都議会各会派の政務活動費をまとめた「収支報告書」が8月31日、都議会HPに公開された。
都民の生活環境に深く関わる都議会議員のお金の使われ方がどうなっているのか興味深い情報だったので、まとめておいた。
都議会政務活動費 「広報・広聴活動費」の支出が5割超(NHK)
21年度の政務活動費は、「広報・広聴活動費」の支出に占める割合が5割を超え、過去5年で最も大きくなったという。
都議会政務活動費 「広報・広聴活動費」の支出が5割超
東京都議会の各会派に交付された昨年度の政務活動費は、議会活動の報告などにあてる「広報・広聴活動費」の支出に占める割合が5割を超え、過去5年で最も大きくなりました。
東京都議会の政務活動費は、議員1人あたり月額50万円が各会派に交付されていて、昨年度・2021年度に交付された総額7億5800万円の使いみちなどについてまとめた報告書が31日、公開されました。
(中略)
地方政治に詳しい法政大学大学院の白鳥浩教授は「政策立案に関わる項目が非常に少なくなっていることがことしも気になっている。広報に関する費用、つまり『アウトプット』が50%を超えているが、政策立案に関する費用の『インプット』は2%程度になっている」と指摘しました。(以下略)(首都圏 NEWS WEB 8月31日)
21年度の主要会派「政務活動費」を可視化する
都議会HPを探っていくと、「収支報告書・会計帳簿・領収書等」のページに過去5年分(17~21年度)の情報が公開されていることが分かった。
そこで、21年度のデータを可視化してみる。
「政務活動費」内訳一覧表
21年度の主要5会派(自民、都民、公明、共産、立憲)の政務活動費の内訳を下表に示す。
政務活動費の支出は、3項目(調査活動補助費、調査・政策立案費、広報・広聴活動費)に大別されている。政務活動費は、21年7月の改選前に第1党だった都民ファーストが2.1億円で最も多い。次いで自民1.8億円、公明1.3億円、共産1.1億円、立憲0.7億円(都ファの3分の1!)。
さらに詳しく見ていこう。
「政務活動費」執行率の比較
21年度の主要会派の「政務活動費」と執行率(=執行額÷政務活動費)を比較したのが次図。
21年7月の改選前に最大会派であった都民ファーストの政務活動費が、自民よりも多いことと、公明以外の4会派の執行率が高いことが特徴。公明以外の4会派はシッカリと予算を消化している。
「政務活動費」内訳比較
21年度の主要会派の「政務活動費」内訳を比較したのが次図。
都民ファーストの「広報・広聴活動費」の割合が高いことと(60.3%)、自民の「調査活動補助費」割合が高いこと(60.1%)が大きな特徴。都ファと自民とでは真逆。
「広報・広聴活動費」や「調査活動補助費」は何に使われているのか? 「政務活動費」の内訳をさらに詳しく見てみよう。
「広報・広聴活動費」内訳比較
21年度の主要会派の「広報・広聴活動費」内訳を比較したのが次図。
なんと、いずれの党も「広報紙(誌)発行費」に100%近く費やしているのである。
「調査活動補助費」内訳比較
21年度の主要会派の「調査活動補助費」内訳を比較したのが次図。
調査活動補助費に占める人件費の割合は、共産党がダントツ(87.1%)。
「調査・政策立案費」内訳比較
21年度の主要会派の「調査・政策立案費」内訳を比較したのが次図。
調査・政策立案費が最も多い公明でさえ655万円でしかない。改選前に第1党だった都民ファーストはたったの98万円。
まとめ
政務活動費は、21年7月の改選前に第1党だった都ファが2.1億円で最も多い。次いで自民1.8億円、公明1.3億円、共産1.1億円、立憲0.7億円(都ファの3分の1!)。
各会派とも政務活動費の大半は「広報・広聴活動費」と「調査活動補助費」に使われていて、「調査・政策立案費」にはほとんど使われていない。
政務活動費の使い方は、自民と都ファとで真逆。自民は「調査活動補助費」(うち人件費が74%を占めている)の割合が高く、都民ファーストは「広報・広聴活動費」(うち広報紙(誌)発行費が99%を占めている)の割合が高い。
以上をザックリまとめると、各会派とも政務活動費の半分程度は人件費(調査活動補助費)に、残りの半分はいわゆる都政レポートの作成や新聞折込に係る費用(広報・広聴活動費)に費やされていて、資料購入・制作費(調査・政策立案費)にはあまり使われていないということ。
この傾向は都ファに顕著で、「広報紙(誌)発行費」1.2億円費やす一方で、「資料購入・制作費」には95万円しか費やしていない。都ファ議員が自己PRのために年間1.2億円の血税を使っていることに納得する有権者は多くはないのではないか。
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