「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会 幹事会(第17回)」が5月14日に開催された。
でも、多くの都民はそのことを知らない。
開催頻度が落ちていた「都及び関係区市連絡会(幹事会)」
都の会議体として「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会」があることをご存じだろうか。
下記を目的として、東京都副知事が座長となり、23区の副区長と5市(武蔵野市、三鷹市、調布市、狛江市、西東京市)の副市長で構成される会議体として、14年8月26日に設置された。
設置目的
首都圏空港の機能強化に伴い、国から提示される羽田空港の機能強化方策に係る課題等について、都及び関係区市で情報共有や意見交換を行い、国が設置する「首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会」に反映させることを目的とする。
同連絡会の第1回幹事会が14年11月28日に開催された。幹事会は14年度から16年度は頻繁に開催されていたがその後、17年度に1回、18年度に2回、19年度に1回とあまり開催されなくなった(次図)。
※幹事会は部長級で構成されている(らしい)
まあ、都と関係区市が議論した結果を反映させるべき国の協議会「首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会」のほうが第4回(16年7月26日)を最後に開催されていないので、17年度以降、連絡会の開催頻度が落ちたということなのだろう。
その後どうなったのかと思って、都のHPをチェックしてみたところ、先月5月14日に第17回幹事会が開催された資料が公開されていることに気がついた。
「都及び関係区市連絡会(幹事会)」をコッソリ(?)再開
第17回幹事会が5月14日に開催されたことは、都のホームページの新着情報にも、同会議を主管する都市整備局の新着情報にも記されていないので、関係者以外がアクセスすることは困難だ。
第17回幹事会の会議が開催されたことを知るには都市整備局HPの「羽田空港の更なる機能強化について」のページを開き、下にスクロールして「トピックス」に掲載されていることに気が付かないと知り得ないのである(次図)。
2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、羽田新ルートの運用開始をにらんで、「都及び関係区市連絡会(幹事会)」をコッソリ(?)再開させたのだろうか。
出席者からは情報提供を求める声
都市整備局のトピックスに掲載されている当該リンクをクリックすると、 「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会 幹事会(第17回)」のページが開き、「議事の要旨」として、「主な意見等」が7つ列挙されていることが確認できる。
議事の要旨
*羽田空港機能強化に向けたこれまでの取組と対応方策等について、国土交通省から情報提供がなされた。
【主な意見等】
- 説明会の方式にオープンハウス型を採用し、第5フェーズまで実施したことは歴史的見地からも評価している。ただし、改善すべき課題はある。
- 騒音や環境だけでなく、インバウンドによる観光や産業の活性化、経済効果等の情報についても、国から関係自治体に向けての情報提供の仕組みづくりを進めてほしい。
- 航空関係の情報公開が一層進むよう、今後の道筋を検討してほしい。
- 安全や騒音の不安を払拭し理解を深めてもらうためには、飛行ルートのみならず、主要駅等、人の多い場所での情報提供が効果的だと思う。
- 現在でも、着陸復行等のイレギュラーな運行時には問合せが寄せられている。今後も問合せが増えると思われるため、何らかの対応ができないか。
- 落下物防止対策の義務付けによる効果が出ていれば、情報提供してほしい。
- 国の取組を都民に広く理解して頂くためにも、本日情報提供されたこれまでの取組と対応方策等は何らかの形で国に公表してほしい。
「主な意見等」からは、反対の声はもちろん、見直しの声も読み取れない。羽田新ルートの運営開始を前提とした、情報公開・情報提供を求める声が上がっていることが確認できる。
「主な意見等」のなかに、4回も「情報提供」という言葉が出てくるのは悪い冗談か。なぜならば、東京都自身が、都民に対してこの連絡会情報にアクセスしづらい状況を作っていることや、「議事録」ではなく「議事の要旨」しか公表していない実態は情報提供に後ろ向きだからだ。「情報公開」は都政改革の3原則の一つであるはずだが……。