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羽田新ルート|都議会「環境・建設委員会」質疑応答

都議会「22年第1回定例会」環境・建設委員会で(3月14日開催)で、羽田新ルートについて原純子議員(共産党、江戸川区選出)の質疑応答があった。

ネット中継(録画)をもとに、全文テキスト化(約4千400文字)しておいた。

※以下長文。時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

航空機騒音の現状について

原純子議員
原純子議員(共産党、都議1期、保育士・社会福祉士、日本福祉大学卒、57歳)

原:荒川新ルートの本格運用前後で騒音発生回数は?

羽田新飛行ルート本格運用が2020年3月に始まって以来、今月で丸2年が経とうとしています。

私の地元、江戸川区では、これまでの南風悪天候時・着陸ルートに加え、荒川新ルートを離陸便が頻繁に飛行するようになり、住民はさらなる負担を強いられています。


荒川新ルートの本格運用前後で騒音発生回数はどのくらい増え、何倍になったのかを伺います。

部長:江戸川区独自の騒音調査、令和2年度が22,331回と約2.6倍

筧環境改善部長
筧直 環境改善部長

航空機騒音の環境基準は時間帯補正等価騒音レベル、いわゆるLdenを評価指標としており、時間帯ごとの騒音の大きさや発生回数から得られた騒音エネルギーの総和をもとに算出されます。


羽田空港の新飛行経路の本格運用に合わせ、都は運用開始日の令和2年3月29日から、江戸川区内で騒音の大きさや発生回数等のモリタリングを開始しているため、本格運用前の騒音データ等は持ち合わせておりません。


なお、江戸川区独自の騒音調査によりますと、年間発生回数は令和元年度が8,451回、本格運用後の令和2年度が22,331回と約2.6倍となっており、各々の年間Lden値は48.2dB、47.2 dBであり、1 dB減少しております。

原:日常の穏やかな生活が脅かされています

江戸川区が公表した数値は今示された通り、令和2年度が騒音回数22,331回と運用前の2.6倍になっています。飛行回数も2.7倍とほぼ同じ割合です。


地元住民からは「朝7時から飛行機の騒音に起こされる」「休みの日も寝ていられない」「精神的にまいる」「テレビの音が聞こえず、飛び去るまで思考が中断されてしまう」「木造だから音が気になってダメ」と様々な訴えが寄せられ、日常の穏やかな生活が脅かされています。

環境基準適用の指定地域見直しについて

原:羽田空港の環境基準適用の指定地域見直し、検討状況?

東京都は2020年新飛行ルートの運用に伴い、羽田空港の環境基準適用の指定地域見直しを検討することを定めましたが、検討状況を伺います。

部長:指定地域の見直し検討に係る騒音調査の実施時期を後ろ倒し

羽田空港周辺で航空機騒音の環境基準を適用させる指定地域は、環境基本法に基づき知事が指定することになっておりますが、今般の新飛行経路の本格運用に伴い、都は指定地域の見直し検討が必要となりました。


そのため都は専門家からなる検討会を令和3年1月に立ち上げ、騒音の広がり等を改めて科学的に検証し、指定地域の見直しの可否の検討や見直す場合の基礎資料の収集等を行うこととし、これまでの検討で今後の騒音測定方法等を概ね確定することができました。


しかし、コロナ禍による航空便数の減少、航空各社による大型機から中・小型機への機材変更、さらには国の固定化回避検討を通じて、その実施が想定される新たな騒音対策などにより、今後空港周辺の騒音発生状況がさらに変化する可能性が判明いたしました。


このため当面の間、指定地域の見直し検討に係る騒音調査の実施時期を後ろ倒しすることとし、国の検討状況に係る情報収集やモニタリングによる騒音発生状況の把握を継続していくことと致しました。

原:騒音調査をしなければ指定範囲が決められないといった決まりがある?

新飛行経路の本格運用に伴い、指定地域の見直しが必要と判断し、検討会を設置しているにも関わらず、運用開始後2年放置しているのは問題ではないですか。


今の説明によると、減便中は通常の状況と違うから、便数が回復してから見直しに関わる騒音調査を行い、国の固定化回避の方向性も鑑みながら、指定地域の見直しを検討するということで、一体何年後になるのか見通しが示されておりません。


その間も騒音被害に住民は苦しまなくてはならないのでしょうか。そもそも騒音調査をしなければ指定範囲が決められないといった決まりがあるんでしょうか。

部長:騒音調査の実施は求めておりませんが・・・

航空機騒音の環境基準を適用させる地域の指定については、騒音調査の実施は求めておりませんが、当然のことながらこの地域の指定には航空機騒音の実際の大きさや広がりなどの実態把握が必要であることから、都はこれまでも指定地域の見直し等において騒音調査を実施してまいりました。

原:コロナ禍による減便はどのくらいの規模か?

騒音調査の実施がやらなければならないという決まりではないということでした。

そして基準適用地域は知事が指定をできます。それなら知事が決断すればできるということですよね。新ルートが飛んでいるのに、見直しの先延ばしは許されません。


現在、コロナ禍による減便はどのくらいの規模かをお聞きします。

部長:ほぼ50%減少

国土交通省の空港管理状況調書によりますと、国際線と国内線を合わせた羽田空港の着陸回数は令和元年度が225,697回であったのに対し、新型コロナウイルス感染症の拡大期を含む令和2年度は112,991回とほぼ50%減少しております。

原:測定をしている地域、環境基準適用対象にすることは必至

新ルートは増便のためとされてきましたが、2020年3月には新型コロナの感染急拡大により、既に国内は移動規制、海も空も出入国について規制が始まっていました。

そうした状況下で「本格運用する必要性はない、旧ルートで十分可能だ」と住民が新ルート運用中止を求めたのはもっともなことでした。しかし、多くの住民の反対の声を聞かず、国は新ルートを強行したわけです。


現在、江戸川区、渋谷区、練馬区など、新飛行ルートの騒音モニタリング調査を都が実施しているわけですが、そこで得られた数値を資料として参考にする上で環境基準適用の指定対象にすることは当然のことだと思います。


測定をしてその数値が環境基準に対して高いのか、基準内なのかを見定めるのではないのですか。測定をしている地域は、航空機が日常的に飛んでいるわけですから、これらの区を環境基準適用対象にすることは必至だと思いますが、いかがでしょうか。

部長:科学的知見を十分に蓄積しながら指定地域の見直し検討

都は新飛行経路における航空機騒音の実態を把握するため、運用開始日から飛行経路直下の5か所を追加した7か所で騒音モニタリングを開始し、その結果をホームページで公表しており、令和2年度の測定結果では、全ての測定地点で環境基準値を下回っております。


さらに令和3年1月からは、空港周辺の生活環境を保全する観点から、先ほど答弁申し上げた通り、環境基準の遵守が求められる指定地域の見直し検討に向けた調査に着手しております。

この検討にあたりましては、航空機騒音の実際の大きさや広がりなどの科学的知見をもとに判断していくことが重要でございます。

今後とも航空機需要の回復状況等を見据えつつ、航空機騒音に関する科学的知見を十分に蓄積しながら指定地域の見直し検討を進めてまいります。

航空機によるCO2排出について

原:航空機によるCO2排出について、どのように考えているのか?

逆なんです。今お答えになったのが「騒音モニタリングではすべての測定地点で環境基準以下だった」とおっしゃっています。すでに環境基準に照らしてみているんですよ。だから当然基準適用をすべきなんじゃないでしょうか。


「飛行機音がひどく電話が聞き取れなくなる」「コロナ禍なのに換気のための窓も開けられない」。新ルート下の住民の訴えです。また、「横断歩道を渡っている最中に飛行機音が始まると、周りの音がかき消されて一歩も動けなくなってしまう」。視覚障害者の方の声です。


今、減便中だから便数が回復してからとおっしゃいますが、地元住民は新ルートをこれ以上飛行機が飛ぶことを望んでいません。環境基準適用範囲にもせずに、騒音被害の2倍以上の負担増をまず受け入れろというのでしょうか。


東京大学総長が日本航空機操縦士協会長に向けて、2月末に実施する大学入試の外国語試験中の静音保持を11月に要望いたしました。リスニング試験中に航空機等の飛行騒音により支障が生じることのないよう配慮を求めたものです。

先月、我が党の笠井亮衆議院議員が予算委員会分科会でこの問題取り上げ、質問をいたしましたが、国交省の副大臣は「個別の要望への配慮は困難」と答弁しました。騒音被害によって大事な試験が公正に行えなくなる可能性があり、若者の人生を左右することなのに、配慮もしないという姿勢、あんまりではないでしょうか。


都は都民の安全を守る立場に立って、しっかりと国に騒音対策を求めるべきです。そして、まず今飛んでいる地域は環境基準の適用地域に指定することを知事に対し強く求めるものです。


飛行経路直下の住民は航空機騒音のみならず、落下物の危険、CO2排出による大気汚染などの不安が常につきまとっています。航空機からのCO2大量排出が世界的な課題となっていることはご存知の通りです。

昨年の秋、国交省から区民に配布された羽田新ルートに関する情報誌。これですけども、これに航空機の新技術導入でCO2排出削減を検討しているとの記述がありました。住民の不安が大きいことを国も認識しているのではないでしょうか。

運輸部門におけるCO2削減対策として航空機対策も必要ではないでしょうか。環境局として航空機によるCO2排出について、どのように考えているのか見解を伺います。

部長:都内航行分を排出量として算定してございます

小川地球環境エネルギー部長
小川謙司 地球環境エネルギー部長(1987年東京都入庁)

航空機の運航に係るCO2排出につきましては、国際的な航空機関や国により対策の検討が行われており、都におきましては都内航行分を排出量として算定してございます。現在、ゼロエミッション化に向けた水素航空機の開発やバイオ燃料の使用などが進められていると認識しており、昨年11月の環境審議会におきましては、運輸機関における脱炭素化に向けた動きを参考として提示したところでございます。

原:環境局が国に対し毅然とした態度で臨まれることを強く求め

都内航空分というのは、つまり調布飛行場と伊豆大島や新島を行き来する便や羽田・八丈島区間の便のことですね。都内で離着陸が完結するこうした航空便は運輸部門のCO2排出量に算定されていますが、それ以外は東京都としては算定にも入っていないというわけですね。


これまでの海上ルートから住宅地上空を通過するルートに変わり、空から都民の生活の場に撒き散らかされるCO2がどのくらいの量なのか、やはり具体的に掴みその影響についても検証する術が必要ではないでしょうか。

全庁をあげて取り組んでいるカーボンニュートラルの取り組みに、局間での連携も強め、航空機対策もしっかり位置付けることを要望します。


新ルートは増便のためという理由で実施されましたが、減便が続いている今、新ルートは飛ばなければならない理由はなくなっています。我が党はこれまで代表質問でも住宅地の上空を飛ぶ危険な羽田新ルートの廃止を繰り返し提言してきました。

新ルートがもたらす騒音や大気汚染から都民の命と健康を守るために、環境局が国に対し毅然とした態度で臨まれることを強く求め、次の質問に移ります。

雑感(求められているのは対症療法ではなく、原因療法)

先の都議選で、江戸川選挙区から「羽田新ルートは撤回」を掲げて、5番目(定数5)の得票率で初当選した原議員(共産)。初登壇となった第1回定例会本会議(22年2月24日開催)の一般質問では、4項目のうち3番目の項目として「羽田新ルートについて」を取り上げる予定となっていたが、時間的制約などを理由に取り上げなかった(都議会、羽田新ルート問題を取り上げない異常)。

その11日後、品川区選出の白石議員(共産)が予算特別委員会(総括質疑 3月7日)において羽田新ルート問題を取り上げ、江戸川区の航空機騒音問題に2回も言及したのは、原議員の強い思いを受けてのことなのであろう(羽田新ルート|予算特別委員会、白石議員(共産、品川区選出)江戸川区の航空機騒音に言及)。

そして今回、満を持して原議員自らが羽田新ルート問題を取り上げたことは高く評価できる。ただ、環境基準適用による指定地域の見直し問題は、その取り上げ方が難しい。

仮に新たに指定地域に認定されたとして、そのことが意味するのは、住宅防音工事や生活保護等世帯空気調和機器稼働費など、国からの補助が受けられること(騒音対策区域に指定されるメリット/東京都「航空機騒音調査に係る検討会(第1回)」をひも解く)。

つまり、羽田新ルートの運用を容認してしまっていることである。いま求められているのは対症療法ではなく、原因療法(根治を目指す)ではないだろうか。原議員の第2弾に期待したい。

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2021年6月1日、このブログ開設から17周年を迎えました (^_^)/
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