11月11日に行われた新宿区長選挙では、自公の推薦を受けた吉住健一氏がダブルスコアで野党統一候補ののざわ哲夫氏を下し、2選を決めた(次図)。
過去4回の新宿区議会議員選挙の自公の得票率は毎回5割近くを占めていたことから、対立候補が現区長に勝つためには、野党統一候補を立てたうえで、無党派層を取り込むことが必須であることが予測されていた(次図)。
新宿区の有権者数は30・40歳代が多く、40歳代以下の投票を引き寄せられる公約を掲げることが野党統一候補の勝敗のカギを握っていた(次図)。
ところが、野党統一候補が掲げた「3つのSTOP」は、「高齢者の個人情報の警察に対する提供中止」「区立公園のデモ使用規制の撤廃」「漱石山房記念館の文化財紛失事故の真相究明と再発防止」という、どちらかといえばシニア寄りの公約。
最後まで羽田新ルート問題に触れることはなかった。
「新宿区長選|野沢氏「羽田新ルート問題」に言及せずに勝てるか?」より
のざわ陣営の敗因は明らかで、(1)政治家としての経験がなく、知名度が低いにも関わらず野党統一候補になった時期が遅すぎたことと(投票日の1か月前)、(2)投票所に無党派層の足を運ばせられるような公約を掲げられなかったことだろう。
来年4月の統一地方選挙では、羽田新ルートが通過する区のうち、次の7つの区長が改選となる。
- 江東/大田/渋谷/豊島/北/板橋/江戸川
新宿区長選挙から得られた教訓として、対立候補は大物著名人でない限り、野党統一候補であることは最低限の条件で、そのうえで確実に無党派層を取り込める公約を掲げることが必須。そのためには羽田新ルート問題を掲げることが有効ではないだろうか(次図)。