ALPA Japan(日本乗員組合連絡会議)は7月31日、海外パイロットの飛来機会が急増しているとして、ALPA Japan Technical Information(日乗連技術情報)「東京国際空港 進入時における注意事項」をホームページに掲載した。
(日乗連技術情報。全6枚。鑑のみ日本語)
背景:海外パイロットが 飛来する機会急増
この注意事項文書を発出した背景として、海外パイロットが 飛来する機会が急増している旨が記されている。
東京国際空港 進入時における注意事項
東京国際空港は、井桁型の滑走路配列や周辺環境への配慮といった特殊事情が幾つも積み重 なった結果、海外から飛来するパイロットにとって注意すべき点が数多くあります。
そこで ALPA Japan は、これまで東京国際空港へ進入する際の注意事項を中心に、IFALPA Safety Bulletin を発行して海外パイロットに対して注意喚起を促してきました。過去、ALPA Japan を通じて発行された東京国際空港に関する IFALPA Safety Bulletin は、 以下の通りです。
- ※11SAB15:Operational Hazards created by fourth runway at Tokyo Haneda (RJTT)
(4 本目の滑走路共用開始によって新たに運用が開始された LDA APP や Charted Visual Approach を実施する際の注意点を列挙)- ※19SAB03:APPROACH Procedures and Restrictions to Tokyo Haneda RJTT/HND (深夜時間帯において運用される VOR A 16L/R APP 実施時の注意点などを紹介)
- ※20SAB01:New Approaches for Haneda
(RWY16L/R への北進入における注意点を列挙)- ※21SAB17:New Approaches for Haneda
(3.25°PAPI の運用開始に関する情報提供)
特に 2019 年から 2021 年は、東京都心上空を飛行する新たな進入方式が開始されたこともあ り、3 年連続で東京国際空港に関する情報提供を行ってきました。あいにくコロナ禍で国際線 運航便数は低迷していましたが、2023 年に入ってその数は急回復しており、海外パイロットが 飛来する機会も急増しています。そこで今般、3 つの IFALPA Safety Bulletin をまとめて見やすい形に再編集し、新たに発行することにしました。
海外パイロッ トへの注意喚起、3つの運用パターン
海外パイロッ トへの注意喚起という視点で今回、3つの運用パターンが紹介されている。
※23SAB04:APPROACH Procedures and Restrictions to Tokyo Haneda RJTT/HND
- (南西風が卓越する好天時に運用する LDA APP)
- (南西風が卓越する好天時の 1500-1900LCL に運用する RNP 16L/R APP)
- (南西風が卓越する好天時の 2300-0600LCL に運用する VOR A 16L/R APP)
日本のパイロットにとっては、すでにご存知のことばかりだとは思いますが、海外パイロッ トへの注意喚起という視点で作成された IFALPA Safety Bulletin を通じて、新たな発見の一助としていただくと共に、ALPA Japan 活動の理解促進に繋がればと思います。
3つの運用パターンのうち、羽田新ルートに係るA/C滑走路到着ルートについて、以下に整理する。
A/C滑走路到着ルートに進入する際の運用ルール
※原文は英語なので、機械翻訳した。朱書き部分は筆者が着色。
国交省航空局は「 首都圏上空を飛行するこれらの滑走路に進入する際の騒音公害に関して地元住民をなだめるため」(To appease the local public regarding the noise pollution while approaches to these runways flying over Metropolitan Tokyo)、進入経路図(下図)を作成したことになっている。
南と西からの卓越風(15:00-19:00)
南東から南西の風が吹く場合は、RWY16L・16Rが離着陸に使用されます。 首都圏上空を飛行するこれらの滑走路に進入する際の騒音公害に関して地元住民をなだめるため、JCAB(国土交通省航空局)は滑走路 16L&R への RNP 進入路と ILS 進入路を作成しました。 ILS アプローチは従来の 3° アプローチですが、悪天候時にのみ使用されます。 RNP アプローチは 3.45° アプローチであり、悪天候がない限りのみ使用されます。 「悪天候」の基準は定められていない。
滑走路ごとに 2 つの PAPI が設置され、それぞれ異なる角度で発光します。 フランクフルト/主要滑走路 07L/25R など、世界各地の空港でも同様の運用が行われていますが、PAPI 角度は進入の各タイプと一致しています。RNP 16L&R が動作している場合、3.25° PAPI が放出され、3° PAPI は放出されません。 ILS 16L&R が動作している場合、3° PAPI が放出されます。
進入路を都市からさらに遠ざけるために、両方の滑走路も移動されます。 16L の利用可能着陸距離 (LDA) は 9700 フィート、16R は 8270 フィートに短縮されますが、利用可能な距離を短縮するために EMAS が構築されています。
※EMAS(Engineered Materials Arresting System)は、滑走路の端に設置された、オーバーランした航空機を停止させるためのシステム。詳細はWikipedia参照。
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