不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、マンション選びのためのお役立ち情報を提供しています


空き家問題!石井苗子氏(維新)参院国交委

参院・国土交通委員会において3月9日、石井苗子 参議院議員(維新)が空き家問題を取り上げていた。
会議録ネット中継録画をもとに、整理しておいた(約3千500文字)。

※以下長文。時間のない方は「質疑応答のポイント」と最後の「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

空家等対策特別措置法改正案について

石井苗子(日本維新の会)
石井苗子 参議院議員
(日本維新の会、2期、 元女優、上智大卒・東大博士、69歳)

石井:空き家は減るどころか増えている。歴史的な経緯?

次の質問なんですけれども、さっきから出ております空き家問題なんですが、これは土地の政策の推進の分野に入っておりまして、この空き家問題です。皆様にお配りしました資料を見ていただきますと、この空き家対策の推進に関する特別措置法の施行の状況などが書いてございます。


まずですね、大臣でよろしいでしょうか、この空き家、私ども視察に行きましたけれども、空き家は見てきませんでした。何か危なそうなのを、よくよく考えてみたら人様の財産でございますから、続々入っていって見るということにはならないんだろうなと思ったんですが、実は、私が疑問に感じたのは、なぜ、なぜその空き家対策特措法、特別措置法ですね、が施行されているにもかかわらず、空き家は減るどころか増えているのかという、このなぜというところで、歴史的な経緯を、恐れ入りますが、説明していただけますでしょうか

局長:利活用が進まない結果、空き家が減らない

石井:空き家は減るどころか増えている。歴史的な経緯?
塩見英之 住宅局長(1990年建設省入省、早大政経卒、56歳)

お答え申し上げます。

平成26年の空き家法の制定以降、市区町村における対策計画の策定、先生の資料にもございますとおり、策定が進んでおります。推進体制は整備されてまいりました。また、保安上危険な状態にある特定空き家の除却などもより優先度の高い取組として着実に進展をしてきております。


一方で、こうした取組のペースを上回るペースで、進学ですとか就職その他の理由で親とは同居しない住まい方が一層拡大をし、このような世帯において相続が発生するのを機に居住を目的としない空き家というふうになってしまうケースが増えているものと考えてございます。


また、こうした空き家の所有者の方は積極的に利活用しようという意識が必ずしもないということでございます。利活用が進まない結果、空き家が減らないということも空き家が増加している大きな要因の1つではないかというふうに認識をしてございます。

石井:(特措法改正律案の)予防策を具体的に紹介して

それも1つの理由なんですが、いろいろ様々な理由があるんですね。
私は、人間の心理として、壊した方がよけりゃさっさと壊すだろうと思いました。これを建てておいた方がいいから建てているんじゃないかなと、そのっ放しに。

それをちょっと調べますと、先ほどは、子供や孫の代が住むんではないかと思っていたという方もいらっしゃいますし、物置に使おうかと思っていたという理由の方もいらっしゃいますし、どこに相談しに行っていいんだか分からないうちに年月がたってしまったという方もいらっしゃいます。


しかし、解体費用に数100万、600万から、以上掛かるということで、これが用意ができないという方もいらっしゃいますし、もう1つは、土地の、住居安定確保ということで、用地特例法ということですね、固定資産税のものが土地より上に住宅を建てておいた方が安くなる。これは、住居ということを安定的に確保するという用地特例法というものがあるんです。


何か解体してしまいますと、元々のその払うべき額だった税金、土地に払う固定資産税ということで、住宅がなくなった分高くなるわけですね。こういった具体的な要素がきっと何かあるんだろうなと思って、この固定資産税ということがもとになって、これもその土地をこれから売ろうとするのか売らないのかと。


こうなりますと、先ほどの資料に戻っていただきたいんですけれども、行政の代執行とか略式代執行というのが、一番右読みますと、非常に、左から平成27年度からこうずっと見ていきますと増えているわけです、140とか342とか。ということは、人様の住宅を壊さなきゃならないということです。

代執行が行われた後は更地になるわけですね。そうすると、政府が、政府といいますか、自治体がこれ以上置いておくと危ないからといって代執行して平地になりました。さて、その土地は固定資産税はどなたが払うようになるのかという問題も出てきてしまいます。


非常に悩み事が多いわけなんですが、こういうことをきちんとやっていかないと、どうしていいか分からないという人が増えてくる。お金もそんなに、なかなか悩むなということになるわけで、必ずどこかに原因や理由があるんだと思うんです、空き家が増えていっていくという。そこも考えてどうしていくか、いろいろリスクがあるんだと思います。


空き家を若い、古い、年取ってって言うのは変なんですけれども、本当に朽ち果ててしまっているようなところから、今から空き家になるのが、まだ若いから何とかしよう、売ろうと思っているというところもあるんですが、右側に行かないように予防策が必要だと思うんですけれども、それも含めまして、空き家対策の推進に関する措置法の一部を改正する法律案の中に、今私が言ったようなことで予防策を具体的に紹介していただけますか

大臣:行政から適切な管理を促す仕組みの創設を盛り込むなど

斉藤鉄夫 国交大臣
斉藤鉄夫 国交大臣
(公明党、衆議院議員10期、東工大院卒、元清水建設技術研究所研究員、71歳)

日本に来た外国人が地方に行って一番驚くのは空き家で、自然はきれいでもその空き家でがっかりするという、また、耕作放棄地ですね、もう1つは。日本の地方の風景が今壊れてきつつございます。そういう問題で、もう本当に大きなこの空き家の問題は日本の課題だと思っております。


これまでの空き家対策は、適切な管理が行われずに保安上危険な状態や衛生上有害な状態など周囲に悪影響を及ぼすに至った特定空き家の除却等が中心でございました。しかし、特定空き家となってからの事後的対応では、空き家が更に増加する中、市町村の対応にも限界があり、空き家の状態が悪化する前の段階から予防的に対応する重要性が増していると考えております。

そのため、空き家の発生自体を抑制するとともに、使える空き家の有効活用を促すこと、すぐに活用しない空き家についても適切な管理を確保することなど、総合的に取り組む必要がございます。


今国会に法案を提出した空き家法においても、区域を限って空き家を重点的に活用する仕組みや行政から適切な管理を促す仕組みの創設を盛り込むなど、予防的措置の強化を図ってまいります。税制上のいろいろな措置、先ほど委員からお話のございました税制上の措置もその一環でございます。

石井:30年間で空き家数が2.1倍、この数字は正しい?

そうなんですね。やっぱり、お金がいろいろと複雑になってきていると思います。
先ほど、解体するとその土地に固定資産税が掛かって、解体したり、その税金ということ、解体しても、それを解体したのが市町村がやるとしたらそれ税金使うわけですから、税そのものを使っているわけですから、その持ち主に請求をするということが起きてくる、これは考えれば当然のことなわけです。


住宅がなくなったときに、その本来払うべき税金が元に戻っただけですよということも持ち主に言わなければならないという、こういう問題があります。改正法案で、相談先をつくるということを先に、そうなりますよということをちゃんと相手を見付けて説明をしなければならない、それは若い空き家からもう先に説明をしなければならないと思っております。


そして、今大臣が御指摘がございましたように、景観を損ねているということに関しては、どうしてそうなるのかというと、土地を売ろうにも売れないようなところに空き家があるという問題がございまして、なかなか代執行の前に予防するとなると、もう今、そろそろ重症化してきているなという感じがいたします


先ほどから発表がございますが、確認したいんですが、全国での空き家の数ですが、1988年、昭和63年に394、空き家の率が総戸数の9.4%に対して、少子高齢化で、2018年、平成30年ですね、この時点で849万と書いてあって、これが総戸数の13.6%で、30年間で空き家数が2.1倍になったという、これ、まずこの数字は正しいですか

局長:注視をしなきゃいけない空き家、849万戸のうち349万戸

お答え申し上げます。
平成30年、2018年に行われました住宅・土地統計調査というものがございます。その調査におきましては、空き家の総数としては849万戸でございまして、人が居住をしている住宅に占める割合ということで割り算をいたしますと13.6%になります。


この今申し上げました849万戸は空き家の総数でございまして、この中には、賃貸や売却のために一時的に空き家になっている、あるいは別荘として、調査をした時点、その日は空き家になっているというものも含まれております

こういう空き家はもちろん空き家の1つではあろうかと思いますが、一定の目的を持って存在している空き家でございますので、適切な管理が一定程度期待できる空き家だろうと思います。


他方、そういう目的を有さない、居住の目的を有さない空き家につきましては適切な管理が行われないおそれがあり、近隣に大きな影響を与える可能性もあるということから、注視をしなきゃいけない空き家という類型かと思います。その空き家は、全体の849万戸のうち800、失礼、849万戸のうち349万戸あるということでございます。

石井:別荘を空き家と呼ぶというのはちょっとびっくりしました

ありがとうございます。
別荘を空き家と呼ぶというのはちょっとびっくりしましたけれども。今、空き家で犯罪データありますかって聞いたら、それはまだ上がってきてないというんですね。これ、次が、犯罪が起きていることが問題だなんというようなことに、この委員会で議論するようなことにならないようにしていきたいと思っております。

雑感

この質疑応答の6日前に「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」が閣議決定された。
政策提案型政党』を 標榜している維新に所属する石井苗子氏は、具体的な提案を持って同案に鋭く切り込んでいくのかと思いきやそうではなかった。斉藤大臣(公明)が喜びそうなヨイショ質問であった。

「別荘を空き家と呼ぶというのはちょっとびっくりしましたけれども」って、カジュアルな物言いはともかく、緊張感のない質疑応答でもあった。

あわせて読みたい

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
Copyright(C)マンション・チラシの定点観測. All rights reserved.