渋谷区と品川区の区議会がルートの見直しなどを求める意見書や決議を可決したことをNHKが伝えている。
小手先の選挙対策に惑わされないよう、「みんなの品川をつくる会」が品川区議会選挙の候補予定者を対象に実施したアンケート調査結果を整理してみた。
NHKはキチンと伝えているか
渋谷区と品川区の区議会がルートの見直しなどを求める意見書や決議を可決したことを伝えるNHKニュース。
羽田新ルート区議会見直し求める
羽田空港の国際便を増やすために、国が計画している東京の都心上空を通過する新たな飛行ルートについて、上空がルートとなる渋谷区と品川区の議会が、ルートの見直しなどを求める意見書や決議を可決しました。
国は、東京オリンピック・パラリンピックに向けて羽田空港の国際便を増やすため、都心上空を通過する新たな飛行ルートを来年までに設ける計画です。
このルートを通る旅客機が、およそ300メートル上空を飛ぶことになる品川区の議会が、落下物や騒音への不安、国の説明不足などからルートは容認できないとして、区の上空を通らないルートを検討するよう求める決議を26日の本会議で全会一致で可決しました。(以下略)(NHK 首都圏のニュース 3月26日)
NHKニュースをよく読むと、品川区議会が全会一致で可決したのは、区の上空を通らないルートを検討するよう求める決議。
これまで羽田新ルートを推進してきた自公に何があったのか?(品川区議会議員:推進派・反対派・中途半派)
品川区議会HPをみると、じつは当日採決が取られた議案には、次のよく似た議案が2つあったことが確認できる。
- (第1号)品川上空を飛行する羽田新飛行ルート計画に反対する決議
(略)品川区上空を低高度で飛行する新飛行ルート案を容認することはできない。したがって品川区議会は、新飛行ルート案に反対し、国交省に対して、品川区上空を飛行しないルートの再考を強く求める。 - (第2号)品川上空を飛行する羽田新飛行ルート計画に関する決議
(略)品川区上空を低高度で飛行する新飛行ルート案を容認することはできない。品川区議会は、国土交通省に対して品川区上空を飛行しないルートへの再考を強く求める。
NHKが報じたのは後者(関する決議)の採決結果(全会一致で可決)だけで、前者(羽田新飛行ルート計画に反対)の採決結果(反対多数で否決)のほうは伝えていないのである。
小手先の選挙対策…
あらためて品川区議会HPで公開されている「議決議案と各議員の賛否の状況」で確認すると、議長の松澤利行議員を除く、各議員の賛否が掲載されている。
会派別の賛否を整理したのが次図。
NHKが報じていない第1号議案(羽田新飛行ルート計画に反対)に対しては、従来通り、自公と国民民主は反対していたのである。
「反対」という文言を「関する」という文言に入れ替えて、全会一致で可決されたのが第2号議案だったとういうわけだ。
いくら4月21日の統一選選挙が迫っているとはいえ、このような小手先の選挙対策に、民度の高い品川区民はどう思うのだろうか……。
予定候補者を対象としたアンケート結果
品川区議会選挙の候補者らは羽田新ルートに対して、どのようなスタンスをとっているのか?
「みんなの品川をつくる会」が品川区議会選挙の予定候補者を対象にアンケート調査を実施している。同会関係者の了解が得られたので、アンケート結果を整理してみよう。
質問は次の4つ。
- 国が、実施しようとする羽田空港増便のための新飛行ルートに賛成ですか。
・反対である: 反
・賛成である: 賛- 国は騒音問題の根本的解決のため航空機は「海から入って海にでる」とし、このルールを守ってきました。いま国は当時と状況が変わっているから新飛行ルートを実施して良いとしています、この考えは
・不当である: 不
・正当である: 正- 品川区は「羽田空港機能強化は一定理解」するとし、国に撤回を求めていません。区は国に白紙撤回の意志を示すべきと考えますか
・撤回の立場に立つべき:撤
・国策でありやむを得ない: 要- 区は、新飛行ルートに対する住民の意思を確認するため、住民投票またはアンケートなどを実施すべきと考えますか
・実施すべきである: 要
・実施する必要はない:不
3月22日までに寄せられた回答は下表のとおりだ。
※表中で「文」と記されているのは、選択肢がないとして、文章で回答が寄せられたものであることを示している。