首都圏の新築マンション価格は高騰し、もはや庶民には手が出ないほどの水準に高止まりしている。高騰してしまった新築マンションを諦め、中古マンションに活路を見出そうとする人もいるのだが……。
首都圏のマンション市場で一体何が起こっているのか可視化してみた。
※各グラフは、新築は不動産経済研究所の、中古は東日本不動産流通機構の公開データをもとに作成した。
※投稿21年12月20日(更新23年9月3日)
新築|戸数減少、価格高騰、面積縮小
過去25年間の首都圏新築マンションの発売戸数・価格の推移を次図に示す。
- 新築マンション発売戸数
ワイドレンジで見ると05年(耐震偽装事件発覚の年)以降、大幅に減少。14年4月の消費税増税前の需要先食いで13年に一時的に増加するが、減少傾向に歯止めはかかっていない。 - 新築マンション発売価格
第2次安倍内閣発足後(12年12月26日)、アベノミクスの影響で投資や爆買い、相続税対策、非実需要増などもあり13年以降上昇。米中関税引き上合戦の影響で一時下落したあと再び上昇している。
過去25年間の首都圏新築マンションの発売価格・専有面積の推移を次図に示す。
- 新築マンション専有面積
15年以降、発売価格の高騰と呼応するように、専有面積は縮小している。 - 新築マンション発売価格
(上述の通り)
中古|戸数増加、価格高騰、面積変わらず
過去25年間の首都圏中古マンション成約戸数・価格の推移を次図に示す。
- 中古マンション成約戸数
新築マンションと異なり、中古マンションの成約戸数は微増。 - 中古マンション成約価格
新築マンションと同様、中古マンションの成約価格はアベノミクスなどの影響で上昇。
過去25年間の首都圏中古マンションの成約専有面積・価格の推移を次図に示す。
- 中古マンション成約専有面積
新築マンションと異なり、中古マンションの成約専有面積の縮小傾向はあまり見られない。 - 中古マンション成約価格
(上述の通り)
新築から中古へ
新築マンションの発売戸数が減少し、発売価格が高騰(面積縮小)するのに対して、中古マンションの成約戸数が微増し、成約価格が高騰(面積変わらず)している。
この状況は二つのことを意味している。
19年以降、中古成約戸数が新築発売戸数を上回っている
ひとつは高騰した新築マンションを諦め、中古マンションを購入する層が増えていることを意味している。
16年以降、中古マンションの成約戸数は新築マンションの発売戸数を上回っている。(次図)。
マンション市場規模、新築縮小・中古拡大
もう一つは、新築・中古マンションの市場規模の変化を意味している(次図)。
- 新築マンション市場の規模
リーマンショック(08年9月)の翌09年に1.65兆円で底を打つ。その後、消費税増税8%実施(14年4月)の前年まで拡大した後、再び縮小に向かう。20年は1.65兆円まで落ち込む。 - 中古マンション市場の規模
11年以降、徐々に拡大し、15年に1兆円を突破。22年は1.5兆円。 - 新築+中古マンション市場の規模
消費税増税8%実施(14年4月)の前年に3.7兆円まで拡大した後、縮小傾向。
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