羽田新ルートに係る「都民ファーストの会」所属議員の過去4年間の発言実績を以下に整理しておく。
※2021年(令和3年)の東京都議会議員選挙は、6月25日告示、7月4日投開票。
※朱書きは筆者コメント。
- 19年2月15日 都市整備委員会:都民の不安払拭
- 18年12月19日 第4回定例会:国とも連携を強化し、推進
- 18年12月11日 第4回定例会:国とも連携を強化し、推進
- 18年12月5日 決算特別委員会:積極的に推進されたい
- 18年6月8日 都市整備委員会:不安が解消されるよう
- 18年3月1日 第1回定例会:都民の声を十分に聞いて対策を講じるよう求めるべき
- 18年2月15日 都市整備委員会:不安が解消されるよう
- 17年12月4日 決算特別委員会:積極的に推進されたい
- 雑感(4年間でたったの8件)
東京都議会HPの「会議録検索」を使って、「羽田」でヒットした新しい順。
発言当時の都民ファースト所属議員の発言を対象とした(離党後の発言は含まない)。
※17年第3回定例会以降、21年第1回定例会本会議(速報版)までが検索対象(21年第1回定例会の各委員会は含まない)。
19年2月15日 都市整備委員会:都民の不安払拭
「都民の不安払拭というのも必要不可欠」といいながら、請願2件・陳情2件のうち、3件は不採択(≒却下)、1件(羽田空港の機能強化等並びに新飛行経路における情報公開及び説明責任に関する陳情)だけ「趣旨採択」(≒実質的には却下)。
【伊藤ゆう議員(目黒)】
議題:羽田新ルート関連の請願2件、陳情2件
(前略)今、都の認識を伺ったわけですが、あわせて国も、同じ認識を持っているんだろうというふうに思います。今、都は、国際線の増便を可能とする羽田空港の容量拡大による機能強化が必要不可欠だという答弁でありました。
その必要不可欠と同時に、私の地元民もそうですが、都民の多くが騒音、振動、あるいはまた落下物に対して大きな不安というものを今感じていらっしゃいますので、都民の不安払拭というのも必要不可欠であるというふうに、まずもって申し上げておきたいと思います。(中略)
質疑を通じて最後に、より一層丁寧な情報提供を国に強く要請していくという答弁がありました。これをまさに具体化していただいて、るる質疑させていただいた、住民に国よりも近い位置で寄り添って取り組んでいただくように要請をして、質疑を終わらせていただきます。
採決の結果、第第94号(下記黄色)だけが「趣旨採択」、ほか3件は不採択(≒却下)となった。「趣旨採択」とは、請願、陳情の願意は妥当であるが、その実現性について、当分の間は不可能である場合、「趣旨には賛成である」という意味の議決をいう。
- (第42号)国に羽田空港増便による都心低空飛行計画の撤回を求めることに関する請願
- (第43号)国に新都心低空飛行ルートの「教室型説明会」の開催を求めることに関する請願
- (第94号)羽田空港の機能強化等並びに新飛行経路における情報公開及び説明責任に関する陳情
- (第112号)羽田空港の国際線増便計画に伴う都心上空の低空飛行の中止に関する陳情
18年12月19日 第4回定例会:国とも連携を強化し、推進
小池チルドレンによる、羽田新ルート推進発言。
【成清梨沙子議員(墨田、1期)】
都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事提出の全議案に賛成し、(中略)
次に、都市の成長と発展には、交通インフラに代表される長期的視点に立った都市基盤の整備の推進が欠かせません。
羽田空港の機能強化に関しては、都民への丁寧な説明や安全管理の徹底とともに、横田空域との調整も含めた首都圏の空域の再構成をも念頭に置いて、国とも連携を強化し、推進していくことを求めます。(以下略)
18年12月11日 第4回定例会:国とも連携を強化し、推進
小池知事のためのサービス質問を投げかける、民主党から鞍替えした3期目議員。
【小山くにひこ議員(府中、3期:民主⇒都F)】
東京都議会第四回定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表して、小池知事及び教育長、関係局長に質問いたします。(中略)
羽田空港の機能強化に関しては、都民への丁寧な説明や安全管理の徹底とともに、横田空域との調整も含めた首都圏の空域の再構成をも念頭に置いて、国とも連携を強化し、推進していくことを求めます。(中略)
諸外国では国際競争力のさらなる強化に向け、国際空港の機能強化のための取り組みが積極的に行われており、東京もこうした世界の動きにおくれをとることなく、より積極的な投資を行っていかなければなりません。
また、こうした機能強化の取り組みは、都民への丁寧な説明や安全管理の徹底とともに行われるべきものであります。
さらに、安全と環境に配慮した羽田空港の機能強化を図るためには、横田空域との調整も含めた首都圏の空域の再構成が必要であり、国との折衝を進めていく必要もあります。
羽田空港の機能強化のためには、現在、都が国に協力し取り組みを進めています羽田空港の空港容量の拡大がまず必要と考えますが、知事の見解を伺います。(以下略)
18年12月5日 決算特別委員会:積極的に推進されたい
委員長として、羽田新ルートを<積極的に>推進することを「意見」に刻んだ、民主党から鞍替えした2期目議員。
【田の上いくこ委員長(江戸川、2期:民主⇒都F)】
本決算の認定の際に付する意見につきましては、お手元に配布してあります。(中略)起立多数と認めます。よって、平成29年度東京都都営住宅等事業会計決算外一会計決算は、いずれもそれぞれお手元配布の意見を付して認定することに決定いたしました。
意見
- 5 羽田空港の機能強化と国際化、広域幹線道路ネットワークの形成、公共交通網の整備及びバリアフリー化を積極的に推進されたい。
18年6月8日 都市整備委員会:不安が解消されるよう
不安払拭と言いながら、羽田新ルートの陳情案件を却下した、羽田新ルートの影響を強く受ける品川区選出の小池チルドレン。
【森澤恭子議員(品川、1期)】
- 議題「羽田増便に伴う都心上空縦断の新ルートの情報公開と都民の安全を求める陳情」
(前略)2月の委員会でも申し上げましたけれども、羽田空港の機能強化、増便のために、地域の住民の方の安全・安心が置き去りになることがあってはなりません。
引き続き、関係する区民、都民の声を丁寧に聞き、不安が解消されるよう取り組んでいただくことを強く求めて、質問を終わります。
採決の結果、不採択(≒却下)となった。
18年3月1日 第1回定例会:都民の声を十分に聞いて対策を講じるよう求めるべき
小池知事のためのサービス質問を投げかける、民主党から鞍替えした3期目議員。
【増子ひろき議員(文京、3期:民主⇒都F)】
平成30年第1回東京都議会定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表して、小池知事、警視総監、消防総監及び関係局長に質問いたします。(中略)
2020年東京大会に向けて、羽田空港を使う飛行機が増便されます。増便に伴って飛行ルートが変更になり、飛行機の騒音や落下物に対して、都民は不安を抱いています。飛行場の管理や飛行機の管制は国の事業ですが、東京都は、都民の安全と健康、快適な生活環境を維持する責務を負っています。
東京都としては、国に対し、都民の声を十分に聞いて対策を講じるよう求めるべきであると考えますが、知事の見解を伺います。(以下略)
18年2月15日 都市整備委員会:不安が解消されるよう
不安払拭と言いながら、羽田新ルートの陳情案件を却下した、羽田新ルートの影響を強く受ける品川区選出の小池チルドレン。
【森澤恭子議員(品川、1期)】
- 議題「羽田空港増便による都心での新低空飛行ルートの再検討を国に求めることに関する請願」
都は、引き続き国に対して安全管理の徹底を図ることを要請していくということでしたけれども、新飛行経路による落下物による事故、ましてや負傷者が出るといったことは一件たりとも起こってはいけないわけです。羽田空港の機能強化、増便のために地元住民の安全・安心が置き去りになることはあってはなりません。
引き続き関係する区民、市民を初めとする都民の声を丁寧に聞きながら、不安が解消されるよう取り組んでいただくことを強く求めまして、私の質問を終わります。
採決の結果、不採択(≒却下)となった。
17年12月4日 決算特別委員会:積極的に推進されたい
委員長として、羽田新ルートを<積極的に>推進することを「意見」に刻んだ、キャリアがふらついている(民主⇒維新落選⇒都F⇒立憲)崖っぷち議員。
【栗下善行委員長(大田、2期:民主⇒維新落選⇒都F⇒立憲)】
本決算の認定の際に付する意見につきましては、お手元に配布してあります。(中略)本決算は、いずれもそれぞれお手元配布の意見を付して認定することにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
異議なしと認めます。よって、平成28年度東京都特別区財政調整会計決算外11会計決算は、いずれもそれぞれお手元配布の意見を付して認定することに決定いたしました。(以下略)意見
- 6 羽田空港の機能強化と国際化、広域幹線道路ネットワークの形成、公共交通網の整備及びバリアフリーを積極的に推進されたい。
雑感(4年間でたったの8件)
17年7月の選挙以降の4年間で「都民ファーストの会」の議員が定例会で羽田新ルートに言及したのは上記のとおり8件であった。
うち本会議の3回は小池都知事のためのサービス質問。3回は都市整備委員会での請願・陳情事案に対するもの(事実上、全て却下された)。あとの2回は決算特別委員会で、数にものを言わせて羽田新ルートを<積極的に>推進することを「意見」に刻んだ。
これら8件の発言を時系列に整理したのが次表。
都民ファーストは46名(21年4月20日現在。選挙直後は追加公認を含め55名!)もいながら、19年第2回定例会(6月)以降、羽田新ルート問題に全く触れていない。これでは小池チルドレンと言われても仕方あるまい。
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