東京都は1月27日、「『未来の東京』戦略 version up 2023」を公表。
東京都政策企画局の「『未来の東京』戦略 」のページには、今回公表された2024年版だけでなく、2023年版と2022年版も掲載されている。
同戦略には羽田新ルートも記載されているので、これまでの変遷を整理しておこう。
都が描く『未来の東京』戦略、「羽田空港機能強化」の変遷
以下、古い順に記載する。
2022年:ターミナル機能の拡充・ビジネスェットの発着枠拡大など
羽田空港の機能強化(ターミナル機能の拡充・ビジネスェットの発着枠拡大など)
「未来の東京」戦略 version up 2022(2022年2月)P218
2023年:空港の機能拡充を通じて増大する航空需要への対応を強化
羽田空港の機能強化
- ビジネスジェットの受入体制の強化など、空港の機能拡充を通じて増大する航空需要への対応を強化
「未来の東京」戦略 version up 2023(2023年1月)P93
2024年:更なる機能強化の検討を国に働きかけ
今後の航空需要に着実に対応するため、空港容量の拡大やビジネスジェット受入体制強化を検討
更なる機能強化に向けた取組
- 新飛行経路の運用を踏まえつつ、今後の需要予測等を基に、更なる機能強化の検討を国に働きかけ
ビジネスジェット受入体制
- ビジネスジェットの需要動向を踏まえ、世界の主要都市を参考に、受入体制の強化策を検討
「未来の東京」戦略 version up 2024(2024年1月)P50
【解説】更なる機能強化の検討とは
3か年分の文書を比較してみると、今回公表された2024年版が最も踏み込んだ記載となっているのではないか。
新飛行経路の運用を踏まえつつ、今後の需要予測等を基に、更なる機能強化の検討を国に働きかけ
都が国に働き掛けるとしている「更なる機能強化の検討」とは何なのか?
多くの都民にはピンとこないだろう。
「更なる機能強化の検討」とは、「第5滑走路(E滑走路)」の増設計画のことを指しているのではないか、と筆者は考えている。
都議会定例会(19年9月9日)で東京都技官は「都が滑走路の増設に向けて国と協議に着手する方針であるという事実はございません」と、読売記事「羽田滑走路 増設協議へ…都と国 機能強化へ5本目」の火消しに回っていた。
「第5滑走路(E滑走路)」という議論百出しそうな表現の代わりに「羽田空港の更なる機能強化」を言い続けること。これにより、国は都(都民)からの要望に応えたという形で第5滑走路(E滑走路)の増設計画を進めることができる。
ちなみに、都はここ数年、「国の予算編成に対する東京都の提案要求」のなかで、「更なる機能強化について検討を進めること」に触れている。
※詳細は、「東京都が求める更なる機能強化とは?」参照。
【参考】第5滑走路(E滑走路)増設計画
第5滑走路(E滑走路)増設計画は、工事費6,200~9,700億円程度、工事期間10~15年程度(地域との合意、関係者調整、環境アセスメントに必要な期間を除く)とされている(「首都圏空港機能強化技術検討小委員会の中間取りまとめ 参考資料」P39)。
第5滑走路(E滑走路)が運用されると、明治神宮外苑を南下して、青山一丁目、国立新美術館、六本木ヒルズ毛利庭園、麻布十番、三田の慶応、品川埠頭の上空を通過することが推測される(次図、紫色の直線)。
「羽田新ルート|次は第5滑走路の増設!? 」より
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