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質問主意書|横田空域の全面返還「平成20年当時とその考えに何ら変わりはありません」(政府答弁)

第213回国会(24年1月26日~6月23日)の衆議院の質問主意書を眺めていて、横田空域に関する質問主意書があることに気が付いた。

谷田川元 衆議院議員(立憲)が3月8日に提出した質問主意書に対する政府答弁書が公開されたのでひも解いてみた。


質疑応答のポイント

谷田川元  衆議院議員(立憲)

谷田川元 衆議院議員
衆議院 国土交通委員会 24年3月13日動画より)

谷田川元 衆議院議員
(3期、立憲民主党、元丸紅社員、早稲田政経卒、61歳)

昭和50年、日米合同委員会にて「航空交通管制に関する合意」がなされ、日米地位協定に基づいて、米軍が使用している飛行場とその周辺(以下「横田空域」という。)について、米軍が管制業務を行うことを認めた。

平成29年に8回目の横田空域の一部返還が行われたが、その後の交渉は進んでいるか確認のため以下の事項について、質問する。

問:「横田空域全面返還」という政府の方針に変更はないか

政府は、平成20年6月10日参議院国土交通委員会において、鈴木国土交通省航空局長(当時)が「それで、平成18年5月に日米で合意されました再編実施のための日米のロードマップにおきまして、平成21年度に横田空域全体のあり得べき返還に必要な条件の検討を完了するということとされておりますので、削減後も引き続き全面返還に向けまして関係省庁と協力しながら努力してまいりたいと考えております。」と答弁している。

「横田空域全面返還」という政府の方針に変更はないか。

答:「平成20年当時とその考えに何ら変わりはありません」

お尋ねについては、例えば、令和4年4月22日の衆議院国土交通委員会において、斉藤国土交通大臣が「議員御指摘の点については、平成20年当時とその考えに何ら変わりはありません。」と述べているとおりである。

雑感(横田空域、羽田新ルートで少しだけ返還されたのだが…)

政府答弁で例示された斉藤国交大臣発言につき、元の議事録全文を読むと、複雑な日米事情が伺える。

イエスかノーかというお問いですが、ちょっとイエスかノーかだけでは答えられない部分がありますので、ちょっと答弁させていただきます。
議員御指摘の点については、平成20年当時とその考えに何ら変わりはありません

改めてちょっと御説明申し上げれば、横田空域は、横田飛行場において米軍が進入管制業務を行っている空域をいいまして、米軍の排他的使用が認められるものとして米側に提供された空域ではございません。

したがって、いわゆる横田空域の返還とは、当該空域における米軍による進入管制業務の日本側への移管であり、その全面返還とは、当該空域において我が国が一元的に管制できるようにすることを意味します

このような認識の下、引き続き、横田飛行場等が在日米軍や我が国の安全保障上有する重要性を踏まえつつ、当該空域を一元的に管制できるよう、関係省庁と協力して米軍と調整するなど、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

横田空域全面返還(=当該空域を日本が一元的に管制できるようにすること)については、議員が言及した平成29年(2017年)の8回目の横田空域の一部返還のあと、2019年にも僅かながら空域が返還されている。

羽田新ルートを実現させるために19年1月30日、羽田新ルートで羽田空港に飛来する便について、横田空域を通過中も日本側が一元的に管制を行うことを米軍が合意したのである。

横田空域と羽田新ルートとの関係を示すマップ
羽田新ルート|米軍支配「横田空域」を可視化」より

※詳細は、「羽田新ルート|横田空域の管制権、日米交渉推移(まとめ)」参照。

 

ただ、米軍は横田空域の管制権をすんなりと日本に返還したわけではない。横田空域の管制権を少しだけ日本に使わせる代わりに、その30倍の三沢空域を手に入れたのだ。

このことを毎日新聞にスクープされて、赤羽国交大臣(当時)は、横田空域と三沢空域とのバーターについて、「空域間で貸し借りを行っているということはありません」と否定したうえで、「米軍が使用する空域の調整過程については、米国との信頼関係が損なわれるおそれがあることから、従来より公開は差し控えさせていただいておりまして(略)」と煙に巻いている。

※詳しくは、「羽田新ルート|横田空域の管制権、面積30倍の三沢空域とバーター!?」参照。

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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