民泊新法(住宅宿泊事業法)が6月15日に施行されて10か月が経過。
中国版Airbnb(中国系民泊仲介サイト)の表示件数はどのように変化したのか? 定点観測結果(4月20現在)を可視化してみよう。
ざっくり言うと
【サイト別の表示件数】途家、1万7千件を突破
中国版Airbnbの主なサイトは、「住百家(ジュバイジァ)」「自在客(ジザイキャク)」「途家(トゥージァ)」の3つ。
※経営危機で18年7月9日に上場廃止となっていた「住百家」サイトにアクセスできなくなった(3月20日以降)。
東京・大阪・京都における各サイトの表示件数の推移を次図に示す。
3つのサイトとも、住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行日(6月15日)に向けて激減。その後、途家だけが驚異的に回復し過去最高の17,880件(4月20日現在)を記録。遂に1万7千件を突破した。
※【メモ】住百家は19年3月20日以降の件数はゼロ(以下、同じ)
【地域別の表示件数】大阪と東京で激増中…
東京・大阪・京都における3つのサイトの合計表示件数の推移を次図に示す。
上述のように、住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行日(6月15日)に向けて激減したが、徐々に回復。大阪と東京で激増中。
※【メモ】同じ物件が複数のサイトに重複して登録されている可能性があるので、3つのサイトの表示件数の合計が東京・大阪・京都に存在する物件数の合計を意味しているワケでない。念のため。
【サイト・地域別の表示件数】途家の増加が際立つ
サイト・地域別に見ると、大阪・東京の途家の増加が際立っている(次図)。
東京2千件、大阪3千件が違法民泊!?
上述のとおり途家サイトでは、表示件数が激増しているのであるが、すべて合法民泊なのか?
そんなワケはない。ざっと見ただけでも、届出番号がいい加減な物件や、届出番号そのものが表示されていない物件が散見される。
途家サイトには違法民泊がどの程度含まれているのか、推定してみよう。
都内の途家物件の約2千件(3割)は違法民泊!?
都内の「途家の表示件数」と合法民泊の推移を可視化したのが次図。
途家6,780件に対して、合法民泊4,691件。その差2,089件。合法民泊には大田区の特区民泊(100件)は含むが、簡易宿所は含んでいない。
都内の簡易宿所は1年間で138件(=18年3月末1,196件-17年3月末1,058件)しか増加していないことを勘案すると、途家サイトに表示されている6,780件のうち2千件近く(約3割)が違法民泊という勘定になる。
- 29%=1,951件÷途家6,780件×100
- 1,951件=途家6,780件-合法民泊4,691件-簡易宿所138件
【メモ】データ出所
- 合法民泊のうち、住宅宿泊事業法に基づく届出件数は、民泊制度ポータルサイト「minpaku」掲載データ
- 大田区の特区民泊の届出件数は、大田区HP掲載データ
- 都内の簡易宿所データは、東京都福祉保健局「福祉・衛生行政統計年報」データ
大阪府内の途家物件の約3千件(45%)は違法民泊!?
次に、大阪府内の「途家の表示件数」と合法民泊の推移を可視化したのが次図。
途家7,020件に対して、合法民泊3,877件。その差3,143件。合法民泊には大阪市の特区民泊(1,997件)は含むが、簡易宿所は含んでいない。
大阪市内の簡易宿所が634件(19年2月28日現在)であることを勘案すると、途家サイトに表示されている7,020件のうち少なくとも3千件あまり(45%)が違法民泊という勘定になる。
- 45%=3,143件÷途家7,020件×100
- 3,143件=途家7,020件-合法民泊3,877件-簡易宿所634件
【メモ】データ出所
- 合法民泊のうち、住宅宿泊事業法に基づく届出件数は、民泊制度ポータルサイト「minpaku」掲載データ
- 大阪市の特区民泊の届出件数は、大阪市HP掲載データ
- 大阪市内の簡易宿所データは、大阪市オープンデータポータルサイト「民泊等宿泊施設一覧」
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