国交省は9月1日、「固定化回避検討会に関する取組や騒音・落下物対策等に関する資料)」を公表。22年9月から10月にかけて関係地域にポスティングするという。
配布地域によるチラシの違いや前回チラシとの違いをザックリ整理しておいた。
9月から10月にかけてポスティング
国交省は9月1日、「固定化回避検討会に関する取組や騒音・落下物対策等に関する資料)」を公表。22年9月から10月にかけて関係地域にポスティングするという。
ただし、埼玉県版については、ポスティングではなく、県内の新飛行経路下の各市役所などで配布される(配布時期:22年9月~)。
本件チラシについては、「新飛行経路の運用状況等に係る資料(チラシ)」に自治体ごとの資料として公開されている(次図)。
配布地域によるチラシの違い
配布されるチラシは各自治体とも各2枚(チラシでは表面と裏面)で構成されているのだが、記載内容は微妙に違っている。次表のように2種類に大別できる(到着ルート版、出発ルート版)。
具体的にチラシのどこが違うのか。その違いをザックリ可視化したのが次図、次々図。
全地域に共通している部分が全体の約5割、到着ルート・出発ルートの違いによる部分が約4割、残りの1割が地域別(騒音データと航跡図)。
(オモテ面)
(裏面)
各地域のチラシを見比べてみて、最も大きな違いは「第5回固定化回避検討会」の内容だ。
品川区民や港区民に配布される到着ルート版では、2つの飛行方式で着陸する方法がイラストで示されている(次図)。ルートの見直しに主眼が置かれている。
一方、江戸川区民や江東区民に配布される出発ルート版では、出発したあとの高度の引き上げ方の違いがイラストで示されている(次図)。騒音の軽減に主眼が置かれている。
前回チラシとの違い
じつは航路下住民にチラシが配布されるのは初めてではない。直近では22年2月~3月に配布されている(以下、「前回チラシ」)。
※22年2月~3月にポスティングされたチラシの詳細については、「羽田新ルート|半年も経たないのに2回目ポスティング 」参照。
前回チラシから7か月後に配布される今回のチラシは、前回とどこが違うのか。
以下、品川区民に配布されるチラシを例に、違っている部分をザックリ整理する。
前回と記載内容が変わった冒頭文章
細々とした違いは多々あるが、最も気になった変更点は冒頭の文章である。
前回チラシの冒頭文章では、チラシの概要が記されていた。
このチラシでは、地域の皆さまのご意見・ご要望を踏まえて立ち上げた固定化回避検討会に関する取組状況や、2021年夏ダイヤの運用実績を基にした騒音の状況などをお知らせします。
ところが、今回チラシでは、新ルートの目的を強調する文章が記されている。
羽田空港の新飛行経路は、首都圏の国際競争力強化等の観点から発着容量拡大のため、2020年3月29日より運用を開始いたしました。
赤羽前国交大臣は、新ルートの運用を続ける理由として、”騒音共有化論”を掲げていたが、斉藤国交大臣は「発着容量拡大」しか謳わないのか。
今回追記された内容(2件)
「部品欠落防止対策の例」と「氷塊落下防止対策の例」が写真付きで掲載されている(次図)。
渋谷区内のテニスコートに空から氷塊が落下した事案(22年3月14日発生)につき、避けて通ることはできなかったのであろう。
「なぜこのような気象条件で都心低空飛行が実施されているのか」と関係当局に問い合せた結果がときどきツイッターに流れてくる。「様々な要因を考慮」しているという、どうにでも受け取れる言い回しが国交省の公式な回答ということになる。
- Q.羽田空港を離着陸する航空機の日々の運用はどのように決まっているのですか?
- A.空港周辺の風向きだけでなく、首都圏全体の気象状況をもとに、航空機が安全に離着陸できるように決定されています。
航空機は、基本的に安全に離着陸するため風が吹く方向に向かって飛行します。羽田空港の場合、その時々の気象状況をはじめ様々な要因を考慮し、南風運用と北風運用の2種類のいずれかを選択して運用しています。
前回から削除された内容(2件)
トピックスとして掲載されていた、地上からの機影の見え方と、羽田空港の総合評価ランキング(次図)は今回のチラシから消えた。
「首都圏空港の年間発着容量約100万回の実現」は、今回チラシから削除された。
羽田・成田の機能強化を進めています。
我が国の国際競争力の強化などの観点から、羽田・成田の両空港について、共に機能強化を進めていくことが必要です。両空港の機能強化により、2020年代後半までに首都圏空港の年間発着容量約100万回の実現を目指します。
国交省は寝た子を起こしたくなかったのか……。
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