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羽田新ルート|第6フェーズ住民説明会資料、最大騒音レベルを曖昧化

国交省は11月15日、第6フェーズの住民説明会用の資料を公表。同資料の主要な点である実機飛行や不動産価格への影響などについては先日のブログ記事でまとめた。

同資料の飛行騒音データの扱いが特に気になったので、以下にまとめておいた。


もくじ

最大騒音レベル、帯状表現で曖昧化

航空機の騒音データについて、これまでの説明資料(FAQ冊子v5.1.2)では、飛行高度ごとに小型機・中型機・大型機の経路直下の騒音レベルの最大値が表形式で掲載されていた(次図、左)。ところが今回公表された別添資料(住民説明会で用いるパネル)v6.0)では、騒音レベルが幅を持たせた帯で表示されている(次図、右)。

飛行騒音データが表からグラフに変わった

 

たとえば、大型機(B777-200)が高度600mを通過したときの直下の騒音レベルは「73」という数値だけでなく、グラデーションをつけた赤色の帯で表現されている(次図)。大型機の下に中型機だけでなく、小型機も描かれているので、騒音レベルが低いケースもあるような印象を受けるのではないか。でも、国際線で小型機が飛ぶ可能性は極めて低い。小型機の帯状データを連ねることで、大型機の騒音レベルの大きさを曖昧化する効果が生み出されている。

飛行高度600mの例

今回、騒音レベルを帯状で表示したことに関連して、次のように、標準的な値からバラツキがあるためと補足している。

(補足)

  1. 着陸時のグラフでお示ししている標準的な騒音値は、地形や建築物等の影響がなく、一定の気象条件において航空機が安定的に飛行しているなどの仮定をおいて推計した値です。
  2.  実際には様々な要件により観測される音の大きさが変わり、標準的な値から上下にばらつきが生じるため、数値とは別に実際の測定データにおけるばらつきを幅でお示ししています。
  3.  観測される騒音値はおおむねこの幅に収まると推測していますが、台風などの悪天候時や安全を確保するため通常とは異なる経路で飛行する場合などではこの幅を超えるような値を観測する可能性があります。

これまで疑問視されていた最大騒音レベルの確からしさについて、国交省は今回、上記文章を補足することで逃げを打っているのであろう。

騒音の大きい機種でなく、小さい機種の値を表示

上図に、これまでの説明資料に掲載されていたデータをピンク色で書き込んだのが次図。

何が変わったのかといえば、騒音レベルの大きな機種B777-300(74dB)ではなく、騒音レベルの小さい機種B777-200(73dB)の値が表示されていること。生活者の関心は、最も大きな騒音レベルはいくらなのかということだ。比較の意味で小型機や中型機の騒音レベルを表示することはいいが、大型機の騒音レベルはB777-300(74dB)を表示すべきだろう。

飛行高度600mの例に以前のデータを重ねた
※ピンク色は筆者加筆

 

すべての飛行高度について、これまでの説明資料に掲載されていたデータをピンク色で書き込んだのが次図。大型機については、騒音レベルの大きな機種B777-300ではなく、騒音レベルの小さい機種B777-200の値が表示されていることが分かる。

※黄色で着色したのは、大型機の機種の違いによって、騒音レベルが低く表示されているケース。

以前の騒音データを重ねた全体グラフ
⇒上図の拡大版

新ルート下の最大騒音レベル、目立たないグラフ表現に

上述した経路直下の騒音データだけでなく、経路直下からの側方距離に応じた騒音データについても今回、帯状のグラフで表示されるように変更された(次図、右)。

側方距離と飛行騒音の関係(以前との比較)

 

たとえば、着陸ルートで高度600mの直下からの側方距離と騒音レベルの関係を示したのが次図。

 高度600mの例

 

上図にこれまでの説明資料に掲載されていた折れ線グラフを重ね合わせたのが次図。帯状のグラデーションで描くことで、大型機(B777-300)の最大騒音レベルが目立たなくなってしまっている。

着陸ルート高度600mの側方距離と騒音レベルの関係


すべての飛行高度について、同様に折れ線グラフを重ね合わせたのが次図。帯状のグラデーションで描くことで、生活者が知るべき最大騒音レベルが目立たなくなってしまっている

側方距離と飛行騒音の関係(全体グラフ)

⇒上図の拡大版

まとめ

国交省が住民説明会用などに利用していたこれまでの資料のバージョンv5.1.2(128枚)に対して、今回公表した資料のバージョンはv6.0(40枚)。

住民説明会用資料(v5.1.2⇒v6.0)

第6フェーズ住民説明会(オープンハウス型)では、大幅に枚数を減らした資料が配布される。資料がコンパクトなるのは必ずしも悪いことではないが、上述のように騒音レベルの最大値が曖昧化されることは生活者の利益を損なう。

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