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羽田新ルート|参院「国土交通委員会」山添議員(共産)質疑応答

第198回 国会参議院「国土交通委員会」において3月20日、「羽田空港の新飛行ルートについて」山添拓議員(共産党)の質疑応答があった。

ネット中継(録画)をもとに、全文テキスト化(約6千文字)しておいた。

※以下長文なので、時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

※「局長」とあるのは、蝦名航空局長のこと


「地元の理解」について

山添 拓 参議院議員
山添 拓 参議院議員(共産党、1期、東大⇒早大大学院法務研究科、34歳)

山添:地元の理解が得られわけでもないのに、あまりにも拙速では?

羽田空港の新飛行ルートについて伺います。
安倍政権は首都圏空港の機能強化策として、羽田空港の国際線発着容量を増やすために、都心上空ルートを計画し、石井大臣は今国会の所信でも、「地元理解を得ながら進める」と述べました。

ところが、大臣は2月12日の記者会見で、「新飛行ルートを実施した後の増枠分について、アメリカとの意見交換を行っており、増枠分の半数にあたる1日24往復が日米路線に割り振られ、その半数の12往復がアメリカの航空会社に配分されるという、共通認識を持つに至った」とこう述べております。

大臣、これは事実でしょうか。地元の理解が得られわけでもないのに、あまりにも拙速ではありませんか。

大臣:発着枠の配分に係る正式な手続きは、今後地元のご理解が得られたのち

石井啓一 国交大臣
石井啓一 国交大臣(公明党、9期、東大工学部、60歳)

羽田空港の増枠に関しましては、できるだけ多くの方々から理解を得られるよう、引き続き丁寧な情報提供を行っております。

一方で、2020年東京オリンピック・パラリンピックまでの増便を目指すうえで、必要なスケジュールを勘案をしまして、その準備行為の一環として、米国との意見交換を行い、発着枠数が増枠した場合に、米国向け路線に割り当てる発着枠につきましては、日米双方に12枠とすることで共通認識を持つに至ったものであります。

いずれにいたしましても、米国との意見交換はあくまでも準備行為の一環でありまして、発着枠の配分に係る正式な手続きは、今後地元のご理解が得られたのち進め、決定してまいりたいと考えております。

山添:「地元の理解は進んでいない」こういう認識をお持ちですか?

報道では「横田空域を通過することの見返りではないか」と、こういう観測も出されています。訪日客4千万人達成のための都心上空ルートだといいながら、訪日客の現状では8割以上を占めているアジアからの路線ではなく、北米路線に半分を割り振るというのもこれは不可解な話であり、何より地元の理解はこれからだというに、先走りだということを指摘したいと思います。

港区の市民団体「みなとの空を守る会」が区内の飛行ルート下の住民にアンケートを行い、昨年11月に調査結果を発表しています。

1,344通の返信によれば、新飛行ルート計画について、「内容を含め知っている」は37%、「聞いたことはあるが内容はよく知らない」と「全く知らない」を合わせると62%。「計画について中止してほしい」が85%、「不安」も34%。「賛成」と答えたのはわずか1.3%でありました。

国交省にもこの結果が届けられていると伺います。先ほど与党議員の質問に対しても、丁寧な情報提供という答弁ありましたけれども。
大臣、これ「地元の理解は進んでいない」こういう認識をお持ちですか

大臣:ご理解を得られるよう努めてまいりたい

羽田空港の機能強化につきましては、できるだけ多くの方々にご理解をいただくため、これまで5巡にわたりオープンハウス型の住民説明会を開催するなど、丁寧な情報提供を行ってきたところであります。

住民説明会等を通じまして、羽田空港の利便性の向上に対する期待の声をいただく一方、航空機からの騒音や落下物等への心配の声もございます。これを受けまして飛行高度の引き上げや、低騒音機の導入促進等の騒音対策、落下物対策等に取り組んでいるところであります。

国土交通省といたしましては、飛行経路の見直し等による羽田空港の機能強化は必要不可欠と考えております。引き続き、騒音対策や落下物対策等に取り組むとともに、今後とも丁寧な情報提供を行い、より多くの方からからご理解を得られるよう努めてまいりたいと考えております。

住民説明会でのマスコミ取材制限について

山添:マスコミの取材は冒頭と事後ブリーフィングのみ

昨年秋の段階でも「計画そのもの知らない」。そして、知ったからには、「反対、中止を求める」という声が圧倒的です。
ですから、これまでの国交省のやり方では、地元の理解など得られないということであります。

国交省は当初、パネルによる展示中心のオープンハウス型説明会に固執をし、いわゆる教室型の説明会――国交省の説明や参加者等の質疑応答をその場の全員が共有できるかたちでの説明会――を拒んできました。
住民のみなさんや自治体の繰り返しの要求に押されるかたちで、2月末までの第5フェイズではようやく、品川、江戸川、渋谷、新宿、港の合計26か所で教室型の地域説明会を行うに至りました。資料の2ページにその一覧をお示ししています。

ところが、この地域説明会では、マスコミの取材は冒頭と事後ブリーフィングのみで、住民による録画や録音も禁止をしたと伺います。
なぜでしょうか。

局長:住民の方々が自由に安心して発言できる環境を確保

蝦名邦晴 航空局長
蝦名邦晴 航空局長(東大法卒、58歳)

お答え申し上げます。羽田空港の機能強化につきましては、出来る限り多くの方々にご理解をいただくために、これまで新経路下となる地域を中心に、延べ97回以上、163日間にわたりオープンハウス型の住民説明会を5巡開催をいたしまして、約27,900人を超える方々にご参加をいただくなど、丁寧な情報提供行ってきたところでありまして、マスコミの取材にも対応してまいりました。

お尋ねのありました地域での説明会につきましては、オープンハウス型の説明会を補完するものして、会場周辺の地域住民の皆様などを対象といたしまして、開催しているものでございまして、住民の方々が自由に安心して発言できる環境を確保する観点から、マスコミによる会場内での取材や参加住民の方々による録音などはお断りをしています。

なお、地域での説明会終了後にはおきましては、必要に応じてマスコミの取材にも対応をいたしております。国土交通省といたしましては、引き続き地元の方々に対して、様々な手法を組み合わせた、丁寧な情報提供を行い、幅広いご理解を得たうえで、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会までに、新経路案を運用できるよう準備を進めてまいります。

山添:住民側、自治体側がそれ(取材、録音・録画)を許可すれば?

ちょっと、聞かれたことに答えていただければ結構です

それで、住民の側からはむしろ「マスコミを通じて多くの人に知ってほしい」という声が出てるんですよ。

いま、航空局長は「住民に配慮をしてマスコミの取材を制限した」とおっしゃいましたけど、地域説明会、さらに今後も開催するように求められた場合には、取材にも応じるし、住民による録音・録画も応じる。住民の側が、あるいは自治体の側がそれを許可すれば、それでもいいということですね

局長:マスコミによる会場内での取材や参加住民の方々による録音はお断り

お答え申し上げます。地域の説明会につきましては、先ほど申し上げた通り、住民の方々が自由に安心して発言できる環境を確保する関係から、マスコミによる会場内での取材や参加住民の方々による録音はお断りすることとしておりますが、専門家からなります「羽田空港機能強化に関するコミュニケーションのあり方アドバイザリー会議」のご意見なども踏まえまして、より多くの方々が参加をでき、一人ひとりのご関心に丁寧に対応でき、マスコミの方々にもご参加いただけるオープンハウス型の説明会を開催してきたところでございます。

今後とも関係地域の自治体ともご相談のうえ、様々な手法を組み合わせた丁寧な情報提供を進めてまいります。

山添:それ、おかしくないですか

今後も一切マスコミは入れない。録音・録画は許さない、こういうことなんですか。
それ、おかしくないですか。検討してくださいよ

局長:住民の方々の自由な安心して発言できる環境を確保

ただいま申し上げました通り、(住民説明会は)オープンハウス型の説明会を補完する形でやっておりまして、住民の方々の自由な安心して発言できる環境を確保する観点から、そのような形で対応させていただいておりますが、様々な手法を組み合わせた丁寧な情報提供を、今後とも自治体とも相談のうえ進めてまいります。

山添:住民の皆さんが「いい」と言った場合には認めていただきますね?

住民の皆さんは安心して発言されてます。住民の皆さんが「いい(マスコミ取材や住民による録音・録画はかまわない)」と言った場合には認めていただきますね

局長:関係自治体ともご相談のうえ

関係自治体ともご相談のうえ、様々な手法を組み合わせた丁寧な情報提供に努めてまいりたいと考えております。

山添:取材、録音・録画も許可をするように検討していただきたい

たとえば品川区などは、「取材の拒否は国の判断だ」と議会で答弁もされていますので、国のほうで判断をしたうえで、当然こういった取材、あるいは録音・録画も許可をするように検討していただきたいと思います。

※山添議員の根負け

騒音の計算値と実測値との乖離について

山添:住民に示している最大騒音値を上回る騒音が生じることもあり得る?

とりわけ不安の声が大きいのが騒音ですが、国交省は、高度ごとに飛行経路下の最大騒音値の推計値を示して住民に説明しています。資料の3ページにありますが、たとえば着陸時の高度3,000フィート、約915メートルの場合には、最大の騒音レベルは70デシベルとされています。

新飛行ルートでは、新宿付近の上空の高さに当たります。ところが、国交省の実測値ではより大きい値が検出されております。資料の4ページをご覧ください。これは我が党の都議会議員の求めに応じて国交省が提出した資料です。

羽田空港のB滑走路に着陸する現行の飛行ルートの周辺、江戸川区・二之江中学校で昨年9月に検出された騒音の最大値は78.1デシベルでした。これは70デシベルの音の大きさでは6.4倍のものに当たります。ちなみに80デシベルですとパチンコ店内ぐらいとされております。

国交省に伺いますが、住民に示している最大騒音値を上回る騒音が生じることもあり得るということですか

局長:実際の測定値については標準値からズレる場合がある

お答え申し上げます。お示ししている最大の騒音値は過去の航空機騒音調査によって承知したバラツキのあるデータから、標準的な値を推計しているものでございます。

推計においては、航空機1機が観測地点の真上を通過する際に、騒音値がピークを迎える前提に立って計算をしております。

他方で、実際の騒音値につきましては、離陸重量等の運行条件や風向き等の気象条件によって、標準的な値からの変動が起こり得るものでございますし、また、音の伝わり方は周辺の建築物、地形等の影響受けるものでございまして、実際の測定値については標準値からズレる場合があると認識しております。

山添:測定ポイントは16か所、実測での最大値を示して

ズレる場合もあり得ると。

1気圧・25度・湿度70%・無風の状態を前提とした推計値ですので、気象条件などが変われば、当然それより上振れする可能性はある。

国交省の現在の測定ポイントは16か所あります。それぞれの実測での最大値を示して、住民への説明と実測値との乖離、これ実際はどうなのかということを明らかにしていただくべきだと思いますが、いかがですか。

局長:Lden、今後こうしたものを中心にご説明をしていく

実際の測定におきましては、先ほど申し上げましたように、気象条件や機体の状態などによって一定の変動が生じるものでございますけれども、また、周囲の建造物等の影響もありますことから、特定の条件下で稀に発生する最大値ではなくて、標準的な値をお示しをしております

いずれにいたしましても、航空機の騒音に係る環境基準などにつきましては、環境省の告示において、国際的な動向にも合致をいたしますLdenという単位が採用されておりまして、これは、ある場所における航空機騒音の総エネルギーの平均値を評価して行っているものでございまして、今後こうしたものを中心にご説明をしていくことになると思っております。

山添:聞かれたことに答えていただきたい

すいません、聞かれたことに答えていただきたいんですけど。

1か所しか出してないんですよ。あと16か所あると思いますんで――、あと15か所ですか、それも出していただきたいんですが、検討いただけますか。

局長:持ち帰って調べてみないと分かりません

実際にどのような測定値になっているかということについては、ちょっと持ち帰って調べてみないと分かりませんので。

山添:お調べいただきたい

お調べいただきたいと思います。

国と大田区との協議について

山添:(ルート変更協議)文書に基づいた協議は大田区と行いましたか?

2010年に羽田空港の4本目となるD滑走路の供用開始に当たって、国交省が空港の運用変更を提案したのに対して、各自治体から要望が出されました。

たとえば、大田区では、「空港と地域がより良い共生の関係を築くために、下記の事項の誠実なの履行をもって提案を了承することとした」と、こういう書きぶりで離着陸ルートや滑走路運用についての条件を提案して、「これらを変更しようとする場合は、大田区と協議すること」と、こういう要望を書面にして、国交省に提出しておりました。資料の5ページをご覧ください。

これに対する国交省の2010年5月14日付回答文書には、「昼間時間帯、南風、悪天候時着陸における神奈川・都心北上ルートについては設定しない」などとしたうえで――資料の6ページになりますが――「これらの事項を変更しようとする場合は、大田区と協議する」としています。

大臣、伺いますが、当時のこの文書に基づいた協議は大田区と行いましたか

大臣:今後とも大田区等に対して、必要な協議を行ってまいります

羽田空港の飛行経路の見直しなどにあたりましては、新経路下の住民の方々への情報提供と並行いたしまして、地方公共団体からご理解を得られるよう丁寧なご説明を行うとともに、地方公共団体等により構成されます「首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会」等を開催をしております。

このような場を通じまして、地方公共団体からご意見をいただいているところでありますが、大田区等の1部の地方公共団体に対しましては、飛行経路や滑走路運用の変更等に関して協議を行う旨を文書でお示しをしていることから、今後とも大田区等に対して丁寧な情報提供を行うとともに、必要な協議を行ってまいります

国土交通省といたしましては、関係地域の地方公共団体と連携をしながら、羽田空港の機能強化の実現に取り組んでまいりたいと考えております。

山添:大田区は「まだ協議をやっていない」という認識

ちょっと答えていただいてないんですけども。

大田区は議会で、「今後この文書に基づいて適切な時期に協議する」と答弁してるんですね。「まだ協議をやっていない」という認識を示されているんですよ。
国交省、いかがですか。

局長:今後とも大田区等に対しては、必要な協議を行ってまいりたい

お答え申し上げます。大田区等の1部の公共団体に対して、飛行経路や滑走路運用変更等に関して協議を行う旨の文書をお示ししておりますことから、今後とも大田区等に対しては丁寧な情報提供行うとともに、必要な協議を行ってまいりたいと考えております。

山添:必要な協議を行っていない、重大な手続き的な瑕疵だ

必要な協議を行っていないというのは、私、重大な手続き的な瑕疵だと思いますし、協議が整わない限り、新飛行ルートで解禁するなど許されない、ということを強調しまして質問を終わりたいと思います。有り難うございました。

雑感(教室型にこだわる作戦だけでなく…)

これまで何度も国交省から聞かされた「丁寧な情報提供」という文言。今回の国土交通委員会でも、大臣と局長あわせて10回も使われている。実態を知らない人が聞けば、「国はさぞかし丁寧な情報提供をしているに違いない」と思うかもしれない。

山添拓議員(共産党)は教室型説明会に関して、(1)マスコミ取材制限問題と(2)騒音実測値が説明されていないこと、に的を絞っているのが残念だ。なぜならば、国交省は今後、教室型説明会を実施するつもりがあるのか。あったとしても影響を避けるために参院選(7月)以後になることが予想されるからだ。

参院選(7月)以後に羽田新ルート問題が世間に広まり始めたのでは、もはや手遅れではないのか。参院選の次の国政選挙である衆院選挙は何事もなければ2021年10月だし、都議会議員選挙は2021年7月(都知事選挙は2020年7月)である。

だから、19年4月の統一地方選挙か、同年7月の参院選で与党が惨敗しない限り、羽田新ルートは予定どおり2020年東京五輪までに運用が開始される可能性が高い。
共産党は、羽田新ルートの「撤回」を掲げるのであれば、教室型にこだわる作戦だけでなく、さらなる有効打が求められている。 

せっかくの国会での議論も、マスメディアが取り上げなければ、都民の知るところとはならない。弱小なこのブログメディアによる情報が少しでもお役に立てば幸甚。

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