「近畿地区不動産公正取引協議会」はこれまで12業者に対して、サイト掲載停止処分を出したという(朝日記事)。
首都圏と近畿圏とでは、マンション広告の違反状況はどのくらい違うのか可視化してみた。
- 近畿地区、賃貸「おとり広告」の対策本腰(朝日記事)
- 首都圏の「厳重警告・違約金」件数は近畿圏の5倍
- 17年度「違約金課徴収益」首都圏2千万円、近畿圏4百万円
- 経常収益に占める「違約金課徴収益」の割合 首都圏は近畿圏の1.7倍
近畿地区、賃貸「おとり広告」の対策本腰(朝日記事)
「近畿地区不動産公正取引協議会」はこれまで12業者に対して、サイト掲載停止処分を出したという。
駅近!格安!契約済み… 賃貸「おとり広告」の対策本腰
駅近!格安!日当たり良好!
賃貸マンション広告にひかれてクリックしたのに、とっくに契約済み。そんな「おとり広告」の排除に、不動産業界が本腰を入れている。自主規制団体の「近畿地区不動産公正取引協議会」はこれまで12業者に対して、サイト掲載停止処分を出した。
(中略)
サイトから締め出す同様の対策は、首都圏不動産公正取引協議会が2017年1月に始めたほか、九州でも今年8月から始まっている。(朝日新聞デジタル 11月22日)
首都圏と近畿圏とでは、マンション広告の違反状況はどのくらい違うのか可視化してみよう。
首都圏の「厳重警告・違約金」件数は近畿圏の5倍
「首都圏不動産公正取引協議会」と「近畿圏不動産公正取引協議会」がそれぞれ公開している「情報公開」(首都圏、近畿圏)のページから、「厳重警告・違約金」データを拾って比較したのが次図。
首都圏が50件前後で推移しているのに対して、近畿圏は10件前後で推移している。 首都圏の新築マンションの年間供給戸数が近畿圏の2倍ほどであることを勘案すると、近畿圏の「厳重警告・違約金」件数は相対的に少ないと言えるのではないか。
17年度「違約金課徴収益」首都圏2千万円、近畿圏4百万円
さらに、首都圏と近畿圏の「違約金課徴収益」の推移を可視化してみた(次図)。
首都圏のほうが近畿圏よりも「厳重警告・違約金」件数が多いぶん、「違約金課徴収益」も多い。17年度の首都圏の「違約金課徴収益」約2千万円に対して、近畿圏は約4百万円。
「1件当たりの違約金課徴収益」でみるとここ数年、首都圏と近畿圏とではあまり変わらない。
経常収益に占める「違約金課徴収益」の割合 首都圏は近畿圏の1.7倍
17年度の経常収益の内訳を可視化したのが次図。
首都圏不動産公正取引協議会の17年度の経常収益約1.7億円に対して、近畿圏不動産公正取引協議会は約0.6億円(首都圏の36%)。
両協議会とも、経常収益の大半を占めているのが会費。
首都圏不動産公正取引協議会の「違約金課徴収益」は経常収益の12%を占めているのに対して、近畿圏不動産公正取引協議会のほうは7%。
首都圏不動産公正取引協議会の「違約金課徴収益」は経常収益の12%を占めているので(近畿圏不動産公正取引協議会の1.7倍!)、おとり広告絶滅のインセンティブが働かないということはないのか……。
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(本日、マンション広告1枚)