不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、マンション選びのためのお役立ち情報を提供しています


自治会に加入していないとごみが捨てられない問題(政府回答)

第213回国会(24年1月26日~6月23日)の参議院の質問主意書を眺めていて、地域コミュニティに関係しそうな件名があることに気が付いた。

町内会や自治会に入会していないとごみが捨てられないというトラブルが発生している地域があるという。「廃棄物処理法に定められた、国民の生活環境の保全及び公衆衛生の向上のための然るべき措置を国又は地方公共団体が懈怠している事が問題である」と指摘する浜田聡 参議院議員(N党)に対する政府の回答は……。

※読みやすいように、一問一答形式に再構成。

時間のない方は、「質疑応答のポイント」と文末の「まとめ・雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

浜田聡 参議院議員(NHKから国民を守る党)

浜田聡 参議院議員
参議院 総務委員会 24年2月21日 動画より)
浜田 聡 参議院議員(1期、NHKから国民を守る党、東大教育学部⇒京大医学部卒、46歳)

廃棄物の収集及び排出、いわゆる日常生活等で国民がごみを適正に捨てる環境を整える事は、国民の生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図る為に国や自治体が責務を負うべきものである。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)第4条には、国及び地方公共団体の責務が規定されており、同条第1項には次のように定められている。

市町村は、…一般廃棄物の適正な処理に必要な措置を講ずるよう努めるとともに、一般廃棄物の処理に関する事業の実施に当たっては、・・・施設の整備及び作業方法の改善を図る等その能率的な運営に努めなければならない。

また同条第3項には次のように定められている。

国は、廃棄物に関する情報の収集、整理及び活用並びに廃棄物の処理に関する技術開発の推進を図り、並びに国内における廃棄物の適正な処理に支障が生じないよう適切な措置を講ずるとともに、市町村及び都道府県に対し、前2項の責務が十分に果たされるように必要な技術的及び財政的援助を与えること並びに広域的な見地からの調整を行うことに努めなければならない。

他方、町内会又は自治会に入会しないとごみが捨てられないというトラブルの報告は各方面において散見され、各地域で起きているものとみられる。自治会への非加入を理由に、地域のごみ捨て場の利用を禁じられたのは違法として兵庫県神戸市で起こされた訴訟では、令和4年10月、大阪高裁で自治会側の違法性が認められ、最高裁で争われている。

町内会及び自治会はいずれも入会は任意であるにも関わらず、非会員という理由だけでごみを捨てられない人が一定数存在し、いわゆるごみ屋敷等が発生するのは廃棄物処理法上問題であると考える。これら自治会とごみ収集に関するトラブルは表面上の問題で、本質的には、廃棄物処理法に定められた、国民の生活環境の保全及び公衆衛生の向上のための然るべき措置を国又は地方公共団体が懈怠している事が問題であると考える。

これらを踏まえて、以下質問する。

問1:一般般廃棄物の適正な収集に関して責務、市町村?

一般般廃棄物の適正な収集に関して責務があるのは、町内会又は自治会ではなく、廃棄物処理法第4条第1項に基づき市町村であると考えるが、政府見解如何

答1:市町村、収集しなければならないこと等とされている

御指摘の「適正な収集に関して責務がある」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、市町村は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「法」という。)第6条の2第1項において、一般廃棄物処理計画(法第六条第I項に規定する一般廃棄物処理計画をいう。以下同じ。)に従ってその区域内における一般廃棄物を生活環境の保全上支障が生じないうちに収集しなければならないこと等とされている

問2:自治会非会員、地方公共団体が相談に応じる必要?

自治会非会員がごみ収集所を利用できない等の理由でごみが捨てられない事態に陥った場合、地方公共団体が相談に応じる必要があると考えるが、見解を伺う

答2(2~4):一概にお答えすることは困難

(後述、答4参照)

問3:当該地方公共団体が然るべき措置を執るべきではないか?

仮にごみ収集所の管理を自治会任せにして、自治会が管理しなければ当該地域のごみ収集が適正に行えない事態に陥っている地方公共団体は、ごみ収集所の管理業務を自治会ではなく地方公共団体に当該業務を移管する等の見直しを検討する等、当該地方公共団体が然るべき措置を執るべきではないか、見解を伺う。

答3(2~4):一概にお答えすることは困難

(後述、答4参照)

問4:地方公共団体、地域ごとの適正な解決策を見出す責務がある?

廃棄物処理法第4条第3項において国には、「国内における廃棄物の適正な処理に支障が生じないよう適切な措置を講ずる」とされているが、自治会のごみ収集管理業務を含めた自治会の業務負担やごみ収集に関する地域住民が抱えるトラブル等においては、訴訟等に発展する前にまず地方公共団体が積極的に地域住民等と対話を重ねて地域ごとの適正な解決策を見出す責務があると考えるが、政府見解を示されたい。

質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第75条第2項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から21日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

答4(2~4):一概にお答えすることは困難

御指摘の「相談に応じる」、「ごみ収集所の管理を自治会任せにして」及び「自治会のごみ収集管理業務を含めた自治会の業務負担やごみ収集に関する地域住民が抱えるトラブル等」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、一(筆者注:答1)についてで述べたとおり、市町村は、法第6条の2第1項において、一般廃棄物処理計画に従ってその区域内における一般廃棄物を生活環境の保全上支障が生じないうちに収集しなければならないこと等とされているところ、お尋ねについては、市町村において、これらの関係法令等に従い、個別具体的な状況に即して適切に判断されるものであり、一概にお答えすることは困難である

まとめ・雑感

町内会や自治会に入会していないとごみが捨てられないというトラブルが発生している地域があるという。

「廃棄物処理法に定められた、国民の生活環境の保全及び公衆衛生の向上のための然るべき措置を国又は地方公共団体が懈怠している事が問題である」と指摘する浜田聡 参議院議員(N党)。

それに対する政府の見解を意訳すると、次のようになるのではないか。
一般廃棄物を収集する責務は市町村にある。町内会や自治会に入会しないとごみが捨てられない問題については、それぞれの状況に応じて市町村が適切に判断しているので、一概にお答えすることは困難。

政府は、「自治会に加入していないとごみが捨てられない問題」の解決を市町村に丸投げしているということが分かる。

あわせて読みたい(浜田議員の質問主意書)

※日付は記事の投稿日を示す。

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
Copyright(C)マンション・チラシの定点観測. All rights reserved.