年末に発覚した都議会自民党の政治資金不記載問題。
東京都選管HPに過去3年分の「政治資金収支報告書」が公開されているので、都議会自民党の政治資金を可視化してみた。
※投稿24年12月31日
【収入(21~23年)】12億円弱で推移
都議会自民党の政治資金の収入は過去3年間(21~23年)、12億円弱で推移している(次図)。
21年7月に都議選があったのだが、同年に収入が急増しているわけではない。ひょっとすると都議選の前年に増えたのかもしれないが、20年のデータは既に公開されていないので確認することができない。25年7月の都議選に向けて24年の収入が増えたのか、同年データの公開が待たれる。
全収入金額のうちの半分以上を占めている前年繰越金を除くと、最大の収入源は「交付金」(本部又は支部から供与された交付金)。あとの主な収入源は、「その他事業収入」「個人からの寄付」「個人の負担する党費又は会費」。
以下、順にひも解いていく。
【交付金】ほとんどが「自由民主党本部」からのもの
本部又は支部から供与された交付金は、そのほとんどが「自由民主党本部」からのもの。都議選のあった21年が最も多い3.6億円(次図)。
年別・月別の交付金の変化を可視化してみた(次図)。
21年の3~5月と同年10月の大幅増が目につく。
前者の急増は、同年7月の都議選に向けた支援援助なのか。また、後者の急増は10月衆院選に対する都議からのバックアップを期待した金なのか。
【その他事業収入】政治資金パー1.4億円が利益(利益率84%)
まず、収支報告書の「その他事業収入」(正式名称は「機関紙誌の発行その他の事業による収入」)の記載部分を見てほしい(次図)。
22年と23年が読みづらいのは、両者とも24年12月12日付で修正が入れられているからだ。大手メディアは12日、「パーティー券収入一部不記載で収支報告書を訂正」(NHK)といった見出しで伝えている。
さて、「その他事業収入」の内容を可視化してみると、22・23年の「東京政経フォーラム」(1人2万円)の収入が目立つ(次図)。
会場が東京プリンスホテルとなっている会費2万円の「東京政経フォーラム」を改めてよく見ると、22年の備考欄には「R5.1.30 開催予定」、23年の備考欄には「R5.1.30」と記されていることに気づく(次図)。
東京政経フォーラムに係る収入1億6,232万円(22年と23年の合計)に対して、支出は約2,538万円だから(次図)、その差約1億3,694万円が利益(利益率84%)ということになる。
【個人からの寄付】衆議院議員>参議院議員≒都議>区議
個人からの寄付は、21年の会社役員1名(比留間敏夫。元都議会議長。90歳)以外は議員によるもの(次表)。
上表を元に、さらに可視化してみた(次図)。
個人からの寄付の平均額は、概ね「衆議院議員>参議院議員≒都議>区議」であることが分かる。区議一人当たりの額は4、5万円程度と少ないが、人数が多いので総額は参議院議員並みに集まっている。
個人からの寄付が年間100万円以上のランキングをまとめてみた(次表)。
3年連続1位は、髙木啓 衆議院議員(当選3回、東京12区、59歳)。
24年10月の衆院選で落選した議員は少なくない。
【個人の負担する党費又は会費】増加傾向(8⇒9千万円)
「個人の負担する党費又は会費」の総額・人数の推移を次図に示す。
微増傾向が見られ、23年は約9,434万円・約12万人。1人当たり772円。
【支出(21~23年)】経常経費1.5~1.6億円+政治活動費2.1~3.8億円
都議会自民党の政治資金の年間支出はけっこうバラついている(次図)。
経常経費は1.5~1.6億円で安定しているが、政治活動費の変動幅は大きい(2.1~3.8億円)。
政治資金の過去3年間(21~23年)の支出の内訳を次図に示す。
政治活動費のなかでは、組織活動費、選挙活動費、寄附・交付金が多い。
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