選挙が近づいて来ると、羽田新ルートに対して「なんちゃって反対派」候補が増えてくる。
ウソだと思ったら、都議選のことを振り返ってみるといいだろう。
選挙が近づくと「なんちゃって反対派」候補が増えてくる!?
自公や都民ファーストは羽田新ルート推進派だ。ところが、NHKが都議選直前に42選挙区の候補者にアンケートした結果を見ると、23区の候補者のうち、都民ファーストの候補者は7割超が「見直すべき」を選択しているのである。しかも、党首自らも「見直すべき」を選択している!
公明党の候補者は、6割近くが「回答しない」を選択しているのだが、それらの候補者は、党の方針に抗った良心のある人と捉えるべきか、あるいは単なる卑怯者なのか。
「2021都議選|羽田新ルートに係るNHKアンケート結果(23区)」より
阿久津幸彦 議員(立憲)
「羽田低飛行見直しのための議員連盟」の副会長?
秋までに実施される衆議院選挙に向けて、都議選のような「なんちゃって反対派」は現れてくるのだろうか。
そんななか、阿久津幸彦 議員(立憲、4期、11区)の興味深いツイートが流れてきた。
立憲民主党は、羽田新ルートに対しては推進ではないが、明確に反対を唱えないという曖昧戦略を取っている(と筆者は理解している)。ところが、阿久津議員は「固定化回避」から「一時廃止すべき」と踏み込んだ発言をしているのだ。
さらに流れてきたツートには、やってしまった感がある。
羽田低飛行見直しのための議員連盟につき、「私は確か副会長」というのである。
「羽田低空飛行見直しのための議員連盟」(海江田万里 会長)の副会長は下記3名とされている。
- 手塚仁雄 議員(立憲・衆・東京5区)
- 笠井亮 議員(共産・衆・比例東京ブロック)
- 木村英子 議員(れいわ新選組・参・比例区)
阿久津議員は役付きでない、会員(9人)の1人に過ぎないのではなかったか。
中途半端な過去の国会発言
17年衆議院選で当選してから今日まで、阿久津議員の国会での発言を確認してみた。
国会会議録検索システムで「羽田」でヒットしたのはたったの2件。
- 第201回国会 衆議院「外務委員会」20年4月3日
- 第200回国会 衆議院「外務委員会」19年10月23日
筆者コメントは次の通りだ。
- 「私はこの航空路を通すために国交省も外務省も相当頑張られたと思うんです」とか、「引き続きこの交渉に向けて、横田空域返還という交渉に向けて、粘り強い努力を続けていただきたい」という締めくくりはいただけない。
- 外務委員会ということもあり、阿久津議員の切り口は、横田空域の管制制約を絡めた羽田新ルートの危険性の指摘にとどまっている。
衆院選に向けて、死に物狂いで具体的な行動を
なぜ、阿久津議員はこのような中途半端な質疑しかしてこなかったのか。立憲民主党が羽田新ルートへのスタンスを明確にしてこなかったことに原因があるのではないか。
ただ、衆院選挙が迫るにつれ、選挙区での厳しい戦いを強いられる候補者は党の方針に係らず踏み込んだ発言をするであろうことは容易に想像できる。
阿久津氏の場合、2期目以降は自民の萩生田光一氏を相手に何度も苦杯をなめている。
- 00年衆院選:東京24区(八王子市)に出馬し、民主党公認で初当選
- 03衆院選:自民の萩生田光一氏に破れるも比例東京ブロックで復活当選
- 05年衆院選:再び自民の萩生田光一氏に破れ、比例復活もならず
- 09年衆院選(政権交代):自民の萩生田光一氏に比例復活を許さないほどの大勝
- 12年衆院選:自民の萩生田光一氏に破れ、比例復活もならず
- 17年衆院選:比例東北ブロックから立憲の単独3位候補者として当選
21年衆院選で挑む11区(板橋区の一部)は、自民・下村博文氏(5期)の牙城。下村博文氏相手に、なりふり構っていられない状況は理解できなくない。
最高のチャンスなのに議員連盟(私は確か副会長)がもたもたしているようなら、#宮瀬英治 #都議 が都議会の議連副会長をしているので、一緒に暴れます。(以下略)
政治家は過去の行動で評価される。安直な選挙公約に騙される国民はそれほど多くはないだろう。
衆院選まで残り3か月を切った。過去の羽田新ルートへの曖昧な姿勢を払拭するには、このあと3か月間、死に物狂いで具体的な行動で示すしかないのではないか。
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