婦人民主クラブの全国協議会東京南部支部が品川区に情報開示請求した羽田新ルートへの苦情・相談実績が8月22日、羽田問題解決プロジェクトHPで公開された。
598件(20年2月14日~22年6月6日)の苦情・相談は約7万文字と膨大な量なので、全体像を把握すべく、テキストマイニング手法を駆使し可視化してみた。
※婦人民主クラブは、1946年に結成された共産党系の組織。
品川区が開示した羽田新ルートへの苦情・相談実績は598件(20年2月14日~22年6月6日)。
開示された情報には通し番号が付けられているのだが、「1~496」とそれ以外(「1~15」「1~15」「1~65」)では書式が違っている(次図)。日付をよく見ると、「1~496」が本格運用後の記録で、「1~496」以外が実機飛行確認時の記録であることが分かる。
※実機飛行確認:20年1月30日~2月12日、新ルート運用開始:20年3月29日~。
苦情・相談件数の推移
苦情・相談件数の推移を次図に示す。
実機飛行確認(20年1月30日~2月12日)が実施された2月の件数が87件とダントツ。
羽田新ルートの本格運用が開始された20年3月29日以降21年9月までは20~30件程度で推移。その後は30件を下回っている。
苦情・相談の属性
「地区」「年齢層」「性別」「受付方法」の順に苦情・相談件数を可視化する。
地区
地区別の件数を次図に示す。
八潮、南大井、東大井、大井など、飛行騒音の影響が大きい地域の苦情・相談件数が多い。
年齢層
年齢層別の件数を次図に示す。
「60代以上」「40代」の苦情・相談件数が多い。
※「中年」「高齢」は、対応者が外見で判断したものと思われる。
性別
性別の件数を次図に示す。
男性のほうが苦情・相談件数がやや多い。
受付方法
受付方法別の件数を次図に示す。
電話での苦情・相談件数が圧倒的に多い。
共起ネットワーク分析
598件の苦情・相談は約7万文字と膨大な量なので、全体像を把握すべく、テキストマイニング手法を駆使して可視化してみよう。
※フリーソフト「KH Coder」を使うことで、苦情・相談として記された文章を単語や文節で区切り、それらの出現回数や出現傾向などを解析することができる。
特徴的な言葉(特徴語)上位60語を対象に、共起ネットワーク分析した結果を次図に示す。
色で分けられた特徴語を見て、筆者がエイヤっと付けた小見出しは、次の5つ。
- 航空機騒音で窓が開けられない
- 危険・中止の声
- 新ルートの必要性を問う声
- 国・区に反対の意見を伝える区民の声
- 国・コールセンタの対応
航路下の品川区民の嘆きと怒りが伝わってくるようだ。
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※日付は投稿日。
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