神戸市は9月11日、識者の知見を得る「タワーマンションのあり方に関する研究会」の初会合を開催。11月中にも有識者らの意見を取りまとめるという。
神戸市 タワマンあり方研究会開催(神戸新聞)
神戸市が9月11日識者の知見を得る「タワーマンションのあり方に関する研究会」の初会合を開催したことを神戸新聞が伝えている。
増加するタワーマンションと課題 神戸で研究会
増加している大規模高層マンションがはらむ管理・修繕費不足や人口集中などの課題について、神戸市が識者の知見を得る「タワーマンションのあり方に関する研究会」の初会合が11日、同市役所で開かれた。
建築や法律が専門の大学教員、弁護士ら委員7人が将来的に維持するための方策を議論した。(以下略)(神戸新聞NEXT 9月12日)
同研究会は10月中に、さらに1〜2回の会合を開催。神戸市は、11月中にも有識者らの意見を取りまとめ、来年度以降の施策に反映する考えだという。
検討メンバ 大学教授ら9名+LIFULL HOME’S総研島原氏
神戸市のHPをひも解くと9月6日付で、「タワーマンションのあり方に関する研究会の開催」のお知らせが掲載されていることが確認できる。
同研究会の開催趣旨は、<持続可能な>タワーマンションのあり方を検討するためだとされている。
開催趣旨
タワーマンションの抱えるリスクと対応策についての調査研究を行い、持続可能なタワーマンションのあり方に関して検討するため、「タワーマンションのあり方に関する研究会」を開催いたします。
委員(10名)の内訳は次のとおりだ(敬称略・五十音順)。
9名の大学教授らに交じって、民間企業からただ一人LIFULL HOME’S総研所長の島原 万丈氏が参加。
- 弁護士、明治学院大学法科大学院客員教授 戎 正晴
- 大阪市立大学大学院工学研究科教授 嘉名 光市
- 横浜市立大学国際総合科学部教授 齊藤 広子
- 近畿大学建築学部建築学科講師 佐野 こずえ
- LIFULL HOME’S総研所長 島原 万丈
- 神戸大学大学院法学研究科教授 砂原 庸介
- 岡山大学大学院社会文化科学研究科・経済学部教授(特任) 中村 良平
- 東洋大学理工学部建築学科教授 野澤 千絵
- 神戸大学大学院法学研究科教授 渕 圭吾
- 京都大学防災研究所教授 牧 紀男
神戸市のHPには、当日の配布資料や議事録は公開されていない(9月13日現在)。
神戸市内の超高層マンションを可視化
神戸市には6月時点で、高さ60メートル以上のマンションが中央区の24棟を筆頭に合計69棟立つという(神戸新聞NEXT 9月12日)。
神戸市内の超高層マンション(高さ60以上)の竣工実績・予定を調べてみた。
LIFULL HOME'Sに神戸市内で登録されている超高層マンションは28棟。内訳は、新築1棟、新古1棟、中古26棟(9月13日現在)。
28棟のうち中央区が14棟と最も多い。続いて西区5棟、灘区4棟。
可視化すると、興味深い事象が見える(次図)。
09年10月以降竣工した超高層マンションは、西区1棟(10年1月)を除くと全て中央区なのだ。
LIFULL HOME'Sに神戸市内で登録されている超高層マンションは28棟(9月13日現在)の内訳は次のとおり。
- 【新築】ザ・パークハウス 神戸タワー(中央区)33階建て、352戸、2019年11月竣工
- 【新古】ワコーレ神戸三宮トラッドタワー(中央区)20階建て、194戸、2018年1月竣工
以下、中古。
- パークホームズ神戸ザ・レジデンス(中央区)20階建て、357戸、2017年1月竣工
- ジアーバネックスタワー神戸元町通(中央区)27階建て、200戸、2016年1月竣工
- ワコーレシティ神戸三宮(中央区)20階建て、473戸、2015年12月竣工
- ザ・パークハウス神戸ハーバーランドタワー(中央区)36階建て、345戸、2015年9月竣工
- クレヴィアタワー神戸ハーバーランド(中央区)23階建て、214戸、2015年2月竣工
- 神戸ハーバータワー(中央区)35階建て、300戸、2013年1月竣工
- フィレール西神南(西区)20階建て、437戸、2010年1月竣工
- アーバンライフ神戸三宮ザ・タワー(中央区)34階建て、271戸、2009年11月竣工
- エルグレース神戸三宮タワーステージ(中央区)29階建て、174戸、2009年10月竣工
- リブコートオリジン(垂水区)21階建て、305戸、2009年1月竣工
- シティタワーグラン須磨鷹取(須磨区)30階建て、231戸、2008年1月竣工
- ラ・トゥール六甲(灘区)21階建て、100戸、2000年10月竣工
- ウェルブ六甲道2番街(灘区)30階建て、170戸、2000年3月竣工
- ビュータワー住吉館(東灘区)27階建て、181戸、1999年10月竣工
- ポートピアプラザB棟(中央区)25階建て、171戸、1998年2月竣工
- キャナルタウン中央(兵庫区)34階建て、204戸、1997年10月竣工
- グレーシィ須磨アルテピア3番街(須磨区)20階建て、314戸、1997年2月竣工
- ラ・フォルテ西神中央 2番館(西区)34階建て、582戸、1994年7月竣工
- オーク・スクエア西神中央(西区)25階建て、566戸、1994年2月竣工
- RICウエストコート参番街1番館(灘区)38階建て、362戸、1993年6月竣工
- ネクステージ西神中央C棟(西区)22階建て、164戸、1993年3月竣工
- RICイーストコート3番街(灘区)41階建て、465戸、1991年9月竣工
- 西神中央シティヒルズ(西区)20階建て、216戸、1991年3月竣工
- ポートピアプラザA棟(中央区)25階建て、172戸、1989年7月竣工
- ポートピアプラザD棟(中央区)25階建て、170戸、1984年7月竣工
- 神戸パークシティA棟(中央区)24階建て、168戸、1984年2月竣工
【追記】公開資料
(18/9/14追記)
神戸市総合コールセンターから9月14日19時、当日の配布資料と議事録は公開予定である旨のメール連絡を頂戴した。
当日の配布資料と議事録の公開予定です。
配布資料は、来週中に公開いたします。
議事録については、後日となりますが公開予定です。しばらくお待ちください。
(18/9/20追記)
会議当日の配布資料が公開された。
資料3として「持続可能なタワ-マンションのあり方に関する検討課題(案)」が列挙されていた。
「修繕積立金不足」や「将来の保有コスト負担」の定量評価結果が待たれる。
1 持続可能性
- (1)修繕積立金不足
- (2)将来の保有コスト負担
2 コミュニティ
- (1)区分所有者の属性の多様化による合意形成の困難
- (2)高層階住民の外出行動の減少
- (3)周辺コミュニティとの関係の希薄化
3 まちづくり
- (1)インフラの不足(小中学校の過密化など)
- (2)都心部への人口集中(市域全体のバランス)
4 その他
- 「利用実態が不明」「空き住戸への対応」「経済的な影響」等
(18/12/14追記)
「神戸市におけるタワーマンションのあり方に関する課題と対応策(報告書)」が公開された。
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