不動産経済研究所が毎月中旬に発表している「首都圏新築マンション市場動向」のデータは平均値。
極端に高い物件や安い物件の影響を排除するには、平均値ではなく中央値でみるといい。中央値とは、データを小さい順に並べたとき中央に位置する値のこと。
不動産経済研究所は19年8月15日、「首都圏マンション 戸当たり価格と専有面積の平均値と中央値の推移」を発表した。不動産経済研究所が中央値を発表したのは16年11月に続き2度目。前回の発表データも含めて首都圏のデータを中心に、平均値と中央値の違いを確認してみた。
※投稿19年8月15日(更新23年6月9日:22年データ反映)
ざっくり言うと
発売価格:平均値よりも中央値のほうが常に低い
首都圏の発売価格の平均値・中央値の推移を次図に示す。
発売価格は、平均値よりも中央値のほうが常に低い。
平均値よりも中央値のほうが低いのは、平均値が億ションなど極端に高い物件の影響を受けているからである(次図)。
不動産経済研究所「首都圏新築分譲マンション市場動向2023年4月度」より筆者作成
専有面積:15年以降、平均値と中央値の差が拡大
首都圏の専有面積の推移を次図に示す。
専有面積は、平均値・中央値とも、リーマンショックが起きた08年を境に、一段と小さく(狭く)なっている(次図)。
08年以降は平均値よりも中央値のほうが高い傾向が見られ、15年以降その差は拡大している。これは15年以降、首都圏で発売された新築マンションのうち、専有面積が小さい(狭い)物件の数が多くなったことを意味している。
15年以降、狭くて高い物件が増加
首都圏の専有面積と発売単価(=発売価格÷専有面積)の推移を次図に示す。
15年以降、平均値・中央値とも、「より狭く、より高く」なる傾向が見られるが、平均値のほうがより顕著である。このことは専有面積を抑えて(狭くして)も発売単価の上昇を抑えられなかった物件が多くなったことを示唆している。
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