡だ。

ここであなたのマンションのバルコニーを見てほしい。 最近の標準的な70㎡プランなら、奥行き2m、幅6m程度、面積にして約12㎡あるはずだ。

計算してみよう。 12㎡(バルコニー全体) ÷ 2㎡(汚物置場) = 占有率はわずか16%。

避難ハッチや室外機の前を避けたとしても、残りの84%のスペースは空いている。 仮にバルコニーが狭い物件でも、浴室の洗い場(約2㎡)を使えば収まる。 つまり、物理的なスペースの問題として見れば、「トイレ232回分」は、マンションにおいて十分に収容可能な荷物に過ぎないのだ。

図:「トイレ232回分」は、マンションにおいて十分に収容可能な荷物

結論・対策:スペースはある。あとは「質」の問題だ

数字は嘘をつかない。 「置き場所がなくて破綻する」というシナリオは、数学的に否定された。 これでパニックになる必要はなくなった。

しかし、油断は禁物だ。 「置ける」ことと、「快適に住める」ことは違う。 面積の問題はクリアしたが、「臭気」の問題が残っているからだ。

普通のポリ袋に232回分を詰め込んでバルコニーに置けば、その16%のスペースから発せられる臭気が、窓の隙間からリビングを侵食し、バルコニー全体を「立ち入り禁止区域」にしてしまう可能性がある。

ここで必要なのは、スペースではなく「テクノロジー」への投資だ。防臭素材を使った袋を用意してほしい。 これを使えば、汚物は単なる「無臭の黒い塊」に変わる。 臭いが漏れなければ、それはただの「荷物」だ。室外機の横に置こうが、リビングの隅に積もうが、生活を脅かすことはない。

まとめよう。

  1. 敵の量は「232回」
  2. 必要なスペースは「約2㎡」
  3. 標準的なバルコニーなら、余裕で収まる(占有率16%)
  4. ただし、「防臭袋」で臭いを封じ込めたい

マンション防災において、トイレ問題は「絶望的な災害」ではない。 適切な備蓄数と、適切な袋さえあれば、淡々と処理できる「タスク」の一つなのだ。 さあ、Amazonを開いて、232回分の「安心」をカートに入れよう。

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