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羽田新ルート|渋谷区議会「22年第2回定例会」質疑応答

渋谷区議会の「22年第2回定例会」本会議の代表・一般質問(6月1日~3日)で、羽田新ルートに関して3人の質疑応答があった。

議会中継(録画)をもとに、全文テキスト化(約5千文字)しておいた。

※時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

牛尾真己 議員(共産)

牛尾真己 議員
牛尾真己 議員(共産、区議5期、中央大学 II部理工学部卒、64歳)

牛尾:氷塊落下、国交省に対し原因の徹底究明を求めるべき

羽田低空飛行ルートについてです。3月13日午後3時半頃、本町一丁目のテニスコートに航空機からのものとみられる氷塊が落下する事件が発生し、住民からは命にもかかわる重大問題として不安と怒りの声が上がりました。


日本共産党区議団は3月29日に国土交通省に対し、氷塊落下の原因を徹底的に究明し、住民に説明するとともに、調査結果が明らかになるまで新飛行ルートの運用は中止することを求める申し入れを行いました。


渋谷区として、氷塊落下の通報を受けて国交省に対しどのような対応を行ったのか、区長に伺います。


都心低空飛行経路を取る限り、氷塊や部品落下の危険を回避する手立てはありません。

また、現在の羽田空港の発着便数は従来の洋上ルートでも十分対応できることは明らかです。

氷塊落下は新飛行ルートの危険を示すものです。区長は住民の命にかかわる重大事故が発生する前に、国交省に対し原因の徹底究明と新飛行ルートの運用中止を求めるべきです。区長の見解を伺います。

区長:これ以上の原因の究明を求めることは難しい

長谷部健 渋谷区長
長谷部健 渋谷区長(無所属、2期、元渋谷区議会議員3期、専修大学商卒、50歳)

次に、羽田新飛行ルートについて、2点のお尋ねです。

はじめに氷塊落下の通報を受けて、国土交通省に対してどのような対応を行ったかとのお尋ねですが、氷塊の件は速やかに国に対し、航空機から落下したものかどうかの確認をするよう要請しました。


次に、国土交通省に対して原因の徹底究明と新飛行ルートの運用中止を求めるべきとのお尋ねです。


本区が国に対して事実確認の調査を依頼した結果、後日国は氷塊の原因が航空機にあると断定できないという結論を出したことから、これ以上の原因の究明を求めることは難しいと考えます。


なお、新飛行ルートの運用中止については、これまで貴会派のご質問に繰り返してお答えしてきたとおり、現段階では国に求める考えはありません。

吉田佳代子 議員(立憲)

吉田佳代子 議員
吉田佳代子議員(立憲民主、区議4期、日大理工学部数学科卒、59歳)

吉田:(氷塊)公共施設への落下があった場合、対策は?

最後に国際線の飛行について、大きく2点伺います。
昨年第3回定例会で渋谷区議会は「羽田新ルートの運用停止を国に求める意見書」を提出いたしました。渋谷区議会ではこれまでも、羽田新ルートの見直しや再考を求める意見書を全会一致で2度提出しております。


現行の管制システムであれば、需要が回復しても従来の海上ルートでの増便が可能であることを昨年6月25日付の国会答弁で(政府は)認めています。
ある国会議員からの質問主意書に対する国からの答弁では、先行機と後続機の組み合わせにより、相互間の間隔が短縮される場合があることから、より円滑な空港交通が確保され、航空機の飛行時間短縮に一定の効果がある。つまり、具体的には今まで82回しか発着出来なかったものが90回近く発着できることから、羽田新ルートを使わなくても今後の増便に耐え得るということが明らかになったのです。


そのことから都心上空を通過して着陸するルートの必要性がないという判断から、渋谷区議会では国会および政府に対し、都心低空飛行を伴う羽田新ルートは早急に運用の停止を検討するよう求めました。


さて、区長は昨年、第3回定例会(←「第4回定例会」の間違い)で区議会同様、渋谷区としても羽田新ルートの運用停止を求める声明を上げるべきではないかとの質問に対し、「管制システムの改善により増便が可能であるというくだりについては、国から増便に繋がらないとの説明を受けており、運用停止を求める声明を出す考えはない」と答弁をされました。


とするのであれば、区長がおっしゃった「国から増便に繋がらない」との説明と国会での答弁の食い違うことになりますが、増便に繋がることが確認できれば運用停止を求めるということでよいのでしょうか。区長に伺います。


さて、本年3月14日区役所に匿名男性から、3月13日午後3時半頃、区内のテニスコートに航空機から小石くらいの氷塊が落下したと電話があり、区から国交省に連絡したと聞いています。


当時コートにいた男性の話によれば「ぽとっと音がして、周りを見渡すと氷が直径5mほどの範囲に34個落ちていた。その20分ほど前にはコートにブラシ掛けをしたがその時には落ちていなかった」ということでした。


新ルートは羽田空港への着陸経路として新宿区や渋谷区などの上空を並行して南下する2本を設定されています。南風時の午後3時から7時に運用され、13日も使用されていました。

テニスコートはJR新宿駅の南西約1.5キロで、2本の航路の間にあり、上空900から1000mを航空機が通過していました。コートの南東約100 mには高さ234 mの東京オペラシティがありますが他に周囲に高い建物はありません。そのため氷塊を落としたのは飛行機しか思い当たらないのです。

しかし、これに対し国交省は、氷塊が落ちた現場は経路から350m離れている。当時上空を通過した数機について航空会社に確認したが、機体に氷塊が付着した痕跡がなかった。航空機から落下した可能性は極めて低いと結論付けました。氷塊は既に解けてなくなっているため調査は打ち切るということです。

これを聞いて「やっぱりね」と思った方は多いのではないでしょうか。いくら賠償制度が設けられていても、立証できなければ賠償されません。まして氷は解けてなくなるので立証が非常に難しいのです。今回は民地への落下でしたが、公共施設への落下があった場合、対策はどのように考えられていますか。区長に伺います。以上、ご答弁よろしくお願いいたします。

区長:まず国に対し、航空機由来のものか事実確認をするよう要請

長谷部健 渋谷区長

次に、国際線の飛行について2点のお尋ねです。
はじめに、羽田空港新飛行経路についてです。管制方式の見直しが航空機の飛行時間の短縮に一定の効果があり増便につながるという件に関しては、国から「羽田空港の処理能力を増加させることはない」との説明を受けております。従って、増便に繋がることが確認できればという仮定のご質問にはお答えできません。


次に、氷塊について、公共施設への落下があった場合の対策ですが、落下物を発見した場合、どこから飛来したものであるか特定することが重要であると考えますので、まず国に対し、航空機由来のものか事実確認をするよう要請いたします。

吉田:(氷塊)絶対に冷凍庫に入れといて、それを必ず分析してもらうぐらいの勢いで安全対策はしていただきたい

国際線のところですけれども、是非、安全対策やっていただきたいなって思うんですね。
例えば、公共施設に不審な氷が見つかったらもう絶対に冷凍庫に入れといて、それを必ず分析してもらうぐらいの勢いで安全対策はしていただきたいなっていうふうに思います。
外野から:「それは安全対策なのか?」


それはやはり分析するのには必ず必要なことですから、それはやっていただきたいなと思います。いろいろ誤解ある表現などもありますけれども、疑問のない区政運営を行っていただきたいということを要望しておきます。
我々立憲民主党は今後も区民の皆様と向き合った政策を進めていくことを約束し、質問を終わります。

堀切稔仁 議員(れいわ渋谷)

堀切稔仁 議員
堀切稔仁議員(れいわ渋谷、区議3期、東京綜合写真専門学校卒、54歳)

堀切:(氷塊落下)今後の対策を説明するような対話集会を

羽田空港都心低空飛行問題でございますが、一昨日、昨日と議会の中でも何人かの議員さんが説明を求めたりとか質問されてますが。本年の3月13日に初台で、旅客機から氷塊が落下して、国土交通省からその時に、まず区のほうにどのような報告が、または説明があったのか、区長へご説明を求めます。

さらに、国交省はその翌日、または5月18日にも同じような報道がありましたけども、調査を打ち切るような報道があった。多くの区民の皆さんがその対応に疑念と不安があります。


そこで渋谷区として、国交省を区民施設に招き、区民に皆さんへ今回の事故の報告、今後の対策を説明するような対話集会を求めるようにしたらどうかと思いますが、区長のご所見を求めます。

区長:要請を国に行う考えはありません

長谷部健 渋谷区長

次に、羽田空港新飛行ルートについて、2点のお尋ねですが、一括してお答えします。

氷塊の件は、速やかに国に対して航空機から落下したものかどうかの確認をするよう要請しました。

国からは、「氷塊の発見場所が新飛行経路の真下でなく、水平距離で東へ約350m離れていることもあり、航空機由来の可能性は極めて低く、航空機由来と断定できないと考えている」との報告が数日後にありました。


氷塊の原因が航空機にあると断定できない以上、今回の事象を国が説明することが難しいと私は考えており、現時点では議員のご質問にあるような要請を国に行う考えはありません。

堀切:(国交省は)区長じゃなくて、区民に説明するべき

羽田空港の問題でございますけども、これ決して国土交通省の、いきっぱなしの話じゃなくて、5月18日に国会議員団が、野党の国会議員団がヒアリングをしてるんですけども。その中でもまさに因果関係がないみたいなことを国交省は言ってるんですけど。因果関係がないって言ってることに対して、そもそもちゃんとした説明がないんですよ。

なぜかっていうと、因果関係がないと言いつつも、じゃあ絶対的に飛行機から落ちてないっていうふうに説明できるのかっていうと、国交省側がそれについて何も回答できないですよ。


さらに、もう一つはレーダーの記録からいうと350mって言ってるんですけど、じゃあレーダーの記録、軌跡が必ずしも誤差がないのかということを問われたときに、それについては全く答えられなかったですね、野党の議員さんたちに尋ねられたとき。


つまり、何m誤差があるのか、そのレーダー、GPS、どのくらい誤差があるのか。航空機によって、なんか20年前のものがあったり、今の(最新の)ものがあったりということだったりってことで、かなり誤差がある。

だから、350mかどうかも限らないということなんですね。だから、そういうことも含めてやはり区民の皆さんが求めてるのは、実態はどうなのかいうことを、やっぱり(国交省は)区長じゃなくて、区民に説明するべきだと思うんですよ。


それがなかったら、やっぱりこの飛行計画っていうのは、何か(事故)が起きても、もう補償ができないと。何もやらない。そこに区が拠って立ってしまうんだったら、やっぱりこんな飛行計画止めるべきだと思うんですね。だからこそ、区長、こういう視点を持って、きちっと国会議員団の方々からも、こういうヒアリングの中でいろいろ疑問が出てるわけですね。もう一度聞きますけど、区民に直接的に説明させるような機会を区長の権限として設けませんか。その3点是非ともよろしくお願いします。

区長:区としてはできる対応をしっかりとやっていきます

羽田についてですけども、区としてはできる対応をしっかりとやっていきます。それはこれまでも変わらないし、これからも変わりません。

堀切:国交省が「飛行機と限んないんだ」って言ったら、説明会とか今後とも設けない?

羽田空港の問題ですけど、羽田空港の問題に関しては、やっぱり今、区長の姿勢っていうのは、どの会派についても、非常に何て言いうですか、国に拠って立ってる言い方ですよね。

(羽田新ルートを)進めてしまっていることについては、区は容認しちゃってるわけですから。ただ、やっぱり起きた事故に関して、やっぱり冷静に、疑問があればそれに対してきちっと区民の皆さんの疑念に対してお答えするような形で、やはりその機会を設けるっていうのも私は区長の務めだと思うんですけども。


区長としてどうですか。全く、今後も、例えば今回じゃなくても、こういう事故があっても、国交省がああやって「根拠がないんだとか、飛行機と限んないんだ」って言ったら、全く、説明会とか、再説明の機会、今後とも設けない、そのような考えなんでしょうか。その2点是非ともお答えください。

区長:必要なことはしっかりと、当然区民の目線に立ってやってくつもり

羽田についてですけども、先ほどお答えした通り、今後とも国交省に対しての、そういう事故があった時には、調査を要請したりとか、必要なことはしっかりと、当然区民の目線に立ってやってくつもりです。

雑感

渋谷区内の氷塊落下で、議員の関心が上昇!?

羽田新ルートの本格運用が20年3月に始まって、20年6月の第2回定例会以降、羽田新ルート問題を取り上げる議員数は減少していたが、今期は3人まで回復。文字数(≒質疑応答時間)も増加した(次図)。

3月13日に渋谷区内で発生した氷塊落下は、渋谷区議会議員が再び羽田新ルート問題への関心を高めるキッカケになったのではないか(渋谷区民から議員への要望が増えたのか)。

羽田新ルートに係る本会議定例会の 代表・一般質問の登壇者数・質疑応答文字数推移(渋谷区議会)

 

19年以降の各党派の登壇状況を可視化したのが次表。

羽田新ルートに係る 本会議定例会の代表・一般質問者(渋谷区議会)

  • 共産党はこれまで毎回羽田新ルート問題を取り上げていたのに、前回、前々回取り上げなかったのはなぜか。今回代表質問に立った牛尾真己 議員が取り上げたのは質問項目6つのうちの最後。
  • れいわ渋谷の2人(堀切・金子議員)は毎回、長谷部区長の答弁に押し切られながらも創意工夫を凝らした質問を投げかけていた。3回続けて羽田新ルート問題を取り上げてなかったのはいただけない。
  • 立憲民主党は、治田学議員が登壇したときはそれなりにキレのある質問が見られるが、他の議員になると今一つ。
執拗に迫る堀切議員(れいわ渋谷)、迫力に欠ける牛尾議員(共産)・吉田議員(立憲)

今回登壇した3人はいずれも、3月13日に渋谷区内で発生した氷塊落下問題を取り上げた。長谷部区長は、3人の質問を淡々と打ち返している様子はいつもの通り。

ただ1点いつもと違ったのは、堀切議員が執拗に氷塊落下の説明会を求めたことで、長谷部区長が「事象」というべきところ「事故」と口を滑らせてしまったことだ。国交省はこれまで、本件に関して「事故」という表現は用いていない。

 

執拗に迫る堀切議員(れいわ渋谷)と比べると、牛尾議員(共産)と吉田議員(立憲)は迫力に欠けていた。

特に吉田議員(立憲)のほうは、羽田新ルートに関して勉強不足ではないのか。

事前に公表されていた質問項目には、9番目(最後)に「国際線の飛行について」と記されているのだ(次図)。羽田新ルート問題を取り上げるのであれば、「羽田」の文字は不可欠だ。「国際線の飛行について」では、羽田新ルート問題のことなのかどうか分からないし、実際、当初、筆者のアンテナには引っかからなかった。

事前に公表されていた質問項目

あと、もう1点。吉田議員(立憲)は質問の中で、完璧な間違いを犯している。「第4回定例会」と言うべきところ、「第3回定例会」と発言している。

原稿の棒読みだから、読み間違いというよりも、原稿の段階で書き間違っていたのではないのか。本人が原稿を書いたにせよ、代表質問なので、立憲民主党渋谷(3人)のチェックが働いていなかったということになるのではないか。

区長は昨年、第3回定例会(←「第4回定例会」の間違い)で区議会同様、渋谷区としても羽田新ルートの運用停止を求める声明を上げるべきではないかとの質問に対し(略)

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2022年6月1日、このブログ開設から18周年を迎えました (^_^)/
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