不動産経済研究所は1月23日、「首都圏 新築分譲マンション市場動向2024年(年間のまとめ)」を発表。
- 発売は前年比14.4%減の2万3,003戸。1973年以降で最少に。
- 平均価格7,820万円、m2単価117.7万円。ともに前年比では下落。
- 初月契約率66.9%、4年ぶりの70%割れ。全エリアが60%台。
- 2025年は2万6,000戸の見込み。東京23区の供給が復調。
発表資料は数字の羅列で分かりにくい。そこで同研究所が過去に発表した資料も交え、過去23年間の「首都圏新築分譲マンション市場動向」を可視化してみた。
ざっくり言うと
23区の分譲価格、2年連続1億円超え
分譲価格の推移を次図に示す。
- 23区の分譲価格は、07年のピーク(6,120万円)から漸減したあと、12年をボトム(5,283万円)にアベノミクス効果で上昇し、21年に8千万円を突破。異次元の上昇により、23・24年は2年連続1億円を超えた。
- 首都圏の分譲価格も、ほぼ同様の傾向。23年に8千万円を突破したが、24年は8千万円を割り込む。
m2単価の推移を次図に示す。
- 23区のm2単価は、13年以降アベノミクス効果で上昇。24年は171.0万円。
- 首都圏のm2単価も、ほぼ同様の傾向で、24年は117.7万円。
12年間でより狭く、より高く、そして異次元の高騰
上図に示した「価格」と「m2単価」から、「専有面積(=価格÷m2単価)」を逆算し、グラフ化してみると興味深い事象が見えてくる。
23区のデータをもとに、横軸に「専有面積」、縦軸に「価格」で描いたのが次のグラフ。
- 07年~09年は、面積が小さくなり価格が低下。
- 09年~14年は逆に、面積が大きくなり価格が上昇。
- 14年~20年は、面積は小さくなるが価格は上昇するという、マンション購入者にとっては最悪の状況。
- 23・24年は、価格が異次元の上昇を見せた。
ザックリいえば、23区の新築分譲マンションは10年間(12~22年)で狭くなったのに、価格は3千万円近く上昇。そして23・24年年にはさらに3千万円以上と異次元の上昇を見せたのである。
首都圏においても、23区と概ね同じような傾向である(次図)。
5千万円以下の発売戸数が激減、億ション増加
12年以降の3年ごとの価格帯別発売戸数の変化を可視化したのが次図。
ザックリいえば、5千万円以下の発売戸数が激減する一方で、億ションが増加しているのである。
庶民が新築マンションを買うのが年々厳しくなってきている状況であることが一目瞭然であろう。
新築分譲マンション市場、富裕層向け市場に
平均分譲価格の異次元の高騰もさることながら、市場規模(=供給戸数×平均価格)の変化にも注目してほしい(次図)。
首都圏新築分譲マンションの市場規模は、2000年代前半まで3.5兆円前後で推移していたが、耐震偽造事件(05年11月)の翌年度から縮小し始めて、リーマンショック(08年11月)の翌年度が1.65兆円のボトム。
消費税増税8%(14年4月)の前年度まで拡大したあと、2兆円前後で推移している。
価格が高騰しているのに市場規模が拡大しない状況は、富裕層でないと新築マンションが買えなくなっている事態を示唆している。
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