土地総合研究所は11月22日、「不動産業業況等調査結果(平成30年10月実施)」を発表。
「住宅・宅地分譲業」に関して、販売価格が高水準ではあるが、モデルルーム来場者数・成約件数がともに増加しそうな兆候……。
住宅・宅地分譲業(調査結果)
- 「モデルルーム来場者数」の指数は、前回から 11.7ポイント上昇し -6.5ポイントとなった。9期連続して減少傾向にあるとの見方が続いている。
- 「成約件数」の指数は、前回から 3.8ポイント上昇し 1.3ポイントとなった。上昇傾向にあるとの見方に転じた。
- 「在庫戸数」の指数は、前回から 7.1ポイント下落し 17.3ポイントとなった。平成21年4月調査以降39期連続して減少傾向にあるとの見方が続いている。
- 「販売価格の動向」の指数は、前回から 7.8ポイント下落し 26.5ポイントとなった。平成24年7月調査以降26期連続して上昇したとする回答が下落したとする回答を上回っている。
「住宅・宅地分譲業」の変化を可視化する
これだけではよく分からないので、長期的なトレンドを可視化すべく、過去の発表資料をひも解き、「販売価格の動向」「在庫戸数」「成約件数」「モデルルーム来場者数」それぞれの指数データをグラフにしてみた(次図)。
折れ線の動きが激しくて、分かりにくい。
販売価格が高水準のまま、モデルルーム来場者数が増加!?
そこで、近似曲線(5次の多項式近似)を重ねてみた(次図)。
上図から読み取れる長期的なトレンドは次の通りである。
- 「販売価格」指数、約10年周期の下降から上昇トレンドに!?
約10年周期の下降から上昇トレンドに変化しているように見える。 - 「成約件数」指数は上昇に転じた。「モデルルーム来場者数」指数は上昇の兆し
「成約件数」の指数は上昇(プラス)に転じた。「モデルルーム来場者数」は9期連続して減少(マイナス)だが、上昇の兆しが見える。 - 「在庫戸数」指数、減少したとする傾向が低下
39期連続して減少(プラス)だが、在庫が減少したとする傾向が低下している。
つまり上図からは、販売価格が高水準ではあるが、モデルルーム来場者数・成約件数がともに増加しそうな兆候が見える。
参考メモ(各指数の定義)
この調査は、毎四半期(1月、4月、7月、10月)、三大都市圏と地方主要都市で不動産業を営む業者に対して郵送またはEメールにてアンケート形式で実施されている。今回の調査は145社を対象(うち住宅・宅地分譲業は47社、回収数34社・回収率72.3%)。
各指数の定義は次のとおり。
- 販売価格の動向、成約件数、モデルルーム来場者:
{増加(上昇)したとする回答数-減少(下落)したとする回答数}÷全回答数×100- 在庫戸数:
{減少したとする回答数-増加したとする回答数}÷全回答数×100- 「横ばいである」「変わらない」の回答は、0として算定(-100~+100、0が判断の分かれ目)