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羽田新ルート|選挙が近づくと「なんちゃって反対」候補が増えてくる【板橋区編】

選挙が近づくと、羽田新ルートに対して「なんちゃって反対派」候補が増えてくる。選挙公約ではなく、過去の議会での発言や投票行動の実績などで評価するのが賢い有権者。

※敬称略


もくじ

選挙が近づくと「なんちゃって反対」候補が増えてくる

板橋区議会議員選挙(23年4月23日)に立憲民主党公認の新人女性議員(28歳)は2月28日、板橋区の住民と思われるフォロアーからのツイート(質問)に対して次のようにリツーイト(回答)した。

まだまだ航空需要が回復しきっていない今、課題やデメリットを押し切って新ルートを運用するメリットがほとんど無いと考えています。賛成か反対かで言うと反対です

現在の板橋区議会議員46人のうち「民主クラブ(立憲民主党・国民民主党・無所属)」は4人。羽田新ルートに対する現役の民主クラブ4人のスタンスと、立憲公認の新人女性議員のスタンスのあまりの乖離の大きさには驚かされた。

羽田新ルートに対する現役区議46人のスタンスにつき、過去4年間の発言・投票行動実績を整理してみよう。

定例会本会議の代表・一般質問における発言実績

まずは、定例会本会議の代表・一般質問で羽田新ルート問題を取り上げた議員の確認から。

19年第2回定例会から23年第1回定例会までの間に、羽田新ルート問題を取り上げた議員は共産2人と社民1人だけ(累計4回)。

※いずれも一般質問。質疑内容はリンク先参照。

羽田新ルートを推進している自民(16人)・公明(10人)はもちろん、民主クラブ(5人)に所属している議員は、羽田新ルート問題を代表・一般質問で取り上げたことは一度もないのである

請願・陳情・意見書の議決に係る各会派の投票実績

次に、羽田新ルートに係る請願・陳情・意見書の議決結果につき、確認する。

結論を先に言うと、19年第2回定例会から23年第1回定例会までの間に、請願・陳情・意見書が採択された件数はゼロ。以下、順に述べる。

請願(1名以上の区議会議員の紹介が必要)については、審査すべき件名がゼロ(区民からの提出がない)。

陳情(区議会議員の紹介不要)については、28件(うち5件は国に意見書を提出する陳情が含まれている)すべてが不採択(≒却下)となった。

各会派の賛否を次表に示すとともに、詳細を下記に示す。

※陳情28件の件名については、文末参照。

陳情の議決に係る各会派の投票実績
板橋区議会「請願・陳情の審査結果」を元に筆者作成

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自民:全陳情、不採択

全ての陳情に対して、議長(坂本あずまお)を除く全員が「不採択」。

※22年第4回定例会のみ、元山芳行が欠席(病欠?)

※改選後12人、19年第4回定例会以降11人(高山慎吾、無所属議員に)

公明:全陳情、不採択

全ての陳情に対して、全員(10人)が「不採択」。

共産:全陳情、採択

全ての陳情に対して、全員(5人)が「採択」。

※21年第1回定例会のみ、荒川なおが欠席(病欠?)

民主:ほとんどの陳情、不採択

ほとんどの陳情に対して、「不採択」。

不採択に票を投じなかったのは、5つの陳情に対する次のケース。

  • 19年第2回定例会:渡辺よしてる(2期、立憲)「退席
    • 都心低空飛行問題についての陳情

    • 都心低空飛行に伴う環境悪化懸念に関する陳情

  • 19年第4回定例会:3人(いずれも立憲)は「採択」に賛成
    高沢一基(3期、国民)は「退席
    • 都心低空飛行についての陳情(第3項 被害想定施設等への周知の件 第4項 教室型説明会開催の件)
  • 21年 第1回定例会:3人(いずれも立憲)は「採択」に賛成
    高沢一基(3期、国民)は「退席
    • 羽田新飛行ルートに関する陳情
  • 22年第3回定例会:高沢一基(3期、国民)のみ「退席
    • 羽田新飛行ルートの固定化回避の取り組みを進めることを求める陳情
無所属の会・社民:全陳情、採択
  • 無所属の会
    • 井上温子(3期、無所属の会、38歳)
      全ての陳情に対して「採択」
  • 社民党
    • 五十嵐やす子(3期、生活者ネットワーク⇒社民、58歳)
      全ての陳情に対して「採択」
無所属議員:ふらふらしている近藤(N党)以外の4人は不採択

ふらふらしている近藤秀人(NHK党)以外の4人は無所属議員になってからは全て「不採択」。

  • 長瀬達也(4期、民主⇒減税日本⇒無所属、46歳)
    • 市民クラブ(南雲、五十嵐、長瀬)解散(21年3月31日)前までは全て採択。解散後、無所属議員になってからは全て「不採択」
  • 南雲由子(2期、維新⇒無所属 、39歳)
    • 市民クラブ(南雲、五十嵐、長瀬)解散(21年3月31日)前までは全て「採択」。解散後、無所属議員になってからは全て「不採択」
  • しいなひろみ(1期、無所属の会⇒無所属、59歳)
    • 無所属の会(しいな、井上)離脱(22年3月31日)前までは全て「採択」。離脱後、無所属議員になってからは全て「不採択」
  • 近藤秀人(1期、NHK党、54歳)
    • 陳情28件のうち、7件「採択」、21件「不採択」
  • 高山しんご(1期、自民⇒無所属、40歳)
    • 19年第4回定例会の欠席(病欠?)はすべて「不採択」

 

陳情28件の件名を以下に列挙する。

※古い順、( )内数字は、陳情番号。

  • 19年第2回定例会
    • (23) 都心低空飛行問題についての陳情
    • (24) 都心低空飛行に伴う環境悪化懸念に関する陳情
  • 19年第3回定例会
    • (41) 「羽田空港の機能強化」による増便計画についての陳情
    • (52) 都心低空飛行問題に関する陳情
  • 19年第4回定例会
    • (63) 都心低空飛行についての陳情
      (第1項 新航路見直しの件 第2項 大気汚染等調査の件)
    • (63) 都心低空飛行についての陳情
      (第3項 被害想定施設等への周知の件 第4項 教室型説明会開催の件)
    • (64) 航空機の降下角度3.5度の見直しを国に求める陳情
  • 20年第1回定例会
    • (85) 羽田空港機能強化による新ルートの騒音測定を、上板橋第二小学校又は中学校で行う事を求める陳情
    • (86) 羽田空港における新飛行ルートについての陳情
    • (88) 都心低空飛行に対する陳情(防災計画の件)
    • (89) 都心低空飛行に対する陳情(障がい者援助の件)
  • 20年第2回定例会
    • (94) 都心低空飛行に反対する陳情
    • (101) 羽田空港増便による新ルートの運用を中止し、計画を見直すよう区が国に求めることに関する陳情
  • 20年第4回定例会
    • (120) 羽田新飛行ルートに関する陳情
    • (123) 住宅密集地や繁華街での事故被害リスクを無くさせるために国土交通省に危険な都心低空飛行の中止を求め羽田空港機能強化策の見直しを要請する陳情
  • 21年第1回定例会
    • (135) 羽田新飛行ルートに関する陳情
    • (136) 羽田新飛行ルート説明会開催に関する陳情
  • 21年第2回定例会
    • (144) 羽田新飛行ルートに関する陳情
    • (145) 相次ぐ航空機事故を受けて、国交省の説明を求める陳情
    • (152) 住宅密集地や繁華街での事故被害リスクを無くさせるために国土交通省に危険な都心低空飛行の見直しを要請する陳情
  • 22年第1回定例会
    • (190) 羽田空港新ルート運用の一時凍結を求める陳情
    • (192) 羽田新飛行ルートの再考を求める陳情
    • (204) 住民の安全・安心な生活を守るために、羽田空港の機能強化による都心低空飛行ルート運用の一時凍結および航空事故を想定した防災体制の敷設を求める陳情
  • 22年第2回定例会
    • (209) 羽田新ルート・氷塊落下事故に関する陳情
    • (214) 羽田新飛行ルートの固定化回避の取り組みを進めることを求める陳情
  • 22年第3回定例会
    • (222) 羽田空港新飛行ルート運用に関する陳情
  • 22年第4回定例会
    • (228) 羽田空港新飛行ルート運用に関する陳情
  • 23年第1回定例会
    • (253) 都心低空飛行の中止を求める陳情

(参考)パワーバランス

板橋区議会議員46人のうち、羽田新ルート推進・容認派は35人。全体の4分の3を占めている(次図、23年3月11日現在)。

パワーバランス(板橋区議会)

まとめ

定例会本会議の代表・一般質問での発言実績:共産2人、社民1人だけ

19年第2回定例会から23年第1回定例会までの間に、羽田新ルート問題を取り上げた議員は共産2人(荒川なお議員、石川すみえ議員)と社民1人(五十嵐やす子議員)だけ。

羽田新ルートを推進している自民(16人)・公明(10人)はもちろん、民主クラブ(5人)に所属している議員は、羽田新ルート問題を代表・一般質問で取り上げたことは一度もないのである。

陳情等の議決に係る各会派の投票実績:自公だけでなく民主も不採択

19年の区議選後、羽田新ルートを推進している自公が区議会議員の過半数を占めていることもあり、19年第2回定例会から23年第1回定例会までの間に、請願・陳情・意見書が採択された件数はゼロ。

全38件の陳情を採択することに反対したのは、自公だけでなく、民主クラブの4人(立憲3人、国民1人)のほか、無所属議員5人。

逆に、採択することに常に賛成票を投じ続けたのは、共産5人、井上温子議員(無所属の会)、五十嵐やす子議員(社民)だけ。

以上のことから、羽田新ルートの撤回・見直しを求める有権者の選択肢としては、共産党議員5人、井上温子議員(無所属の会、3期)、五十嵐やす子議員(社民党、3期)。板橋区議会議員選挙においては、立憲候補者らが羽田新ルートに反対・見直し公約を掲げていても、彼・彼女らに投票することは賢い有権者とは言えない、というのが今回の調査結果。

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