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羽田新ルート計画は、米国の国益に応えるためか…

昨日のブログ記事「羽田新ルート|大阪でも飛んでいるんだから!?」で、羽田新ルートと伊丹ルートの年間飛行回数を比較した。その際、国交省のFAQ冊子には、羽田新ルートのルート別の時間当たりの飛行回数は掲載されているが、同年間飛行回数が掲載されないことに気がついた。

羽田新ルートの年間飛行回数を調べていくうちに、いくつか気になる点があったので整理しておいた。


もくじ

羽田新ルート、昼間国際線だけ年間発着枠3.9万回増加

羽田新ルートが実現した場合、「深夜・早朝時間帯以外の国際線」の便数は年間約3.9万回増加し、約9.9万回になるとされている(次図)。

「深夜・早朝時間帯以外の国際線」の便数は年間約3.9万回増加し、約9.9万回
(FAQ冊子 P27)

では、「深夜・早朝時間帯の国際線」や国内線の便数はどうなっているのか?

現状の羽田の処理能力は年間約45万回で、これに新ルート約4万回(3.9万回)が増加するとされている(次図)。

現状の羽田の処理能力は年間約45万回
(FAQ冊子 P15)

この年間45万回という数字は、「首都圏空港機能強化技術検討小委員会の中間取りまとめ(平成26年7月)」(以下、「中間取りまとめ」)を踏まえたということになっている。そこで、中間取りまとめをひも解くと、次図(ピンク線囲み)より、年間45万回は次の内訳から構成されていることが確認できる。

  • 国内線:35.7万回
  • 国際線(深夜・早朝):3万回
  • 国際線(昼間):6万回
  • 合計:44.7万回

羽田空港の処理能力内訳
(中間取りまとめ参考資料 P1)

以上を踏まえ、羽田新ルート導入前後の年間発着枠の変化を整理したのが次図。

次図より、羽田新ルートというのは、(1)昼間の国際線の増便だけが対象であること、(2)6万回が3.9万回増加し、9.9万回になるのだが全体枠44.7万回に対して8.7%の増加であること、が分かる。

羽田新ルート導入前後の年間発着枠の変化

昼間の国際線の3.9万回増便(全体枠44.7万回に対して8.7%)のために、羽田新ルート周辺の多くの住民が落下物・墜落事故の危険リスクや騒音などの影響を受けることになる。

成田の未利用枠を活用すれば羽田増便は不要では

年間3.9万回(全体の8.7%)発着回数を増加させるために都心上空を飛行させるくらいなら、なぜ、成田空港をもっと活用しないのかという疑問が出てくる。

この疑問に対して、国交省は、成田空港も対応できないとしている。

Q3成田空港へのアクセスを改善する等をして、もっと活用できないのですか。

  • 今後、世界的な航空需要は、アジア地域を中心に更に伸びると言われています。このような中で、羽田空港は、深夜・早朝の時間帯を除き、現在フル稼働しています。また、国際線の需要が集中する時間帯においては、成田空港においても、航空会社からの国際線就航の需要に応え切れていない状況にあります

(FAQ冊子 P12)

ホントに成田空港は一杯一杯なのだろうか?

成田国際空港(株)のHPに公開されている「成田空港運用状況 」のうち、「1978年-2018年(年度)」のデータを可視化したのが次図。

年間発着回数は年々増加傾向にあるものの、18年度は25.7万回。「中間取りまとめ」が想定していた「現状約30万回+増便策4万回」よりも8万回ほど下回っている。

成田空港の年間発着回数の推移


成田に未利用枠8万回があるならば、羽田新ルートの3.9万回は充分吸収できるのではないのか(次図)。

羽田新ルート増便3.9万回と成田未利用枠との関係

羽田新ルート計画は、米国の国益に応えるためか…

2020年東京オリンピック・パラリンピックで羽田新ルートの増便が実現したあとの、第5滑走路(E滑走路)を増設する計画(次図、ピンク線囲み部分)についても、言及しておこう。

第5滑走路(E滑走路)を増設する計画
※第5滑走路計画の詳細については、「第5滑走路(E滑走路)増設の悪夢」参照。

中間取りまとめでは、第5滑走路(E滑走路)をC滑走路にセミオープンパラレルで配置した場合、年間13万回増便できるとしている。

年間の空港処理能力拡大効果は、最も効果が高い、C滑走路にセミオープンパラレルで配置した場合、2020年東京オリンピック・パラリンピックまでに実現し得る方策に比べ、13万回程度/年(1日当たり約360回)程度の増となる(145時間の運用を行うと仮定した場合)。

(中間取りまとめ P39)

羽田国際線昼間の現状の発着枠は6万回であるが、羽田新ルートが実現すると9.9万回に、第5滑走路(E滑走路)増設計画が実現すると22.9万回(=9.9+13)まで枠が広がることになる。こうなると上述した成田の未利用枠8万回では対応できない(次図)。

羽田の年間発着枠の変化


成田の未利用枠8万回を使わない羽田新ルート計画は、第5滑走路(E滑走路)増設計画実現に向けた布石ではないのか。

さらに言えば、成田の未利用枠を活用せずに羽田新ルート計画を強行するのは、USTR(米国通商代表部)の要求(=米国の国益確保)が背景にあるのではないのかと思えてくるのだが……。

※詳しくは、「羽田新ルート|USTR「外国貿易障壁報告書」」参照。

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2019年6月1日、このブログ開設から15周年を迎えました (^_^)/
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