南風時に都心上空を通過して羽田に到着するルートの運用が開始されたのは20年4月3日。
豊島区は、新飛行経路の直下の区施設(南長崎第二保育園)にて、不定期に短期間、区独自の騒音測定を実施し、その結果を一部公表している。
※投稿21年9月23日(更新23年11月29日:23年7月データ反映)
いちおう騒音測定やってます、みたいな
豊島区は、新飛行経路の直下の区施設(南長崎第二保育園)にて、不定期に短期間、区独自の騒音測定を実施し、その結果を一部公表している(次図)。
実測値の平均値しか公表されていないのでほとんど意味がない。いちおう騒音測定やってます、みたいな……。
航空機は測定場所(南長崎第二保育園)の直上を1200mから1050mに降下しながら通過することになっている(次図)。
※南風時に都心上空を通過して羽田空港に到着するルートの運用時間帯は、午後(15時から19時、うち3時間)。国交省の計画では、A滑走路到着ルートは1時間当たり14回(4分17秒ごと)、C滑走路到着ルートは1時間当たり30回(2分ごと)の頻度で飛ぶことになっている。
豊島区から詳細データが送られてきた
もう少し詳しいデータを知るために「区政へのご意見・ご要望(入力フォーム)」を使って、「測定日ごとの航空機騒音発生回数および最大騒音レベル(dB)の最大値・最小値・平均値」を問い合わせてみた。
1週間後に環境保全課からメールで、リクエストしたデータが送られてきた(次図)。
環境保全課から送られてきたデータを整理したのが次表。
飛行回数にバラツキが見られるのは、日によって時間あたりの飛行機数にバラツキがあることに加え、南風時の運用時間の長短に影響されるためと考えられる。
※豊島区から23年7月分データを入手し、上表に反映した(23年11月29日)
豊島区の騒音測定データを可視化
環境保全課から送られてきたデータを可視化したのが次図。
最大騒音レベルの最大値(赤色)を見ると、20年8月は74~78dB(単純平均74.6dB)だったのに対して21年7月は68~70dB(単純平均69.0dB)と大きく減少していることに気づかされる。その差5.6dB(単純平均の差)。
22年7月は69~72dB(単純平均69.7dB)。21年との差0.7dB(単純平均の差)
※豊島区から23年7月分データを入手し、上表に反映した(23年11月29日)
最大騒音レベルの最大値の経年変化は、大型機の通過機数の割合の変化と関係があるのか(次図)。
豊島区の計測データが少なすぎて、何とも言えない。
「南風時の都心低空飛行ルート運用実績を可視化(23年10月)」グラフを加工
昨年8月の騒音レベル74~78dBは、騒音環境としてはよろしくない。国交省の資料によれば、「幹線道路際、掃除機、騒々しい街頭」の騒音レベルは70~80dB(次図)。
国交省のFAQ冊子v6.2(P56)「騒音環境と航空機騒音の程度について」
雑感
今回騒音データをお送り頂いた環境清掃部環境保全課の公害対策グループの担当者には感謝。そのうえで改善提案2点。
なぜ、騒音測定データを全て公開していないのか
環境保全課から送られてきた騒音データは、たいした量ではない(45行!)。
最初から区のホームページで公開してもいいと思うのだが。しかしそのようにしなかったのは、「どうせ誰も関心ないだろから取りあえず最低限の情報を載せとけ」というようなことではなかったのかと勘繰りたくなる。
場当たり的とも思えるような不定期な測定でいいのか
これでは航空機騒音の実態が把握できないのではないか。まあ、筆者のように可視化分析することによって、豊島区の航空機騒音の実態はある程度見えてくるのだが。
追記(今後の測定予定)
※追記21年9月24日
豊島区に9月23日、今後の測定予定を照会したところ、翌24日以下の回答が送られてきた。
今後、令和3年度内の測定は予定しておりません。
次年度以降の測定については、年1回程度の実施を考えておりますが、時期は未定です。
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