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森沢きょうこ元都議の「政務活動費」を可視化

10月2日に投開票された品川区長選挙では、立候補した6人がいずれも法定得票(有効投票総数の4分の1以上)に届かず再選挙(12月4日投開票)となった。再選挙の参考にすべく、10月2日の投票で最も多くの票を得た森澤恭子氏の都議時代の政務活動費(東京みらいに所属)を可視化分析することにした。

政務活動費は都議会HPに「収支報告書・会計帳簿・領収書等」として、過去5か年分(17~21年度)が公開されている(次図)。

収支報告書・会計帳簿・領収書等
(例:政務活動費会計帳簿 21年4月)


※森澤恭子(森沢きょうこ)氏は、17年7月の都議会選挙で都民ファースト候補としてトップ当選を果たしたあと、19年1月に都民ファーストを離脱し、他の2名の都ファ議員(奥澤高広氏、斉藤れいな氏)と「無所属 東京みらい」を結成。21年の都議選では、斉藤れいな氏は落選、奥澤高広氏は不出馬となった。そこで、過去3か年分(19~21年度)の東京みらいの政務活動費データを対象に分析する(21年7月23日に「無所属 東京みらい」から「東京みらい」へ名称変更された)。

※以下、一部敬称略


もくじ

東京みらい「政務活動費」の支出内訳(年度別)

東京みらい「政務活動費」の支出内訳(年度別)を次図に示す。

条例で規定された全14項目のうち、最も多いのは「広報紙(誌)発行費」。次いで「人件費」「事務所費」「調査委託費」「事務費」。

東京みらい「政務活動費」の支出内訳(年度別)

※各項目の内容については、後述(【参考】政務活動費について)参照。

都議会議員1人につき月額50万円交付されるので、東京みらいには年間1,800万円(=50×12月×3人)交付されることになる。ただし、21年度は7月の都議選で2人減ったため(1名不出馬、1人落選)、年間1,000万円。

交付された政務活動費はほぼ使い切っている。各年度の執行率は98.8% (19年度)、 99.8%(20年度)、99.7%(21年度)。

 

ここで留意しておきたいのは、上図に表れていない(=使われていない)項目である。

「調査・政策立案費」に区分されている「グループ活動費」はゼロで、「視察・研修費」と「政策推進等活動費」は19年度に数万円使われただけである

具体的に見てみると「視察・研修費」67,096円は、次の3件。

  • 6月30日:静川県立病院の独立行政法人化に関するヒアリング、先端医学棟視察(日帰り交通費)40,680円、3人分
  • 8月17日:「学校いじめ予防セミナー」受講料16,416円、奥澤高広
  • 8月30日:「東京都再犯防止推進計画に関する勉強会」講師料10,000円、3人分

また、「政策推進等活動費」39,490円は、奥澤高広氏が7月24日に開催された「未来への道1000kmリレー」に参加するための新幹線+アパホテル宿泊費だった。

 

「人件費」「事務所費」「事務費」といった「調査活動補助費」としての固定的経費を除くと、大半を「広報紙(誌)発行費」が占めるというのはいかがなものだろうか。「調査委託費」(後述)はまだしも、「政策推進等活動費」や「視察・研修費」はほとんど使われていない。

共通・議員別「政務活動費」の支出内訳(年度別)

共通・議員別「政務活動費」の支出内訳(年度別)を下図(3つの図)に示す。

※会派に交付された「政務活動費」は、4つの区分(東京みらい(≒議員共通)、森澤、奥澤、斉藤)で帳簿が整理されている。

森澤恭子氏は他の2人と比べて、事務所費が多いことと、調査委託費が多いことが特徴(後述)。ただし、21年度(他の2人が7月に落選・不出馬)は違う傾向が見られる。

共通・議員別「政務活動費」の支出内訳(19年度)

共通・議員別「政務活動費」の支出内訳(20年度)

共通・議員別「政務活動費」の支出内訳(21年度)

 

共通・議員別「事務所費」の月次変化を次図に示す。

森澤氏(品川区)の事務所は都心にあることから、賃料は奥澤氏(町田市)の2.3倍、斉藤氏(南多摩選挙区)の3.8倍と高い。

森澤氏は、他の2人と比べて「事務所費」が多いことから、「広報紙(誌)発行費」が少なくなっているのではないか。

共通・議員別「事務所費」の月次変化

※21年10月以降賃料が安くなったのは大崎から西五反田に引っ越したためではないか。

「政務活動費」の月次変化

「政務活動費」の月次変化を下図(4つの図)に示す。

森澤氏だけでなく、他の2人も年度末になると「広報紙(誌)発行費」が増えるのが特徴。さらに森澤氏の場合は、年度末に「調査委託費」が増えることにも特徴がある(後述)。

「政務活動費」の月次変化(東京みらい)
※21年8月以降、奥澤・斉藤が抜けたことにより、森澤が「東京みらい」の政務活動費を執行している(上図)。

「政務活動費」の月次変化(森澤恭子)

「政務活動費」の月次変化(奥澤高広)
21年7月の都議選に出馬しなかった奥澤氏につき、7月に「広報紙(誌)発行費」が増えたことと5月から7月にかけて「人件費」が激増したことに注目(奥澤氏の都議選への不出馬が決定していたのに、なぜ激増したのか)。21年度の奥澤氏の政務活動費が増加したのに、東京みらいに交付された政務活動費の執行率は99.7%。割を食ったのは誰か。

※奥澤氏は、翌22年2月20日に町田市長選挙に立候補し落選している。

 

「政務活動費」の月次変化(斉藤れいな)

「調査委託費」の支払い実績

「調査委託費」の支払い実績を次表に示す。

「調査委託費」支払実績
拡大

過去3か年で「調査委託費」が使われたのは8件(会派7件、森澤氏1件)。うち、年度の押し迫った時期に調査委託が実施されたのが3件(上表の黄土色)。交付金を満額消化するための調査委託と見えなくもない。なぜならば交付された政務活動費は毎年度、ほぼ使い切っているからだ(上述)。

8件の具体的な内容については、以下に列挙した各件名のリンク先(領収書等添付用紙)を参照。

  1. 「子育て」の不満をAIで解析し、政策立案を行う取組
  2. PTA・学童・英語教育について追加調査 台風15号への不満についてAIで分析
  3. 都政全般に関する調査都民の幸福度に関する調査(19年度)※支払日3/31
  4. ステイホーム期間の家族関係の変化に対する調査(アンケート調査)
  5. ステイホーム期間の家族関係の変化に対する調査(レポート作成)
  6. 都政全般に関する調査・都民の幸福度に関する調査(20年度)※支払日3/5
  7. 新型コロナ禍における都民の負担軽減と財源に関する調査 ※支払日3/31
  8. 女性の健康課題に関するアンケート調査

【参考】政務活動費について

政務活動費とは、議員が行う調査研究、情報収集、政策立案、広報・広聴活動等に要する経費に対して交付されるもの。政務活動費の使途基準は、東京都政務活動費の交付に関する条例「別表」により次表のように定められている。

政務活動費(別表)

政務活動費の交付対象は、会派(所属議員が1人の場合を含む)。交付額は、議員1人につき月額50万円×所属議員数(政務活動費の概要 | 東京都議会)。

東京都議会の「政務活動費関係規程」を以下に列挙しておく。

  • 地方自治法(抄)
  • 東京都政務活動費の交付に関する条例
  • 東京都政務活動費の交付に関する条例施行規則
  • 東京都政務活動費の交付に関する条例施行規程
  • 東京都政務活動費調査等協議会要綱
  • 東京都政務活動費に係る領収書等の写しの閲覧に関する要綱

政務活動費の手引|東京都議会

雑感

森澤恭子元都議が所属していた会派「(無所属)東京みらい」の過去3か年分(19~21年度)の政務活動費の内容をつぶさに見て感じた主な2点を以下に記す。

政務活動費の大半が「広報紙(誌)発行費」に使われているのは正常なのか

政務活動費は、議員が行う調査研究、情報収集、政策立案、広報・広聴活動等に要する経費に対して交付されたものである。ところが、「人件費」「事務所費」「事務費」といった「調査活動補助費」としての固定的経費を除くと、大半を「広報紙(誌)発行費」が占めていることが分かる(次図、再掲)。

東京みらい「政務活動費」の支出内訳(年度別)

議員が自らの活動内容を選挙区民に知らせるのは悪いことではないが、交付金の大半がそのために費やされているのは果たして正常なことなのだろうか

このような状況は、東京みらいに限ったことではないのかもしれないが、議員の自己PRのために都税が浪費されているように見えなくもない

年度末の予算消化!?

「広報紙(誌)発行費」の次に金額が大きいのは、「調査委託費」。

「広報紙(誌)発行費」もそうなのだが、「調査委託費」もまた、年度の押し迫った時期に増えるという傾向が見られた(次図、再掲)。

交付金を満額消化するためにこれらの費用が使われているように見えなくもない。なぜならば交付された政務活動費は毎年度、ほぼ使い切っているからだ。

「政務活動費」の月次変化(東京みらい)

公共工事の場合、予算を残すと翌年度以降の予算が削られるという懸念があるから、年度末に工事が増える。でも、政務活動費の場合は、未執行の交付金を返しても翌年度もまた1人年間600万円が交付される。だから無理やり使わずに、余った政務活動費は返還すべきではないのか。

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2022年6月1日、このブログ開設から18周年を迎えました (^_^)/
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