国土交通省は11月16日、全国主要都市の計100地区を対象に四半期ごとに実施している「主要都市の高度利用地地価動向報告(地価LOOKレポート)」<19年第3四半期>を公表。
19年第3四半期(19年7月1日~19年10月1日)の佃、月島、豊洲、有明といった、湾岸エリアの新築分譲マンションの価格動向を中心に、不動産鑑定士のコメントをピックアップしておこう。
ざっくり言うと、第1四半期から文章があまり変わっていない。
【佃・月島】新築マンション市況は好調
新築マンション市況は好調である。中古マンションは一定数の在庫を抱えているが、取得意欲は旺盛な状況が続いており、高価格水準を維持している。
地価動向
- 当地区は銀座等の都心への優れた接近性を備えるとともに、東京タワーや東京スカイツリー等のランドマーク施設や河川等に囲まれた変化に富んだ眺望が得られることから、分譲・賃貸ともに高層マンションの需要が強い。
- 「中央区基本計画2018」によると、当地区では今後10年で人口が約1.5倍に増加することが見込まれており、また、地区計画では良質な都心生活地としての複合市街地の形成を目的とした土地利用が求められており、当地区はさらなる発展が期待される。
- マンション購入資金の融資環境が良好であること等が下支えとなり、新築マンション市況は好調である。中古マンションは一定数の在庫を抱えているが、取得意欲は旺盛な状況が続いており、高価格水準を維持している。
- デベロッパーによるマンション開発素地需要は強く、マンション開発素地の供給が少ないことから取引利回りは低下傾向で推移しており、当地区の地価動向はやや上昇で推移した。
将来地価動向
- 東京五輪前にBRTのプレ運行が予定される等、都市基盤整備としてBRTや環状2号線整備による利便性の向上が期待され、再開発事業や五輪関連施設の建設も進んでいる。
- こうした背景からマンション市況は好調を維持し、将来の地価動向はやや上昇が続くと予想される。
【豊洲】新築マンション価格上昇の動き
新築分譲マンションについては、マンション分譲価格上昇の動きが見られる。中古マンション市場においても需要者の購入意欲は底堅く、取引価格は安定している。
地価動向
- 当地区は、マンション価格上昇の動きが一時期と比較して一段落する様子を見せていたものの、他の湾岸エリアと同様に需要者の購入意欲が底堅い地域であることから、新築分譲マンションについては、マンション分譲価格上昇の動きが見られる。
- 中古マンション市場においても需要者の購入意欲は底堅く、取引価格は安定している。
- また、豊洲駅前及び豊洲市場周辺地域の開発が進められており、周辺のマンション市場にとっても前向きな材料となっている。
- 湾岸エリアでは分譲マンションの大量供給が開始されたが、販売状況は良好であること及びマンション開発素地の供給が極めて少ないことから、デベロッパー等の素地取得意欲は継続して強く、取引利回りはやや低下傾向で推移している。
- このような状況から、当地区の地価動向はやや上昇で推移した。
将来地価動向
- 当地区は、利便性の高さから底堅いマンション需要に支えられており、当地区内の買換え需要を中心に引き続き安定的に推移すると予想される。
- また、豊洲駅前及び豊洲市場周辺地域の整備により、当地区外からのマンション需要も期待できる。
- このような状況から、当地区の将来の地価動向はやや上昇と予想される。
【有明】マンション分譲価格上昇は一段落
マンション分譲価格上昇の動きは一段落している。
地価動向
- 当地区では、マンション分譲価格上昇の動きは一段落しているものの、都心部に近いエリアとの比較における相対的な割安感や、地域の将来性等から、依然としてマンション需要は堅調に推移している。
- こうした要因はマンションの賃貸需要にも影響しており、賃貸物件は供給量が限定的であることから、賃料は大幅な上昇傾向にある。
- 建築費は高止まりしており、また当地区を含む湾岸エリアでは引き続き大型分譲マンションの大量供給が控えていることによる懸念材料もあるが、国家戦略特区の認定を受けた大規模開発事業や東京五輪関連施設の工事等が進んでいるほか、環状2号線の開通や銀座と有明を結ぶ地下鉄構想により都心部へのアクセス性向上が見込まれる等、その将来性を見据え、デベロッパーの素地取得意欲は依然として高い。
- こうした背景から、当地区の地価動向はやや上昇傾向で推移している。
将来地価動向
- 今後も東京五輪開催や将来性を背景に、当地区の不動産市況はしばらくは堅調に推移し、将来の地価動向はやや上昇傾向が続くことが予想される。
あわせて読みたい