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羽田新ルート|都議会「予算特別委員会」中田議員(立憲、渋谷区選出)もっと熱くならなければ

都議会「23年第1回定例会」予算特別委員会(総括質疑 3月9日)で、「羽田新飛行ルートについて」中田たかし議員(立憲)の質疑応答があった。

ネット中継(録画)をもとに、全文テキスト化(約3千700文字)しておいた。

※以下長文。時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

中田たかし議員(立憲)一問一答

中田たかし議員(立憲)
中田喬士 議員(立憲民主党、都議1期、明大院卒、33歳)

中田:固定化回避、どのように取り組んでいくのか?

次に、羽田新飛行ルートについて質問をいたします。
今日、今この天候でこの時間ですと、私の地元の渋谷でも多くの飛行機が飛んでいることだと思います。

国が設置しています羽田新飛行ルートに係る固定化回避検討会では、海岸沿いに曲線を描きながら降りてくるアメリカ・ジョン・F・ケネディ空港のような飛行方式など参考に検討が進められており、地元でも海上ルートへの見直しを求める声が多いです。


現状、都として固定化回避検討会にどう関わっているのでしょうか。また、今後羽田新飛行ルートの固定化回避にどのように取り組んでいくのか、都の見解を伺います。

都整局長:引き続き丁寧な情報提供・・・

福田都市整備局長
福田至 都市整備局長

国は令和2年、地元区の意見等を踏まえ、羽田新経路の固定化回避に係る技術的な方策について多角的に検討する会を設置し、検討を進めております。


都はこの会に参加はしておりませんが、結果についてはその都度公表されており、騒音軽減や技術的な観点から検討が進められているものと承知しております。


都は国に対し、飛行経路の運用に関して騒音影響の軽減を始め様々な対策を求めてきており、引き続き丁寧な情報提供と騒音・安全対策の実施を求めてまいります。

中田:渋谷区上空を南から北(に飛行)事実・理由、都として把握?

国では夏から秋にかけて素案の策定結果を発表するとしていますが、今答弁にありましたように、地元区の意見を踏まえて設置されました固定化回避検討会ですから、東京都としては積極的にこの会議にも首を突っ込んでいってほしいと要望をさせていただきます。


また、渋谷区上空を南から北、つまり「羽田空港方面から飛んでいる飛行機もある」と地域から声が出ています。その事実・理由は東京都として把握しているか、見解を伺います。

都整局長:ゴーアラウンドにより渋谷区上空を北上する航空機がある

航空機が空港への着陸進入中に機体の着陸態勢が整わない場合、航空機を空港に安全に着陸させるため、パイロットや管制官の判断によりやむを得ず着陸をやり直すゴーアラウンドを行うことがございます。

国からは、このゴーアラウンドにより渋谷区上空を北上する航空機があると聞いております。

中田:環境確保条例(都)など、飛行機は守ることができている?

着陸のやり直しということは理解をしました。
もちろん今までも飛んでいたのかもしれませんが、日々飛んでいる飛行機に悩まされるようになった都民・区民の皆さんは大変敏感になっています。そのことからも、改めて今答弁されたことなど、都民の皆さん区民の皆さんに周知されることを要望をさせていただきます。


次の質問ですが、私の地元の渋谷区の恵比寿地域や広尾地域では飛行機の騒音に悩まされている方がいます。

自宅で約80dBもの騒音を計測することも多々あるとのことであり、約80dBというと鉄道の線路脇、また飛行機の機内と同じ程度の騒音となります。

そのなか、東京都は環境確保条例が制定されており、この条例の中では騒音の程度を居住地域では40dBから50dBとしています。また、国にも環境基準があり、その中で住居地域は57dB以下とされています。「これらの基準を羽田新飛行ルートを飛ぶ飛行機は守ることができているのか」と地域の方々から声がありますが、都の見解を伺います。

環境局長:環境確保条例、航空機騒音については規制対象外

栗岡祥一環境局長
栗岡祥一 環境局長

環境確保条例では工場等から生じる騒音を規制対象としてございまして、航空機騒音については規制対象外でございます。

一方、航空機騒音は国が環境基準を定めてございまして、1日の騒音エネルギーの総和から求めた時間帯補正等価騒音レベル、いわゆるLdenの年平均値でございまして、住居系地域であれば57dB以下としてございます。


都はこの基準を適用する地域を空港周辺の生活環境を保全する観点から指定し、基準の適合状況を確認するための調査を行ってございます。

また、新飛行経路の運用に伴う騒音の状況を把握するため、渋谷区内に2地点を含めた新飛行経路のほぼ直下の5地点を追加して調査を実施してございます。

令和2年及び3年度のLdenの年平均値はいずれの調査におきましても環境基準値を下回ってございます。

中田:航空需要の回復、飛行ルート下への影響はどのように変わる?

都の環境確保条例では航空機の騒音が対象外であるとのことでしたが、特にそのような条文を読み取れるところは正直ございませんでした。


大阪府池田市や兵庫県川西市などでは、環境保全条例等において航空機騒音の防止に関する規程などが設けられていますから、東京都としてもしっかりと検討をしていただきたいと思います。


航空機騒音は地元でも非常に関心ごとになっております。引き続き騒音調査を実施していただき、環境基準を超えるようなことがあれば関係機関に対して改善を要請していただくとともに、また環境基準の指定の地域、今先ほど局長からも答弁がありましたけども、この地域も今羽田新飛行ルートが飛ぶようになってから見直しの検討会がありましたが、今中断をされています。しっかりと環境基準の指定の地域の見直しの早期実現を強く要望をさせていただきます。


また、騒音だけではなく落下物の問題があります。
パネルも用意をさせていただきましたが、飛行機からとは断定されませんでしたが、飛行機から氷塊が落下した疑いがあります。


加えて、新型コロナウイルス感染症により落ち込んだ航空需要や水際対策の緩和、国内旅行の需要拡大に伴って都心上空を低空する飛行機も増便するのではないかと不安があります。

ちなみに、この氷塊が落下した地域は、この都庁からもすぐそばのオペラシティの隣のテニスコートです。なので、この東京都庁に氷塊が落下していた可能性もあるとも言えます。


今後、航空需要の回復により、都心の低空を飛行する飛行機の増便はあるのでしょうか。また、その際の飛行ルート下への影響はどのように変わるか、東京都の見解を伺います。

都整局長:着実な騒音・安全対策の実施に取り組むとしております

国からは「国内線の便数についてはほぼ回復しており、水際対策緩和により国際線も今後回復していく傾向にある」と聞いております。


国は、これまでも低騒音機の導入促進や着陸時の進入角度の引き上げによる騒音影響の軽減、また世界的に類をみない落下物防止対策の航空会社への義務付け、航空機のチェック体制の強化による安全管理の徹底に努めてきており、引き続き着実な騒音・安全対策の実施に取り組むとしております。

中田:知事としてこの声に向き合って、しっかりと行動していくべき

どのような影響があるのかという質問だったんですが、なかなかお答えを頂けなかったというところでありまして――。

先ほども環境局の答弁にあった騒音エネルギーの総和の話に戻ると、1日に飛ぶ飛行機が増えることによってエネルギー量ももちろん増えるので、環境基準を超えてくる可能性があるのでしっかりとその点はモニタリングを行って頂き、超えた場合は即時国への要望を行っていただきたいと思います。


この羽田新飛行ルートは渋谷区や新宿区でも半数以上の自治会長・町会長が反対署名に賛同しています。署名活動を踏まえ、渋谷区議会では新飛行ルートの運用停止を国に求める意見書を全会一致で可決をしました。

新宿区議会でも、地方空港の活用による飛行経路の分散化や海上ルートを活用する、を求めた決議が可決をしました。

そのことからも都民の安心安全を守る立場である知事としてこの声に向き合っていき、しっかりと行動していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

都整局長:国に対して騒音安全対策の実施と丁寧な情報提供・・・

将来にわたり、東京は国際競争力を持ちながら持続的な発展を続けていくためには羽田空港の機能強化を図ることが不可欠でございます。

新飛行経路について、都民の皆様から騒音や落下物に対する不安など様々なご意見があることは承知しております。都は引き続き国に対して騒音安全対策の実施と丁寧な情報提供を求めてまいります。

中田:知事にはしっかりと答弁をして頂きたかった、大変残念です

ぜひ知事にはしっかりと答弁をして頂きたかったですが、本当にお答えいただけなかったのは大変残念です。

飛行ルート直下の自治体では、議会、長会、住民と、見直し・反対の声が本当に多く上がっています。


都民の命と暮らしに関わる大きな問題ですので、しっかりと向き合っていただき、国に働きかけを行っていただくことを要望をさせていただき、次の質問に移ります。

雑感(もっと熱くならなければ)

都議会定例会本会議での代表・一般質問では19年以降、立憲民主党が質問に立ったのは2回だけ(次図)。そういう意味では、予算特別委員会の総括質疑とはいえ、中田議員が地元の声(渋谷区選出)を受けて羽田新ルート問題を取り上げたことは高く評価したい。

羽田新ルートに係る質問実績(党派別)
羽田新ルート|都議会「23年第1回定例会」質疑応答」より

 

中田議員といえば、渋谷区議会議員時代の定例会本会議一般質問(21年6月4日)で、ヘラヘラしながら、羽田新ルート問題の本質とは遠い「ご意見カード」の質問を長谷部渋谷区長に投げかけていたのが印象的だった(羽田新ルート|渋谷区議会「21年第2回定例会」質疑応答)。

さすがにピカピカの都議になって、今回は緊張感をもって質問をしていたのだが、都市整備局長と環境局長にあっさりとかわされていた。

特に、知事としての答弁を求められたのにも係わらず、小池都知事の代わりに立った都市整備局長は「将来にわたり、東京は国際競争力を持ちながら(略)引き続き国に対して騒音安全対策の実施と丁寧な情報提供を求めてまいります」と耳タコ答弁を返していた。中田議員はもっと激しく憤慨するパフォーマンスを見せてもいい場面だと思うのだが、「大変残念です」と紳士に対応していた。

もっと熱くならなければ、渋谷区長選に立候補している吉田佳代子氏(立憲推薦・共産支援)を当選させることはできませんぞ。

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