任期満了に伴う新宿区長選挙が実施される(告示11月6日、投開票11月13日)。
現職の吉住健一氏(50)は、区長選への立候補を表明している。
各候補の羽田新ルートに係るスタンスを適宜整理していく。
※投稿22年9月18日(更新22年11月4日)
吉住健一氏(現職2期)
吉住健一 新宿区長(2期、日大卒、50歳)
22年新宿区長選公約
「新宿区長 吉住健一 公式ホームページ」には前回の区長選の公約「5つの基本政策ごとの方向性」が記載されたまま。今回の区長選の公約は掲載されていない(9月18日現在)。
羽田新ルートに係るスタンス【国に丸投げ】
区議会での過去の発言(後述)を踏まえると、羽田新ルート問題は”国に丸投げ”が吉住健一氏の基本スタンス。
羽田新ルートに係る区議会での主な発言
区議会定例会における羽田新ルートに係る吉住健一氏の主な発言は、以下の通り。国に丸投げスタンスを示している。
- 国の判断と責任において進めていくべきもの(21年第2回定例会 6月10日)
- 国の責任において住民の理解を得ながら進めるべき(19年第3回定例会 9月19日)
- 国に要望を行ってまいります(19年第4回定例会 11月28日)
【参考】吉住健一氏の過去戦績など
18年の区長選挙での吉住氏の得票率(=得票数÷投票総数)は7割に迫ったが(66.3%)、絶対得票率(=得票数÷有権者数)は18.7%にとどまった(次図)。
10年・14年と同様、18年も投票率(28.24%)が低かったため、吉住氏は自公の固い組織票に支えられて当選した可能性が高い。
「18年新宿区長選挙の開票速報・結果(18年11月11日)」より
依田花連氏(無所属)
(ちいさき声をすくいあげる会代表、元新宿区議1期、青学卒、50歳)
元区議の依田花蓮氏は9月16日、無所属で立候補する意向を表明した。
新宿区長選 依田元区議が立候補を表明
任期満了に伴う新宿区長選(11月6日告示、13日投開票)で、元区議の依田花蓮氏(50)が16日に記者会見し、無所属で立候補する意向を表明した。
依田氏はトランスジェンダーを公表し、36歳の時に性別適合手術を受けて、戸籍上の性別を男性から女性に変更した。2019年の区議選で初当選。今年5月に辞職し、7月の参院選全国比例にれいわ新選組から立候補している。(以下略)
(毎日新聞 9月17日)
22年新宿区長選公約
よだかれんOfficial Websiteには「掲げる政策」として、「03 新宿のみどりと自然、環境を守ります」のなかの3番目に羽田新ルートに係る公約が次のように記されている)。
区民の安全を守るため、羽田新飛行ルートを元の海上ルートに戻すよう国に求めます。
羽田新ルートに係るスタンス【羽田新ルート撤回】
依田花連氏の新宿区長選立候補表明記者会見の様子を記録したYouTube動画(約1時間)を視聴すると、羽田新ルート問題には全く触れていないことが確認できる。
ただ、過去の区議会での発言(後述)を踏まえると、羽田新ルート撤回が依田花連氏の基本スタンス。
※以下、追記22年11月4日
依田花連氏は日本外国特派員協会主催の記者会見で11月2日、「羽田新ルートを撤回することを国に求めます」と発言している。
依田花連氏は11月3日、新宿西口での選挙演説で「羽田空港新飛行ルートについては、撤回を国に対し求めます」と発言している。
羽田新ルートに係る区議会での発言
新宿区議会会議録検索システムを使って「よだかれん」「羽田」で検索すると2件ヒットする。
1件は、羽田新ルートの本格運用の半年前に、19年9月25日に開催された決算特別委員会での発言。「ルート変更を国に対して要望」している。
(前略)新宿区といっても全てが上空を通るわけではなくて、何と、この北新宿、西新宿、落合地区の上空を通っていくことになるということですよね。本格的な運用がなされると、計画書を読んでいてびっくりしたんですけれども、時間帯によっては1時間に44機もの飛行機が飛び交うことになるということなんですね。「えっ」と、驚きますよね。(中略)この2つ、テスト飛行を本物の、本当の大きさの旅客機でやってほしいということと、ルート変更を国に対して要望していただけないでしょうか。
もう1件は、羽田新ルートの本格運用の2週間前、20年3月17日に開催された第1回定例会での発言。区民のためであれば国の方針とは異なる施策をも推進する姿勢が必要だとして、羽田空港新飛行ルートの撤回を求めるとしている。
ゲイやレズビアンの区民のために同性婚合法化を国に対し求める、区民を騒音や落下物などの危険から守るために、羽田空港新飛行ルートの撤回を求める、国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療保険制度の在り方の是正を求め区民の負担軽減を図る、国民健康保険料の子どもの均等割、第三子以降を無料にする、子ども医療費助成を18歳まで拡大する等々、区民のために国に対してさえも物申す姿勢、区民のためであれば国の方針とは異なる施策をも推進する姿勢が必要だと考えます。
【参考】依田花蓮氏の過去戦績など
- 19年4月の新宿区議会議員選挙では、得票数4位を獲得し初当選。
- 22年7月の参院選で、れいわ新選組は比例代表に特定枠1人を含め計9人の候補者を擁立。依田氏の得票数は、特定枠を除いた比例候補者8人中6位で、同党が比例で獲得した2議席に届かず落選。
雑感(前回の区長選の教訓を活かせるか)
前回の区長選では、自公の推薦を受けた吉住健一氏が圧勝。ダブルスコアで野党統一候補ののざわ哲夫氏を下し、2選を決めた(次図)
前回の区長選から得られた教訓は次の通り。
のざわ陣営の敗因は明らかで、(1)政治家としての経験がなく、知名度が低いにも関わらず野党統一候補になった時期が遅すぎたことと(投票日の1か月前)、(2)投票所に無党派層の足を運ばせられるような公約を掲げられなかったこと。
前回の新宿区長選挙から得られた教訓として、対立候補は大物著名人でない限り、野党統一候補であることは最低限の条件で、そのうえで確実に無党派層を取り込める公約を掲げることが必須。
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