「江東5区広域避難推進協議会」は8月22日、浸水が想定される区域図と避難計画を公表。
江東5区を出て、標高が高い地域や浸水の恐れがない地域へ避難することが求められているのだが、具体的な避難先は示されていない。
江東5区250万人 域外避難計画(東京新聞)
「江東5区広域避難推進協議会」は8月22日、浸水が想定される区域図と避難計画を公表。人口の9割以上に当たる250万人を隣県などに広域避難させる方針を打ち出した。
江東5区「水害で2週間以上浸水」 250万人 域外避難計画
海抜ゼロメートル地帯が広がる東京都東部で大規模水害時の対応を検討してきた「江東5区広域避難推進協議会」は22日、浸水が想定される区域図と避難計画を示した。
水が2週間以上も引かない地域が発生するとの想定を初めて公表。高層階に逃れてもライフラインの断絶で生活は困難になるため、人口の9割以上に当たる250万人を隣県などに広域避難させる方針を打ち出した。だが、具体的な避難先は示されていない。(以下略)
(東京新聞 8月22日)
各自で避難先を確保!?
江東5区の各HPには、江東5区大規模水害広域避難計画の「リーフレット」「概要」「本編」と「江東5区大規模水害ハザードマップ」が掲載されている(墨田区、江東区、足立区、葛飾区、江戸川区)。
大規模水害が起きる可能性のある場合には、江東5区のほぼ全域に広域避難勧告が発令されることになっている。
- 72時間前:共同検討開始
- 48時間前:自主的広域避難情報
- 24時間前:広域避難勧告
- 9時間前:域内垂直避難指示(緊急)
江東5区を出て、標高が高い地域や浸水の恐れがない地域へ避難(広域避難)することが求められているのだが、具体的な避難先は示されていない。現段階では公的な広域避難場所は確保できていないのである。
「まずは、親戚・知人宅や宿泊施設・勤め先等、各自で避難先を確保してください」(次図)というのだが、該当先がない人はどうすればいいのか――。
「リーフレット」より
マンションの高層階住人でも広域避難は必要か?
マンションの高層階に住んでいれば浸水することがないので、広域避難する必要はないのではないか?
残念ながら、たとえマンションの高層階に住んでいても、広域避難は必要になる。
電気やガス、トイレが使いない状況で2週間以上の生活を強いられる可能性があるからだ。
水が出ない。洗濯ができない。冷蔵庫の中身がダメになる。エアコンが使えない。ゴミがたまり続ける。トイレが流せず、簡易トイレが一杯になる。
台風が発生する暑い時期、水が引くまで2週間以上もこういった生活に耐えられるかという話(次図)。
「リーフレット」より
2週間以上の長期潅水が想定されていて、「地震対策よりも⻑期間の備蓄が必要」というのだが、地震3日間の備蓄でも大変なのに、2週間以上の備蓄などできるのか?
住⺠は、垂直避難せざるを得ないときに備え、⾷料・⽔・簡易トイレほかの備蓄を⾏う必要がある。なお、その際には地震対策よりも⻑期間の備蓄が必要である。(本編P21)
都会の狭い住戸にはそんなに備蓄スペースはないし、共用スペースに備蓄するにしても限界がある。
高層階住民といえども、広域避難をせざるを得ない……。
高潮浸水想定区域外・洪水浸水想定区域外の町丁目
ただ、江東5区のすべてのエリアが浸水被害を受けるわけではない。
少ないながらも浸水被害を受けないと想定されている町丁目もあるのだ。
具体的には以下のとおりだ。
高潮浸水想定区域(浸水深50cm以上)外
高潮浸水想定区域(浸水深50cm以上)外となる町丁目は、足立区の北西部と江戸川区臨海町4丁目、江東区の豊洲6丁目・有明1丁目~4丁目・青海1丁目~4丁目。
残念ながら、葛飾区と墨田区は全滅。
「江東5区大規模水害広域避難計画(本編)」P31より
洪水浸水想定区域(浸水深 50cm以上)外
洪水(荒川 L2・江戸川 L2)浸水想定区域(浸水深 50cm以上)外となる町丁目は、江東区の南部と江戸川区臨海町4丁目~6丁目、葛飾区高砂1丁目。
残念ながら、足立区と墨田区は全滅。
同上より