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空き家問題はどこまで進んだのか|特定空家等への行政措置をデータで読む

空家法(正式名称:空家等対策の推進に関する特別措置法)が施行されたのは、2015年2月26日である。

以降、国土交通省は毎年、「空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況等」として、周辺の生活環境に悪影響を及ぼす「特定空家等」に対する行政措置の実績を公表している。

助言・指導、勧告、命令、そして行政代執行。 制度としては強力だが、実際にはどこまで使われているのか。 数字で見ると、その輪郭は意外なほどはっきりする。

本記事では、同資料をもとに、管理不全空家等・特定空家等に対する措置状況を全国・東京都・都道府県別に可視化した。

なお、2023年12月施行の法改正により、管理不全空家(放置すれば特定空家等となるおそれのある空家)および、緊急代執行(命令等の事前手続を経るいとまがない場合の措置)が新たに制度化された点も押さえておきたい。

※初投稿:2021年8月26日 ※更新:2025年12月27日(2024年度データ反映)


もくじ

経年変化(2015年度~)

【全国】特定空家等「助言・指導」は2020年度がピーク

まず、空家法施行以降の全国ベースでの措置件数の推移を見てみる。

管理不全空家等および特定空家等に対する主な措置は、次のとおりである。

  • 特定空家等
    • 「助言・指導」は2020年度の5,743件をピークに減少傾向。2024年度は4,026件。

    • 「勧告」は増加してきたが、近年は600件前後で横ばい。

    • 「命令」は緩やかな増加基調。

    • 「行政代執行」「略式代執行」は年間2桁にとどまり、「緊急代執行」は1桁台。

  • 管理不全空家等
    • 2024年度は「指導」2,545件、「勧告」378件。

図:管理不全空家等・特定空家等に対する措置状況の推移(全国)

【メモ】「特定空家等」とは

  • そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  • そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
  • その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
にある空家等をいう。(2条2項)
【東京都】「助言・指導」は年間100件未満が続く

次に、東京都に絞って見てみる。

特定空家等に対する「助言・指導」は、長らく年間100件未満で推移してきた。

東京都は、戸建ての「壊れた空き家」が約3万戸存在すると推計している(東京都「東京における空き家施策実施方針」2023年3月、P7より(PDF3.9MB))。

それに対して、この件数は多いと言えるのか、少ないと言えるのか。

数字を前にすると、素朴な疑問が残る。

図:管理不全空家等・特定空家等に対する措置状況の推移(東京都)

都道府県別ランキング(2024年度)

特定空家等「助言・指導」、北海道と新潟が突出

2024年度の都道府県別データを見ると、地域差は一段と鮮明になる。

特定空家等に対する「助言・指導」が特に多いのは、新潟県と北海道である。

積雪による老朽化や倒壊リスクの高さが、背景にある可能性は否定できない。

図:管理不全空家等(指導・勧告)・特定空家等(助言・指導、勧告、命令)件数(24年度)

「代執行」は最も多い北海道でも14件

最後に、行政・略式・緊急代執行の件数を確認する。

最も多い北海道でも、合計14件にとどまる。 一方で、宮崎県の行政代執行(35件)は全国的に見ても突出している。

全体としては、 「助言・指導」で改善されるケースが多いのか。 それとも、勧告→命令→代執行へ進むハードルが極めて高いのか。

数字は多くを語らないが、制度と現場の距離を考えさせる結果ではある。

図:特定空家等(行政・略式・緊急代執行)件数(24年度)

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