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羽田新ルート|新宿区議会「19年第4回定例会」質疑応答

新宿区議会「19年第4回定例会」本会議の代表質問(11月28日)で、羽田新ルートに関して、川村のりあき議員(共産)の質疑応答があった。

議会中継(録画)をもとに、テキスト化(約4千500文字)しておいた。

※以下長文なので、時間のない方は「質疑応答のポイント」と最後の「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

川村議員(共産)

川村のりあき議員
川村のりあき議員(共産党、区議5期、早大第2文学部卒、48歳)

問1:国交省に対して中止を求めるべき

次に、羽田新飛行ルートについて質問します。
8月30日から小型機による飛行検査が始まり、住民から不安の声が広がっています。10月17日から11月18日まで行われた「区長トーク」では、柏木、大久保、箪笥の各会場で計6人の参加者から、「飛行検査が始まり、騒音が気になる」「旅客機なら相当な騒音となり不安」などの意見が出ました。


また、私どもが行っている区政アンケートでは、「新飛行ルートについてどう思うか」との問いに、「テスト飛行の騒音が凄まじく迷惑している」「事故があったらどうするのか」などの意見が多数寄せられています。


区長は、箪笥地域センターの「区長トーク」で、「できれば飛んでほしくない」と参加者からの質問に答え、柏木地域センターでは、「このルートが永久に続かないように要望している」と言われました。区長ご自身が危険と感じているからでしょうか。ならばしっかり反対の態度を示し、国土交通省に対して中止を求めるべきではないでしょうか。お答えください。

問2:経済優先と住民の安全優先のどちらの立場?

10月29日には公聴会が行われ、私も傍聴しました。公述人55名のうち賛成29名、反対26名でしたが、反対する公述人の多くは飛行ルート下の住民であり、安全や命を守る必要性を強調し新ルート撤回を訴えました。一方、賛成する公述人の多くは航空会社や観光業者などで、自社の経済的利益を優先し、増便の必要性を訴えました


地方自治体が企業などの経済的利益を優先するのか、住民の安全を守る立場に立つのかが問われています。区長は公聴会の内容を担当課からお聞きになったでしょうか。

経済優先と住民の安全優先のどちらの立場に立つのか。公述内容の受け止めと合わせてお答えください。

問3:羽田に国際線を増便する必要性について

11月3日、私ども区議団の主催による「羽田新ルートを考える集い」には、110名の方が参加しました。講師は航空評論家でJALの機長を務めた杉江弘さんです。ボーイング747の飛行時間の世界記録を持ち、政府専用機の機長もされ、着陸時の安全基準の考案などもしてこられた第一人者です。


杉江さんは国交省の担当責任者に2回ヒアリングし、新飛行ルートは騒音や落下物に加え、2つの大きな問題があると指摘しました。

第1に、羽田に国際線を増便する必要性についてです。北京、パリ、ミラノ等は都心から離れた空港を運用しており、この30年間、新規で都心に飛行ルートを運用した国はありません


また、成田空港の開港時には成田は国際線、羽田は国内線と棲み分けがされていましたが、2008年に棲み分けを破り、羽田で近距離国際線の運用を始めました。国交省が外国航空会社に羽田に来るように働きかけ、羽田に移行する航空会社が続出しています。

 

成田は年間発着26万回で、処理能力30万回を下回っており、さらに滑走路を1本増やし34万回にする計画で、余裕があります。

 

「今回の新ルートは国が自ら決めた棲み分けを破り、政策のない場当たり的計画」と杉江さんは指摘していますが、区長のご所見をお聞かせください。

問4:事故の危険性について

第2に、事故の危険性です。

騒音対策として世界標準の降下角3.0度を3.5度へ引き上げると、ジェットコースターかのような急角度での操縦となり、接地のための機首上げ操作は高度な技術が求められます。3.0度でも機体の最後尾は地面まで約1mしかなく、角度を上げると尻餅事故の危険が高まります


そもそも世界のパイロットは3.5度の降下角を経験したことがありません

国交省は稚内空港と米国サンディエゴ空港に3.5度の例があるといいますが、稚内空港は東に山があるための設定で航路に住宅は少なく、サンディエゴ空港には大型機はほとんど来ず、航路に人口密集地はありません。しかも、実際は有視界飛行で、降下角を下げて進入しています。
ローカル空港や大型機の来ない空港を例に、「羽田でも大丈夫」と主張する国交省は本当に危険性を認識しているとは思いません


また、横田空域を避けるため、平行する2つの経路を旋回する世界初の進入方法は、ニアミスの可能性もあり、管制官も心配しています。区長は、パイロットや管制官から見ても危険な3.5度の降下角や平行する進入方法を容認しているのでしょうか。ご所見を伺います。

問5:視覚障がい者の生活への影響について

次は、視覚障がい者の日常生活への騒音の影響です。

公聴会では品川区の全盲の方が「私にとっては、音は安全を判断する大切な資源。雨の音さえも安全に歩くのに支障をきたすのに」と飛行機の騒音によって安全な生活が奪われることを訴えました。また、北新宿在住の視覚障がいの方も「かなりの騒音で怖い」と言っています。

 

現に2020年パラリンピックのブラインドサッカーの会場は、品川区の飛行ルート近くの大井埠頭中央海浜公園から江東区青海に変更されました。


視覚障がい者の生活への影響について、どのようにお考えでしょうか。こうした声を無視しても新飛行ルートを認めるのでしょうか。お答えください。

問6:教室型説明会を再度行うべき

最後に、国交省は11月18日から来年1月28日まで、説明会を首都圏で計60回開き、騒音対策や落下物防止策等について説明をする予定です。区内では、12月1日から3日までオープンハウス形式の説明会を新宿駅西口イベント広場で行う予定です。

 

以前、オープンハウス形式の説明会で質問したある方は、国交省のアルバイトに「自分はよく分からない」と誠実な回答がなかったそうです。


品川区は、教室型説明会を開催するように区として要求しています。新宿区でも教室型説明会を前回同様、ルート下にある地域センター4か所で行うべきです。いかがでしょうか。以上お答えください。

吉住区長

吉住健一  新宿区長
吉住健一  新宿区長(2期、日大卒、47歳)

答1:中止を求める考えはありません

羽田新飛行ルートについてのお尋ねです。はじめに、国に対し中止を求めることについてです。

 

国は首都圏の国際競争力の強化、訪日外国人旅行者の受け入れ、東京2020オリンピック・パラリンピックの円滑な開催等に向け、令和2年3月29日から区上空を含む新たな飛行ルートの運用を開始するとしています。


区では、羽田空港の機能強化の必要性については理解していますが、騒音対策および安全対策の徹底と区民に対する丁寧な説明を行ったうえで、国の事業として国の責任において進めていくべきものと考えております。

 

そのため、中止を求める考えはありませんが、区民の安全・安心を守るために、引き続き落下物対策などの安全対策、騒音対策の徹底、丁寧な説明や正確な情報提供について、国に強く要望してまいります。

答2:国の責任において区民および事業者への丁寧な説明・・・

次に、国の主催した公聴会についてのお尋ねです。

この羽田空港の制限表面の変更に関する公聴会は、建築物等の高さ制限となる制限表面の変更に関して利害関係を有する方からから意見をいただく機会として、国が開催したものです。


当日の主な公述意見については担当課から報告を受けています。公述意見の内容については、区は評価する立場にはないと考えていますが、区民の安全・安心を守る立場から、同時に実施されたパブリックコメントにおいて意見を提出いたしました。


区では、新たに制限表面が設定されることから、国の責任において区民および事業者への丁寧な説明と十分な情報提供を行うこと、落下物対策などの安全対策、騒音対策の徹底等について強く要望したところです。

答3:丁寧に説明していくよう国に要望

次に、羽田に国際線を増便する必要性についてのお尋ねです。

国からは「国際線のニーズが高い時間帯について成田空港は既にフル稼働の状態であることや、首都圏の他空港については、都心へのアクセスなどの課題があることから、羽田空港の国際線の増便は欠かせない」と聞いています。こうしたことを丁寧に説明していくよう国に要望してまいります。

答4:国の実施する安全対策が着実に履行されるよう注視

次に、事故の危険性についてのお尋ねです。

「新飛行ルートにおける着陸時の降下角や進入方法については、国際民間航空機関が定める国際的な安全基準に則したものであり、安全性に問題はない」と国から説明を受けています

 

区では、引き続き国の実施する安全対策が着実に履行されるよう注視してまいります。

答5:騒音対策のさらなる推進について国に対し要望

次に、視覚障がい者の日常生活への騒音の影響についてのお尋ねです。

国は「障がいの有無にかかわらず、すべての方を対象として騒音対策など、環境配慮について十分に行っている」と説明をしています


飛行高度の引き上げや騒音の要素を組み合わせた着陸料の料金体系の再見直し、区内への騒音測定局への設置など、国により一定の騒音対策がなされています

 

今後も視覚障がい者の方の日常生活に影響を及ぼすことのないよう騒音対策のさらなる推進について国に対し要望してまいります。

答6:国に要望を行ってまいります

次に、教室型説明会を再度行うべきとのお尋ねです。

教室型説明会の開催については、これまで国に強く要望を続けてまいりました。その結果、本年1月に柏木・角筈地域、5月に落合第一・落合第二地域の4つの地域において、国の主催により開催することができました。


また、国は本年9月の新宿区町会連合会定例の理事会において、羽田新飛行ルートについて説明を行いました。理事会では、新飛行ルートの運用に先立ち、航空機で新飛行ルートの飛行確認を行う時期に改めて説明をしてほしいとの要望があり、理事会での再度の説明について国と日程調整を行っているところです。


区では、今後町会など、地域からの要望を踏まえ、教室型説明会の開催など丁寧な説明について国に要望を行ってまいります。

川村のりあき議員

川村意見:新宿区に合った取り組みを進めていただきたい

新飛行ルートの問題、ヘイトスピーチの問題で、今までのご答弁からなかなか出るところありませんでしたけれども、ぜひ新飛行ルートの問題は、もう3月29日と日にちも迫っておりますので、ぜひ私ども引き続き中止を求めてまいりますけども、区民の皆さんの安全と言う立場で、新宿区に合った取り組みを進めていただきたいと要望したいと思います。 

雑感

区長答弁に、区の主体性は微塵も感じられない。

「国の責任において進めていくべき」「国の責任において・・・丁寧な説明」「国からは・・・聞いています」「国から説明を受けています」「国は・・・説明をしています」

区長は国に対して「強く要望」しているだけでいいのだろうか。


筆者の独自調査によれば、羽田新ルートの騒音の影響を受ける可能性があるのは新宿区民の3割(9万人)。来年の3月29日から羽田新ルートの運用が始まり、羽田新ルート問題を認識し始めた区民から苦情がきたら、区長は「国の事業ですから」とか「これまで国に強く要望してきました」とでも釈明するのだろうか……。

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