都議会の非公開の理事会で9月27日、共産党が上程した羽田新ルートの意見書案が却下された。
共産党東京都委員会の9月27日のツイートがなければ、同意見書案が自公・都ファなどの反対により、葬られた事実を大半の都民は知り得ないという都議会の仕組み。
キッカケは共産党東京都委員会のツイート
都議会の都市整備委員会で「羽田空港の低空飛行ルートの運用開始の見直しを国に求める意見書案」が上程できなかったという、共産党東京都委員会の1か月余り前のツイート。
共産党都議団は13日の都議会都市整備委で、羽田空港の低空飛行ルートの運用開始の見直しを国に求める意見書案を提出しましたが、都ファ、公明、自民、立憲・民主などの反対で上程できませんでした。
都市整備委員会でどのような議論がなされたのかを知りたくて、同委員会の議事録公開を待っていたところ、11月7日にようやく公開された(正式の議事録でなく、「速記録」の公開に1月以上も要している!)。
なぜ、速記録に意見書案の記述がないのか?
同速記録に目を通していて、驚かされた。なんと羽田の文言が全く登場しないのである。なぜ、速記録に羽田新ルートに係る意見書案のことが書かれていないのか?
共産党が提出しようとした意見書案が受理されなかった(門前払いされた)ということではないのかと、ツイートしてみたところ、安藤たい作氏(品川区議、共産、4期)から次のツイートを頂戴した。
#白石たみお 都議から丁寧な返信!抜粋します。
国への意見書は都議会では全会派一致が原則。各会派と調整をつけるのは非公開の理事会。理事会で一会派でも反対されれば、委員会にも上がらない仕組み。だから委員会にも上がらず、議事録にも残らない。よって、速記録にも載らないという経緯になります
非公開の理事会で意見書案に反対する会派がいたため、都市整備委員会に上程できず、同委員会での議論にもならなかったという次第。
意見書案を闇に葬ったのは誰か?
では、意見書案を上程することにつき、どこの会派の誰が反対したのか?
9月27日付けの「しんぶん赤旗」に、反対した会派名が記されている。
党都議団 羽田新ルートの意見書案を提出 上程できず
日本共産党東京都議団は13日の都議会都市整備委員会理事会で、羽田空港の着陸機に都心部上空を低空飛行させる新ルートの運用開始の見直しを国に求める意見書案を提出しましたが、都民ファーストの会、公明党、自民党、立憲・民主、東京みらいが反対し、本会に上程できませんでした。(以下略)
具体的にはどの会派の誰が反対したのか?
安藤たい作氏のツイート(白石たみお都議からの引用)によれば、非公開の「理事会」のメンバが反対したことになる。
東京都議会委員会条例 第6条に「理事会は、委員長、副委員長及び理事で組織する」とされているので、都市整備委員会(定数14人)のうち、理事会を構成しているのは次の6名(9月13日現在)。
和泉なおみ氏(共産)を除く5名が意見書案の上程に反対したということになる。
※敬称略
- 【委員長】本橋ひろたか(都ファ)選挙区(豊島)
- 【副委員長】
森澤恭子(東京みらい、元都ファ)選挙区(品川)
和泉なおみ(共産)選挙区(葛飾)←唯一、意見書案に賛成 - 【理事】
神林茂(自民)選挙区(大田)
中山信行(公明)選挙区(足立)
伊藤ゆう(都ファ)選挙区(目黒)
共産党東京都委員会の9月27日のツイートがなければ、「羽田空港の低空飛行ルートの運用開始の見直しを国に求める意見書案」が自公・都ファ などの反対により、葬られた事実を大半の都民は知り得ないという都議会の仕組み。
次の都議会選挙は、再来年の夏(21年7月)。そのころには都心上空から降り注ぐ航空機騒音は日常のものになっているのだろうか。そのとき都民は、羽田新ルート見直し意見書案を闇に葬った5名にどのような審判を下すのか……。
※「しんぶん赤旗」には「都民ファーストの会、公明党、自民党、立憲・民主、東京みらいが反対」(上述)とあるが、都市整備委員会の理事会には、立憲・民主は含まれていない。赤旗の記事が間違っているのか?
【追記 11/10】理事会に、立憲・民主は含まれているのか?
安藤たい作氏(品川区議、共産、4期)から、立憲等の少数派に理事ポストはないが、オブザーバーとして理事会に参加している旨の回答を頂戴しました。
再び #白石たみお 都議より!(抜粋)
理事は基本的に大会派順に割り当てられます。立憲等は少数会派のため理事ポストはありませんが、常任委員会の運営は少数会派を抜きにせず全会派を理事会に参加するよう申し合わせをしています。
よって立憲はオブザーバーという位置づけで理事会に出席しています
したがって、自公・都ファ・東京みらいだけでなく、立憲・国民民主も「羽田空港の低空飛行ルートの運用開始の見直しを国に求める意見書案」を上程することに反対したという赤旗の記事は正しい。
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