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羽田新ルート|大阪でも飛んでいるんだから!?

大阪や福岡でも市街地の上空を頻繁に低空で飛行している。だから東京上空を飛行しても大したことはない、という意見。はたしてそうだろうか……。


もくじ

都心部上空を飛行するのは東京だけでない!?

国交省が運営しているサイト「羽田空港のこれから」に公開されているFAQ冊子v.5.1.2に、都心部の上空を飛行する事例として、大阪国際空港と福岡空港の例が掲げられている(次図)。

大阪国際空港と福岡空港の例
(FAQ冊子 P36)


国交省は、伊丹空港や福岡空港でもすでに、市街地の上空を低空で頻繁に飛行しているので、首都圏上空を飛行しても問題ないとでも言いたいのだろうか……。

Q16 都心部の上空を飛行する事例として、他にどのようなものがあるのでしょうか。

  • 大阪国際空港や福岡空港では、現在、市街地の上空を飛ぶ飛行経路があります。(P36)


伊丹空港(大阪国際空港)では、北風時に南側着陸ルートとして、年間約6万回、新大阪駅上空約300mを通過するとされている(次図)。

伊丹空港(大阪国際空港)北風時に南側着陸ルート
(FAQ冊子P36、部分拡大)

 

Google Earthで見ると、伊丹ルートの下には市街地が広がっていることが確認できる(次図)。

南側着陸ルート高度300mから新大阪駅周辺
(伊丹ルート高度300mから見た新大阪駅周辺)

伊丹ルートの騒音影響を受ける住民数を推定してみる

筆者の独自調査によれば、羽田新ルートの騒音の影響を受ける住民は約100万人(詳細は、羽田新ルート|騒音影響を受ける区民100万人超)。同様の手法(2015年国勢調査人口の250mメッシュデータを集計する)で、伊丹ルートの騒音の影響を受ける住民の数を推定してみた。

城東区から伊丹空港に至る着陸ルート直下から水平距離500m範囲の住民の数・割合を次表に示す。伊丹ルートの騒音被害などの影響を受ける住民の数は約28万人。総人口145万人に対して20%。最も影響を受ける人口割合が大きいのは都島区66%(6.9万人)。次いで城東区47%(7.8万人)。

騒音被害などの影響を受ける住民の数・割合

さらに分かりやすくするために、上表を地図に落としたのが次図。

城東区から伊丹空港に至る着陸ルート直下から水平距離500m範囲の人口
緑色数字は、ルート直下から水平距離500m範囲の住民の数を示す。

羽田新ルート vs 伊丹ルート

(1)着陸ルート1km当たりの影響住民数の比較

羽田新ルートの影響を受ける住民(区民)は100万人を超える。一方、伊丹ルートの受ける住民は約28万人であることが推定できた。

ただ、東京と大阪では比較対象エリアが異なるので、このままでは影響の多寡を比べることができない。そこで着陸ルート1km当たりの影響住民数を比較する。

羽田新ルート(約28km)の影響を受ける住民が約100万人だから、1km当たり3.6万人。一方、伊丹ルート(約16km)の影響を受ける住民は約28万人だから、1km当たり1.8万人(次図)。

羽田新ルートの影響を受ける住民の人数は1km当たりで比較すると、伊丹ルートのちょうど2倍になった。まあ、23区のほうが人口密度が高いことを勘案すれば、当然と言えば当然の結果なのだが。

羽田新ルートと伊丹ルートとの比較図
※上図は、23区と大阪の縮尺が同じ

(2)年間飛行回数の比較

国交省のFAQ冊子P36の記述から、伊丹ルートの年間飛行回数は約6万回(北風時、南側着陸ルート)であることは分かっている。

では、羽田新ルートの着陸ルート(南風時)の年間飛行回数はいくらなのか。国交省のFAQ冊子では分からない。でも、次式により、羽田新ルートの年間飛行回数は約1.9万回(南風時、着陸ルート)であることが分かる。

【1.9万回/年の根拠メモ】

南風時のA・C着陸ルートの飛行頻度はそれぞれ、15時から17時のうちの3時間において、1時間当たり14回と30回。南風時は年間4割と想定されているので、次式により、年間1.9万回と推定できる。

  • (14回/h+30回/h)×3h×365日×0.4=19,272⇒1.9万回/年

まとめ

大阪や福岡でも市街地の上空を頻繁に低空で飛行している。だから東京上空を飛行しても大したことはないのか?

年間飛行回数は、羽田新ルート(約1.9万回)より伊丹ルート(約6万回)のほうが多い。でも、羽田新ルートは人口密度が高いエリアの上空を飛行することから、伊丹ルートとは比較にならないほど大勢の住民に影響を及ぼす(1km当たりで比較すると羽田は伊丹の2倍)。

よって、大したことなくはない、というのが結論。

※本分析には慎重を期しているが、データの精度について保証するものではない。これらの情報をあなたが利用することによって生ずるいかなる損害に対しても一切責任を負うものではない。念のため。

追記(伊丹は国内線専用…)

※19年8月11日追記

「東京の空をテロから守れ!」@warikkyさんから、国際線の有無も比較の要素になるとの指摘を頂戴したので追記。
すなわち、羽田新ルートは国際線増便対応なので、長時間飛行により付着した氷塊の落下や首都中枢などへのテロの可能性が高くなる。
一方、伊丹空港は国内線専用なので、そのようなリスクは低い。

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