国交省は11月29日、「東京国際空港について指定した円錐表面及び外側水平表面の変更に関するパブリックコメントの募集結果」を公表。
A4判31枚(約3万文字)には何が記されていたのか……。
国交省がパブコメ結果をコッソリ公表
国交省は11月29日、「東京国際空港について指定した円錐表面及び外側水平表面の変更に関するパブリックコメントの募集結果」を公表した(次図)。
このパブコメ結果は、国交省HPの新着情報はもとより、国交省HPのどこにも掲載されていないので、国交省の本件関係者以外はほとんど知らないのではないか。
「意見募集の結果について」のPDFを開くと、寄せられたご意見46件それぞれに、国交省の考え方が記されていることが分かる(次図)。
「決定告示」の11月29日付け官報掲載に間に合わせるために、パブコメ結果の取りまとめをよほど急いだに違いない。国交省にしては珍しく誤記が含まれている(次図)。
(パブコメ結果の12枚目)
A4判31枚に約3万文字が記されているパブコメ結果。この膨大な文章を隅々まで読んだのは、国交省の本件関係者でも一部の職員だったのであろう……。
「ご意見」の多くは、「変更」「反対」の意思
ご意見46件(約2万文字)と、国交省の考え方(約1万文字)にどのようなことが記されているのか。テキストマイニング分析をしてみた。
フリーソフト「KH Coder」を使うことで、文章データを単語や文節で区切り、それらの出現回数や出現傾向などを解析することができるのだ。
「ご意見」と「国交省の考え方」の文章それぞれから抽出した特徴的な言葉上位10語を次表に示す。
上表から、「ご意見」「国交省の考え方」は、次のように集約できる。
- 「ご意見」の多くは、「飛行ルート」の「落下物」の「危険」を指摘していて、「変更」あるいは「反対」の意思を示している。
- 「国交省の考え方」は、「国際競争力強化」「訪日需要」に対応するためには羽田空港の「機能強化」が「不可欠」であり、そのための「落下物対策」「騒音」対策、「情報提供」に努めるとしている。
国交省、引き続き丁寧な対応で処理
次に、対応分析(コレスポンデンス分析)の結果を次図に示す。特徴語(上位100語)をクロス集計した結果を可視化することで、パブコメ結果(46件)の理解が進むことが期待できる。
(円の大きさは、特徴語の出現頻度の多さを示す)
対応分析の結果の解釈の仕方は様々ある。筆者は次のように、横軸は「住民/国交省の主張」、縦軸は「羽田新ルート/安全関連」を示していると解釈した。
- 第1象限(グラフ右上)には、「国際競争力強化」や「訪日需要」だけでなく、国交省の常套句である「引き続き」「丁寧」な「対応」も特徴語として並んでいる。
- 第2象限(グラフ左上)には、「新ルート」が「住民」「生活」に「危険」を及ぼすので「反対」あるいは「変更」の意思を示す特徴語が並んでいる。
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