Airbnbは2018年から施行される住宅宿泊事業法の厳罰化を受け、違法民泊防止に向けて本格的な対策に乗り出すという。
Airbnbの違法民泊防止は、どこまで本気なのか?
- Airbnbが違法民泊防止に向けて本格的な対策に乗り出す(毎日記事)
- Airbnbの違法民泊防止対策は、どこまで本気なのか?
- サンフランシスコの和解と同様の内容になるか?
- 中国系民泊仲介サイトにシフト?
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Airbnbが違法民泊防止に向けて本格的な対策に乗り出す(毎日記事)
毎日新聞の記事によれば、Airbnbは2018年から施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)の厳罰化を受け、違法民泊防止に向けて本格的な対策に乗り出すという。
民泊仲介サイト世界最大手、都道府県に登録情報提供へ
民泊の仲介サイト世界最大手、米エアビーアンドビー(Airbnb)が、違法民泊防止に向けて本格的な対策に乗り出すことが分かった。新規に民泊業者をサイトに登録する際、登録情報を都道府県に提供し、都道府県に届け出ない違法民泊を無くす方針。
既にサイトに掲載している業者にも届け出を促し、一定期間、届け出ない場合はサイト掲載の中止も検討し、違法民泊を締め出す考えだ。(中略)
新法では罰金が大幅に引き上げられるほか、違法民泊を旅行者に仲介した場合、仲介業者も観光庁から業務停止などの処分を受ける可能性がある。罰則の厳格化を受け、エア社は対応を強化する方針だ。(以下略)(毎日新聞 6月25日)
Airbnb Japanは本件について、特にプレスリリースを打っているわけではない。
毎日新聞以外のメディアは未だ報じていないので(6月25日17時現在)、毎日新聞のスクープなのか。
Airbnbの違法民泊防止対策は、どこまで本気なのか?
毎日の記事を今一度よく見てほしい。
登録情報を都道府県に提供するとしているのは、サイトに新規に登録する民泊業者が対象であって、既に登録されている民泊業者も対象にするとは言っていない。
既に登録されている民泊業者については、届け出を促すとしているものの、「届け出ない場合はサイト掲載を中止する」とまでは言い切っていない。「掲載の中止も検討」という、なんともグレーな表現となっているのだ。「検討」するだけで終わるなんてことはないのか。
そもそも、Airbnbの登録件数の伸びは、このところ鈍化しているのである(次図)。
最近は新規の登録業者が少ないから、「届け出ない違法民泊を無くす方針」を掲げてもデメリットは少ないと考えているようなことはないのか。
ここはAirbnb Japanの正式なプレスリリースを待つこととしたい。
サンフランシスコの和解と同様の内容になるか?
じつはAirbnbは、サンフランシスコでは、登録した家主の情報を行政に提供するシステムを構築している。
サンフランシスコ市は17年5月1日、未登録の住居の貸し出しを禁じた同市の条例を巡る訴訟でAirbnbと和解。
その結果、Airbnbは次の4点を市に飲まされているのだ。
- ホストは、物件をAirbnbに登録する前に、市への登録が求められる
- Airbnbは、ホストが市への登録ができる簡素な仕組みを導入する
- Airbnbは、毎月市に貸出物件一覧を提出する
- Airbnbは、登録が無効な物件があれば宿泊を申し込めなくする
※和解内容の詳細は「Airbnb、サンフランシスコ市と和解」参照。
日本でもAirbnbがサンフランシスコの和解と同様の対応をするとすれば、Airbnbは各自治体にホストの氏名・住所・郵便番号まで提供しなけらばならないことになる。
そうなると、民泊事業者の利益は税務署に筒抜けになるのではないか。
中国系民泊仲介サイトにシフト?
Airbnbだけでなく、homeaway、Booking.comといった欧米系の民泊仲介サイトを運営している一部の企業は、民泊新法に対してすでに順法の意志を表明している。
中国系民泊仲介サイト(住百家、自在客、途家)を運営している各企業は、具体的な意思表示をしていない(欧米系企業は民泊新法に順法表明、中国系企業は?)。
本家Airbnbに対する中国版Airbnbの割合は、昨年8月20日以降、約2割で推移していたのだが、4か月連続で増加し27%まで上昇(次図)。
中国版Airbnbは無視できない存在になりつつある。
「対Airbnb、大阪で中国版Airbnb登録件数が3割突破」より
今回のAirbnbの違法民泊を無くす方針を受けて、中国系民泊仲介サイトへのシフトが加速するのだろうか。